7月相場が終了しました。

日経平均株価は月足ベースで続落。新型コロナウイルスの感染再拡大や、中国・香港市場の波乱など、上値が重くなりつつあります。

こうした中、上場企業の決算発表が本格化してきました。

そこで今回は一足早く、「好配当+株主優待」が期待できる銘柄をご紹介します。足元で株価は不安定さを増していることから、これらの銘柄に予想外の買い場が到来する可能性がありそうです。

当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。

日本株投資戦略
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■執筆者のプロフィール

鈴木英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長 
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん

20万円未満で買える「好配当+株主優待」銘柄

日本株投資戦略,上方修正期待銘柄
(画像=PIXTA)

上場企業の多くが、3月本決算・9月中間決算です。

このため、株主優待の権利確定月となる銘柄数も9月は404銘柄と、3月の789銘柄に次いで2番目に多くなります。

なお、9月に権利確定月を迎える銘柄の大半が、9/28(火)に権利付最終日を予定しており、あと2ヵ月程あります。

しかし、足元の株価が下落基調となっていることから、9月権利確定銘柄の「買い場」が8月になる可能性は十分ありそうです。そこで今回は一足早く、「好配当+株主優待」が期待できる銘柄をご紹介します。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)9月に権利確定月を迎える上場銘柄であること。
(2)予想配当利回りが2%超。ただし、“中間配当計画”の有無は問いません。
(3)最低投資金額(100株投資の場合)が20万円未満の銘柄であること。
(4)最低投資単位の投資で、株主優待の権利を確保できる銘柄であること。
(5)株主優待の権利を確保する際に、最低投資期間等の条件が付加されていない銘柄であること。
(6)前期営業損益が黒字の銘柄で、「継続企業の前提」に疑義が生じていないこと。
(7)過去5営業日(7/21~7/29)で売買高が1万株以上あること。
(8)つなぎ売り(制度売り)の対象銘柄であること。
(9)決算発表予定日が7/30(金)の銘柄でないこと。

上記すべての条件を満たす銘柄について、SBI証券の株主優待検索ペーシで閲覧回数が多い順に15銘柄を並べたものが以下の図表です。

「2%超の配当利回りと株主優待」が期待できるのみならず、業績や流動性にも一定の配慮を行い、リスクを抑えた銘柄を抽出しました。

さらに、100株の投資に必要な金額が20万円未満の銘柄に限定したため、比較的に少ない投資金額で複数の銘柄に分散投資を行い、リスクを軽減することも期待できます。

20万円未満で買え、好配当も期待できる9月株主優待銘柄
(画像=SBI証券)

図表1 20万円未満で買え、好配当も期待できる9月株主優待銘柄
コード / 銘柄 / 株価(7/29) / 予想1株配当(年間)金額 / 予想1株配当(年間)利回り / 最低投資単位(100株)での株主優待概要
<2001> / ニップン / 1,588 / 36.00 / 2.27% / ジュンコ・フローラ・スクール無料体験など
<4678> / 秀英予備校(配当は3月のみ) / 419 / 10.00 / 2.39% / 500円相当の図書カード
<6848> / 東亜ディーケーケー(配当は3月のみ) / 833 / 17.00 / 2.04% / 500円相当のクオカード
<9831> / ヤマダホールディングス(配当は3月のみ) / 519 / 18.00 / 3.47% / 優待割引券(500円)2枚
<3167> / TOKAIホールディングス / 907 / 30.00 / 3.31% / 天然水(500ml)12本他
<7867> / タカラトミー / 972 / 20.00 / 2.06% / 自社オンラインショッピングサイトでの商品購入10%割引
<4732> / ユー・エス・エス / 1,926 / 58.40 / 3.03% / 500円相当のクオカード
<8798> / アドバンスクリエイト / 1,007 / 30.00 / 2.98% / 2,500円相当のカタログギフト(「フリージア」)など
<1768> / ソネック(配当は3月のみ) / 1,092 / 30.00 / 2.75% / 1,000円相当のクオカード
<1808> / 長谷工コーポレーション / 1,506 / 70.00 / 4.65% / 滋賀県上田上産コシヒカリ(5kgまたは10kg)20%割引販売
<8282> / ケーズホールディングス / 1,295 / 40.00 / 3.09% / 優待券(1,000円)1枚
<4526> / 理研ビタミン / 1,597 / 42.00 / 2.63% / 自社関連商品(食品)1,000円相当
<8101> / GSIクレオス(配当は3月のみ) / 982 / 35.00 / 3.56% / 1,000円相当のクオカード
<9385> / ショーエイコーポレーション(配当は3月のみ) / 889 / 20.00 / 2.25% / 1,000円相当のクオカード
<9368> / キムラユニティー / 1,588 / 40.00 / 2.52% / おこめ券2kg分

