最近では、中年男性はもちろん、若い男性や女性のサウナー(サウナ愛好者)が急増しています。それとともに「注文住宅を建てるとき、サウナを設けたい」と考えている人も増えているのではないでしょうか。ここでは、そんな人たちのために「家庭用サウナ設置の基本知識」「家庭用サウナを設置するときの注意点」などを解説します。
注文住宅でサウナを設けると、落ち着いた環境で楽しめる
家庭用サウナ(ホームサウナ)の知識に入る前に「なぜ今、サウナに注目が集まっているのか」その背景について見ていきたいと思います。
サウナ業界の有名人である松尾大さん※1、秋山大輔さん※2に対する『DiscoveJapan』のインタビューによると、最近のサウナ人気のきっかけになったのはモーニング(漫画雑誌/講談社)に連載されている『サ道』(作者:タナカカツキさん)の影響が大きいとのこと。このマンガでは、サウナに入ったときの気持ちよさを「ととのう」という言葉で表現し、サウナの魅力を数多くの人たちに伝えました。
合わせて女性向けのおしゃれなサウナ店がオープン、『サ道』のテレビドラマ化、ビジネスでハイパフォーマンスを実現するためには「サウナを活用するがいい」などといわれ始めたことで、サウナへの注目度が一気に高まったと考えられます。サウナのメディア露出が増えた影響で、有名店は人が混み合っている時間帯が増えています。
このような状況のなか、「家庭用サウナで落ち着いた環境で楽しみたい」「家族と一緒に自宅でサウナを楽しみたい」という人もいるでしょう。また、サウナ人気とは別に「サウナ店に行く時間がない」「サウナ店と行き来する時間を節約したい」という理由で、家庭用サウナを設置したい人もいらっしゃるのではないでしょうか。
※1 松尾大さん
札幌在住。「ととのえ親方」の愛称を持つ。福祉施設やフィットネスクラブを経営する実業家にしてプロサウナー。世界各地のサウナを渡り歩く。2017年にプロサウナーの専門ブランドを立ち上げ、2019年2月に医師らとサウナの最適な入り方を提唱する「日本サウナ学会」を設立。著書に『人生を変えるサウナ術』(KADOKAWA)がある。
※2 秋山大輔さん
東京在住。「サウナ師匠」の愛称を持つ。ブランディングプロモーション会社を経営。20代よりサウナに開眼し、国内外の多くのサウナを経験。北欧やニューヨークのサウナを渡り歩くツアーを敢行。サウナ専門ブランド「TTNE」を立ち上げ、「ととのえの日」記念日制定、「CORONA WINTER SAUNA」監修、「サウナシュラン」立ち上げ、「日本サウナ学会」設立するなどサウナ関連の多数のプロジェクトを仕掛ける。
日本サウナ学会
https://www.ja-sauna.jp/
注文住宅に家庭用サウナを設置するときの基本知識
とはいえ、家庭用サウナをいったん設置すると、後から変更したり取り外したりするのは難しいのが現実です。そのため、ホームサウナの十分な基本知識と注意点をしっかり把握してから発注するのが賢い考え方です。知っておいたほうがよい家庭用サウナの基本知識としては「広さ」と「仕様・素材」があります。
家庭用サウナの広さについて
家庭用サウナの広さは、1人用または2〜3人用の比較的コンパクトなものから、それ以上の人数で使えるものまで幅広く選べます。広いものになると、8人用、12人用など業務用サウナ顔負けのサイズもあります。
さらにいえば、例えば1人用に限っても「幅80×奥行90センチ」「幅100×奥行90センチ」など広さが違うこともあります。大柄な人が使うのであれば、余裕のあるサイズを選ぶのが無難でしょう。業者によってはあらかじめ決まった規格サイズではなく、オーダーメイドサイズに対応できることもあります。
家庭用サウナの仕様・素材について
同じサイズの家庭用サウナでも仕様・内装材によって雰囲気が大きく変わってきます。
仕様では、サウナストーブ(ヒーター)だけが設置されている簡易的なものから、専門店のような本格的なものまで多種多様です。本格的なものだと業務用のサウナとほぼ同じつくりで、香花石(サウナ内に置かれている本場フィンランド産の石)、砂時計・温度計なども備え付けられています。
内装材によっても、サウナ空間の雰囲気は大きく変わってきます。「業務用サウナと同じような空間にしたい」という人は素材選びにもこだわったがよいでしょう。内装材の一例としては、国産ヒノキ材を贅沢に使ったものから、肌当たりが柔らかいと定評のあるスプルス材、耐久性があり、焼けや変色に強いといわれるアバチ材などがあります。
注文住宅でサウナを設置するときの注意点は?
