オリンピックが開催されている東京都では、新型コロナウイルスの1日の感染者が過去最多となるなど、経済活動の再開に暗雲が立ち込めている。東京株式市場の主要株価指数である日経平均株価は7月28日現在、2万8000円台を割り込み、史上最高値を更新する米国株からは完全に出遅れた状態だ。この出遅れはいつになったら解消されるのだろうか?

日本株
(画像=PIXTA)

上昇には付き合わず、下落には倍の反応をする日経平均

日本の個人投資家がいらだっている。米国株式市場では、NYダウやナスダック総合指数などの主要株価指数がそろって史上最高値を更新する一方で、日本株だけが取り残されているからだ。たとえば、日本が祝日だった7月23日(金)には、NYダウとナスダック総合指数が終値ベースで史上最高値を更新した。これを受けて、週明けの日経平均株価も朝方は窓を空けて上昇、一時は2万8000円台に乗せたものの、終値では2万7833円まで押し戻されている。

また、27日にはNYダウが前日比で85.79ドル安、ナスダック総合指数が同180.14ポイント安となったが、翌日の日経平均株価は前日比で388円安と、米国市場に比べて圧倒的に株価の下落率が大きかった。つまり、米国市場が上昇するときにはこれに付き合わず、下落するときにはそれ以上の下げ幅となっているわけだ。これでは、日本の個人投資家がいらだつのもよくわかる。

グローバルな機関投資家は「ダウ買い、日経売り」のスタンス

機関投資家の中には、最近の日本株市場と米国株市場の歪みに目をつけ、先物取引を活用して「NYダウ買い、日経平均売り」といった投資戦略を取っているところもあるという。ここ最近の動きだけを検証すると、「NYダウ買い、日経平均売り」のスタンスであれば、相場がどちらに動こうとも利益を狙うことができるからだ。

では、なぜ日本株だけがこんなにも出遅れているのだろうか?足元の一番の理由は、中国政府による大手IT企業や学習塾などへの度重なる規制強化ではないだろうか。この中国当局の規制を嫌気して中国株式市場は大暴落し、8カ月ぶりの安値をつけている。地理的にも近い、日本の株式市場からも資金が大量に流出しているようだ。また、日本国内では、内閣支持率の低下に加え、ここへきての新型コロナウイルスの感染拡大も影響しているようだ。

一方、足元のマーケットでは3月決算企業の第1四半期決算発表が行われている。ここまでの企業決算は概ね良好で株式市場にとってはプラス材料となりそうなものだが……。

「決算発表シーズンは、どうしても機関投資家の買いが止まってしまいます。彼らの買いが入ってくるのは決算発表が一巡してからでしょう。一方で、7月上旬に日経平均株価が大きく急落した局面では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の買いがマーケットでウワサされました。GPIFは、日本の公的年金を運用する世界最大の機関投資家ですが、2020年度の運用益はプラス37兆7986億円で、今後も買い余力は十分にありそうです」とは、金融情報会社であるカブ知恵の藤井英敏氏。

ここから先、日本株がさらに下げる局面があれば、バリュエーション的に割安な銘柄がGPIFをはじめとする機関投資家によって拾われる局面がありそうだ。一方、機関投資家があまり手を出さない東証マザーズなどの新興市場銘柄はどうか。前出の藤井氏はいう。