※Bloomberg、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
※「銘柄」に記載の銘柄名右に「配当は3月のみ」と記載のある銘柄は中間配当の予定がない銘柄です。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
※「予想1株配当(年間)」は会社予想。ヤマダホールディングス(9831)は未公表のため、前期実績で記載。配当利回りも前期実績をベースで計算しています。
※図表1に記載の銘柄の権利付最終日は9/28(火)の予定です。9/29(水)以降に買い付けても配当および株主優待の権利を確保することはできませんので、ご注意ください。
※株主優待内容のすべてを記載した訳ではありません。株主優待の内容、権利確定月、権利付最終日等は随時変更される可能性がありますので、最新の情報は必ず当該企業のホームページ等をご確認ください。
※データは東洋経済新報社が作成にあたり調査した毎月中旬までの公表情報に基づくものです。そのため、株式分割・売買単位変更等のコーポレートアクションにより、優待獲得最低株数・優待獲得最低金額等が実際とは異なる場合がありますのでご注意ください。

抽出銘柄の投資ポイント

この項では、図表1で抽出した銘柄の一部について、投資ポイントや株主優待・配当のより詳細な内容をご紹介します。

ニップン(2001) 国内製粉第2位。最高純益が射程圏

ニップン(2001)
(画像=SBI証券)

期間:2021/2/3~2021/7/30(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■「食品事業」が主力

日清製粉グループ本社に次ぐ国内製粉第2位。

家庭用小麦粉や冷凍食品、コンビニ向け商品等を含む「食品事業」が売上高(2021/3期)の約6割を占める主力事業です。

次いで、「製粉事業」が売上高(同期)の約3割です。

会社予想では、2022/3期は売上高3,200億円(前期比2.9%減)、営業利益111億円(同7.4%増)、純利益90億円(同4.6%増)としています。

計画通りならば、純利益は過去最高益となる見込みです。予想PERは13倍台、PBR0.7倍台のバリュー銘柄といえます。

■全株主が優待価格販売に参加可能

上期末18円+期末18円=通期36円の配当を計画しており、7/29(木)終値1,588円に対する予想配当利回りは2.27%と計算され、東証1部の予想配当利回り(1.80%)を上回っています。

9/28(火)時点で保有する株主に対し、同社グループ会社指定の商品(アマニ油・サプリメント・ワイン等)の優待価格販売が受けられます。

また、100株以上保有の株主は、「ジュンコ・フローラ・スクール」の無料体験に参加できる他、プレコース(小麦粘土でつくる「パンの花」レッスン)参加および入会金無料の権利が得られます。

なお、9月のみ、500株以上を1年以上継続保有する株主に対して、1,500円相当の自社商品詰合せ(パスタ等)の贈呈も予定されており、3月は同株数で3,000円相当の贈呈となる予定です。

ヤマダホールディングス(9831) 国内家電量販店の最大手企業

ヤマダホールディングス(9831)
(画像=SBI証券)

期間:2021/2/3~2021/7/30(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■総店舗数は1万2千超。M&Aも積極的

売上規模で国内最大手の家電量販チェーン。

「テックランド」の名称で郊外に、「LABI」の名称で都市部に展開しています。総店舗数(2021/3期末)は直営店982店舗等、全国で1万2千店舗を超えています。

エスバイエルや大塚家具の買収で、異分野にも進出。7/16(金)には、住宅事業のナイス(8089)への出資を発表しています。

2022/3期は売上高1兆6,860億円(前期比3.8%減)、営業利益900億円(同2.3%減)の計画。巣ごもり需要増の反動を想定も、高水準維持が期待されます。

■3%以上が期待される配当利回りも魅力

前期は上期末0円+期末18円=通期18円の1株配当でした。今期は現状で未定であるため、予想配当利回りは前期実績の18円と株価(7/29)519円から3.47%と計算しました。

会社側は「連結配当性向30%以上」の方針であるため、今期EPS(1株利益)が予想の63円43銭以上であれば、1株配当として、63.43円×30%=19.03円程度が可能となる見込みです。

9/28(火)時点で100株以上を保有する株主に対して、優待割引券(500円)2枚が贈呈される予定。500株以上で6枚、1,000株以上で10枚、10,000株以上で50枚、3月末も別内容の株主優待を実施予定です。

タカラトミー(7867) 「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」他で知られる国内玩具業界大手

タカラトミー(7867)
(画像=SBI証券)

期間:2021/2/3~2021/7/30(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■国内玩具の大手

国内玩具大手。

トミーとタカラが2006年に合併して誕生しました。

代表的キャラクターとしては「トミカ」、「プラレール」、「リカちゃん」、「チョロQ」、「トランスフォーマー」、「ポケモン」などがあります。顧客所在地ベースでの海外売上高(前期)は31%程度です。

会社予想では、2022/3期は売上高1,550億円(前期比9.8%増)、営業利益80億円(同13%増)としています。

■株主優待はオンラインショップングでの割引

今期は上期末10円+期末10円=通期20円の配当を計画しており、7/29(木)終値972円に対する予想配当利回りは2.06%と計算され、東証1部の予想配当利回り(1.80%)を上回っています。

9/28(火)時点で100株以上を保有する株主は、同社オンラインショッピングサイトでの商品購入に際し、10%の割引を受けることができる予定です。また、1年以上3年未満継続保有の場合は30%割引、3年以上は40%割引を受けられる予定です。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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