「憧れの家庭用サウナを設置したい!」という想いが先行しすぎて、後々のことを考えずに設置してしまうと、「設置しなければよかった」「違うタイプを選べばよかった」と後悔しかねません。そこで、設置する前に、下記の注意点を意識しながら慎重に検討しましょう。
サウナ設置の注意点1:ほかのスペースへの影響を考える
注文住宅で家庭用サウナを設置すると、当然ながらその分ほかのスペースが手狭になります。「サウナを設置すること」にこだわり過ぎて、住空間全体のバランスが崩れてしまえば本末転倒です。
そのため家庭用サウナを検討するなら、ハウスメーカーや工務店の担当者や設計士などと丁寧なコミュニケーションを重ねることをおすすめします。まずは、「家庭用サウナ設置ありき」ではなく、フラットな状態で専門家の正直な意見に耳をかたむけましょう。
設計士などと話し合うときのテーマの一例としては、「全体の建築条件を踏まえたうえで、家庭用サウナ設置をどう思うか?」「ホームサウナを設置すると具体的にどのスペースに影響があるか?」などが挙げられます。
サウナ設置の注意点2:コスト負担をしっかり考える
注文住宅で家庭用サウナを設置すると、サウナストーブを使うため電気代がかかります。この電気代を甘く見ると、「サウナのせいで家計が厳しい……」という状況になりかねないため要注意です。
前提として、サウナはサイズが大きくなるほど電気代が多くかかります。具体的にどれくらい電気代がかかるかは、設備や契約している電力会社により違ってはきますが、家庭用サウナを扱っている専門業者の株式会社 日本サウナでは1時間あたりの電気代(概算)を次のように示しています。
出典:株式会社日本サウナ公式サイト「よくあるご質問」
※概算直
仮に、1人用の家庭用サウナを設置して、1時間あたりの電気代が平均80円(1日2時間使用※)だとしたら、1日にかかる電気代は160円になります。月に15回サウナを使うなら月の負担は2,400円、30回使うなら負担は4,800円です。
※サウナは温度が上がるまでに通常30〜40分程度の時間がかかります。その分の電気代も含めてのシミュレーションです。
ちなみに、家庭用サウナで使用する電力量の一例は、1人用で消費電力1.4キロワット(電圧200ボルト)使用極数は2相などです。家電などで電気を多く使うお宅は、家全体の基本電力量を高めに設定しておくのが無難かもしれません。
サウナ設置の注意点3:利用シーンをイメージしてサイズを選ぶ
注文住宅で家庭用サウナを設置するときは、なんとなくサイズを決めるのは避けましょう。サイズ選びで間違ってしまうと「ムダに広くて電気代がかかる」あるいは逆に「狭くて使いにくい」などの結果になってしまいやすいため注意しましょう。
家庭用サウナのサイズ選びで失敗しないためには「誰がどのようにサウナを使うのか」具体的な利用シーンをイメージするのが安全です。例えば、「お父さんしか使わないので1人用でいい」「家族みんなでサウナに入りたいから広めがいい」といった具合です。
家庭用サウナはメンテナンスも大事
注文住宅と同様、家庭用サウナにもメンテナンスが必要です。このメンテナンス費用の目安をハウスメーカーやサウナ業者に確認したうえで「最終的に設置するかどうか」を判断しましょう。
どれくらいの頻度でメンテナンスが必要かは、内装材や使用頻度などによります。一例としては、ベンチ、天井、壁などは汚れや焼けなどが目立つようになってきたら交換するのが普通です。またご参考までに、業務用サウナのように腰をかけるときはバスタオルや専用マットを使うとベンチが傷みにくいです。
サウナストーブは故障や不調が発生したら修理・交換の必要があります。合わせて、定期点検をしてもらうのが安心ですが、この費用も事前に教えてもらったほうがよいでしょう。
忙しい方こそ自宅にサウナがある生活を
社会が複雑化したことで、現代人はストレス過多といわれています。自宅にサウナがあれば、1日の疲れやストレスを吹き飛ばすことができるのではないでしょうか。
サウナを設置するまでには、設置するスペース、サイズ、使用する素材など、決めなければならないことが多くあります。また設置後は、運用コストとメンテナンスにも気を配らなければならず、慣れないうちは少々大変かもしれません。
しかし、自宅で気軽にサウナが楽しめる生活は、心身をととのえリフレッシュさせることにつながります。その充実感を一度味わえば、運用コストやメンテナンスに気を配ることも苦ではなくなることでしょう。忙しい方こそ、自宅にサウナがある生活を検討されてみてください。
(提供:タツマガ)
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