『不動産投資と資産管理法人戦略』より一部抜粋
(本記事は、中元 崇氏の著書『不動産投資と資産管理法人戦略』=プラチナ出版、2021年5月7日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
著者 中元 崇氏
第8章 この空き家、貸すべきか売却するべきか
空き家、空き地にもいろいろあります。
☑︎相続した実家に誰も住んでいない
☑︎昔住んでいたが空き家のままにしてある
☑︎貸していたが借り手が退去したままの不動産がある
☑︎とりあえず駐車場として貸している
など
その空き家等を活用するための選択肢がいくつかあります。
①現況のまま貸す
②リフォームして貸す
③アパートやマンションに建て替えて貸す
④売却して資産の組み換えをする
⑤貸しながら共同担保にする
上記の選択肢を考える場合、把握しておくポイントが2つあります。
1相場の家賃がいくらか(賃貸相場)
2売却したときはいくら手残りがあるか
仮に、相場の家賃が10万円/月で、売ろうと思えば、3,000万円の手取り資金が入ってくるとします。以下、各選択肢の場合を見ていきます。
現況のまま貸す場合
収益構造と投資指標は、次のとおりです。
まず、収益構造を見ていきます。
見込売上(GPI=グロス・ポテンシャル・インカム)は、家賃月10万円で年間120万円。そこから
空室率は仮に5%として6万円を引くと、
実効売上が114万円
そこから運営費(ランニングコスト=日常清掃費、消防設備点検費、共用部分の光熱費、固定資産税、都市計画税、賃貸管理手数料など)が20万円かかったとして、それを引くと、
営業純利益は94万円になります。
現状のまま貸していますので、借入れは0円で、儲け(キャッシュフロー)は94万円となります。
それを投資指標に落とし込むと、
•利益率(FCR)
営業純利益94万円を、売れば入ってくる投資金額(3,000万円)で割り戻すと、3.1%
•資本効率(CCR)
キャッシュフロー94万円を、売れば入ってくる投資金額(3,000万円)で割り戻すと3.1%
•安全率(DCR)
借入れしていませんので、負債リスクはなし。
リフォームして貸す場合
リフォーム費用500万円を借りたとします。
金利1.5%で期間10年。
家賃が月2万円アップで12万円で貸せたとします。
収益構造をみると、
見込売上が144万円、
空室・未回収損を5%と想定してが8万円を引くと、
実効売上が136万円
そこから運営費(日常清掃費、消防設備点検費、共用部分の光熱費、固定資産税、都市計画税、賃貸管理手数料など)20万円を引くと、
営業純利益116万円になり、
負債支払額(銀行返済額)54万円を引くと、
儲けは62万円になります。
投資指標に落とし込んで、
•利益率
営業純利益116万円を投資総額3,500万円(土地3,000万円+借入れたリフォーム費用分500万円)で割り戻すと3.3%になり、先の①の事例より上がりました。
•資本効率
儲け(キャッシュフロー)62万円を自己資金3,000万円(融資を受けた500万円は含みません)で割り戻すと2.1%
•安全率
借入れしていますから、営業純利益116万円を銀行返済額54万円で割り戻すと2.15
このように投資指標を出すのは、他の選択肢と比較検討するために必要だからです。
アパートやマンションに建て替えて貸す場合
【想定】
木造アパート10世帯(約20m²)
建築コスト5,000万円
たとえば、更地に10世帯のアパートを5,000万円で建設しました。
建築コスト5,000万円を
金利1.0%の期間30年で融資を受けたと想定します。
収益構造は、
賃料は月5.5万円で10世帯ですので、
見込売上は、月55万円で年間660万円になり、
空室率を5%と想定すると、その33万円を引けば、
実効売上げ627万円となります。
そこから運営費117万円を引くと、
営業純利益が510万円になり、
5,000万円の借入れをしていますので、
その銀行返済額193万円を引くと、
儲けのキャッシュフローが317万円になりました。
それを投資指標に落とし込むと、
•利益率
営業純利益510万円を投資総額(この場合、土地3,000万円に借り入れた建築費5,000万円を加えた額8,000万円)で割り戻すと6.3%
•資本効率
儲けのキャッシュフロー317万円を自己資金3,000万円で割り戻すと10.5%
•安全率
営業純利益510万円を銀行返済額193万円で割り戻すと、2.64
売却して資産の組み換えをした場合
そもそも売れば3,000万円が手元に入ってくる不動産ですから、次のAからCの3つの選択肢が考えられます。
A その3,000万円を投資し、かつ、借入れをして1棟アパートを購入し、それを資本効率(CCR)15%で運用できれば、儲け(キャッシュフロー)450万円を得られることになります。
3,000万円×15%=キャッシュフロー450万円
B または現金で、区分のマンションを購入して、それを利益率(FCR)4%で運用できれば、儲け120万円を得られることになります。
3,000万円×4%=キャッシュフロー120万円
C あるいは金融機関に預金として預けると(これも運用)利率0.001%で300円の利息がつきます。
3,000万円×0.001%=300円(利息=運用益)
(提供:Wealth Road)