多くの個人投資家が「これから伸びる投資先はどこだろうか?」と考えているだろう。その有力候補の一つが「ベトナム」だ。

今回は、投資先としてベトナムが注目されている理由や、ベトナムと日本のつながり、ベトナムの概要、ベトナムが成長している理由などについて解説する。

目次

  1. いま、投資先としてベトナムが注目されている
  2. ベトナムと日本のつながりは強い
  3. そもそもベトナムってどんな国?
  4. ベトナムが成長している理由
  5. ベトナム投資が注目されている理由と今後の見通しは?
  6. 魅力的なベトナムへ投資してみよう

いま、投資先としてベトナムが注目されている

なぜ、いま投資先としてベトナムが注目されているのだろうか。主な理由の一つは、高い経済成長率だ。世界銀行が2021年6月に発表した、国・地域別の経済成長率(GDP成長率)を見てみよう。なお、2020年は見通し(estimate)、2021年以降は予測(forecast)だ。

国・地域 2018年 2019年 2020年
(e)
2021年
(f)
2022年
(f)
2023年
(f)
世界 3.2% 2.5% -3.5% 5.6% 4.3% 3.1%
先進国 2.3% 1.6% -4.7% 5.4% 4.0% 2.2%
新興国・途上国 4.6% 3.8% -1.7% 6.0% 4.7% 4.4%
ベトナム 7.1% 7.0% 2.9% 6.6% 6.5% 6.5%

ベトナムの経済成長率の高さが目立つ。経済成長率はどの年においても、どの国・地域よりも高い。

また、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年は、世界、先進国、新興国・途上国がマイナス成長となった中で、ベトナムはプラス2.9%だった。

世界、先進国、新興国・途上国は、2020年の反動で2021年は成長率が高まるが、2022年以降は成長が鈍化すると予測されている。一方でベトナムは、2021年はプラス6.6%、2022年はプラス6.5%、2023年はプラス6.5%と、鈍化せず成長を続ける予測だ。

ベトナムと日本のつながりは強い

実は、ベトナムと日本のつながりは強い。交流の歴史も古く、起源は752年の東大寺大仏殿完成の式典に林邑(ベトナムの中部)から僧侶仏哲が参加した時に遡るといわれている。現在、日本はベトナムにとって最大の援助国だ。

外務省によると、ベトナムに住んでいる日本人は2万3,148人(2019年10月現在)、日本に住んでいるベトナム人は42万415人(2020年6月現在)で、人流が活発であることがわかる。

一般社団法人日本・ベトナム文化交流協会は、日本の文化を知ってもらうためにハノイで「日本さくら祭り」を開催し、20万人を超える人が集まった。また、ベトナムの弦楽四重奏団を日本に招いて、ベトナムと縁がある東大寺大仏殿でコンサートを開催した。その他、教育支援事業や医療人材育成事業なども盛んだ。

日本企業のベトナム進出や、ベトナム投資も広がっている。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると(最終更新2021年6月30日)、キヤノンやパナソニック、ホンダ、トヨタ、富士通、日本電産、ブリヂストン、富士ゼロックス、マブチモーター、イオン、ファミリーマート、ルネサンスなど、1,985社がベトナムに進出している。

そもそもベトナムってどんな国?

そもそも、ベトナムとはどのような国なのだろうか。ベトナムは南シナ海に面しているASEAN諸国の一つで、地図を見ると国土が南北に長いことがわかる。国土は約32万9,241平方キロメートル、人口は約9,762万人だ。日本の国土は約37万8,000平方キロメートル、人口は約1億2,547万人なので、サイズ感は比較的近い。

ASEAN諸国の中央に位置していることや、経済大国である中国に近いこと、長い海岸を有するため貿易の拠点になりやすいことなどが地理的優位性として挙げられる。

ベトナムの教育水準は高く、高い識字率と東南アジアトップクラスの科学・数学リテラシーを誇る。農耕民族であるため、米どころとしても有名だ。国民は手先が器用で、勤勉といわれている。このあたりも日本と似ており、両国の親交が深い理由かもしれない。

ベトナムが成長している理由

ベトナムは、なぜ高い成長率を維持しているのだろうか。その理由として、まず自由貿易の発展が挙げられる。ベトナムの正式名称は「ベトナム社会主義共和国」であり、その名のとおり社会主義国だ。

社会主義国といっても、海外資本を受け入れていないわけではない。むしろ、数多くの自由貿易協定(FTA)を発効し(外務省によると2020年末時点で14のFTAが発効済)、ODAを活用したインフラ整備や低賃金の労働力を背景に外資の製造業を誘致し、輸出主導型の経済成長を続けてきた。その結果、高い経済成長率を実現してきたのだ。

中国と同じく、新型コロナウイルスに対しては強権的な施策を実行しており、短期間で封じ込めることに成功している。それが、2020年のプラス2.9%成長につながっているのだろう。

2021年7月中旬現在は感染がやや広がっているが、それでも1日あたりの感染者数が数千人という規模であり、強いリーダーシップをもって対策を講じれば、感染を早期に収束できる可能性もある。

ベトナム投資が注目されている理由と今後の見通しは?

改めて、ベトナム投資が注目されている理由を見ていこう。結論をいえば、今後も高い経済成長が見込めることだ。なぜ、今後も高い経済成長が見込めるのだろうか。

まず挙げられるのが、人口の推移だ。国連が発表した「世界人口推計2019年版」によると、ベトナムの人口は以下のように推移すると考えられている。

2019年:9,646万2,000人
2030年:1億416万4,000人
2050年:1億960万5,000人

緩やかであるが、今後約30年にわたって人口が増えていく。また、15〜64歳の生産年齢人口の割合が、2040年頃まではほとんど低下しないことも追い風だ。

さらに、外務省によると2020年時点のベトナムの1人あたりのGDPは3,498米ドルで、日本の10分の1以下。今後ベトナムの中間層の所得水準が上がれば、さらに経済は成長するだろう。

自由貿易のさらなる拡大も、経済成長の要因として期待できる。ベトナムは若く安価な労働力を大量に抱えており、国家主導で輸出拡大を図って輸出立国を目指しているのだ。

中国との地理的関係から、チャイナ・プラスワン(中国に設置した工場に加えて、第三国にも工場を設置する動きのこと)で優位に立っているとの見方もある。パナソニックがタイからベトナムに工場を移管(集約)するなど、人件費が相対的に高まっている他のASEAN諸国から、大企業が拠点を移す動きもある。

人口動態や平均賃金は一朝一夕で変化するものではないため、今後もベトナムの優位性が続くと見るのが妥当だろう。

魅力的なベトナムへ投資してみよう

ここまで、投資先としてベトナムが注目されている理由やベトナムと日本のつながり、ベトナムの概要、ベトナムが成長している理由について解説してきた。

ベトナムは人口動態や地理的要因、国民性、賃金水準、自由貿易の推進などの要因が複合的に絡み合って、高い経済成長率を叩き出しており、今後も高い経済成長が続くことが予想されている。あなたも、そんなベトナムへの投資を検討してみてはいかがだろうか。

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