ファイナンシャル・ウェルネスという言葉をご存じだろうか。ファイナンシャル・ウェルネスは、アメリカで大きな注目を集めている概念だが、日本人にも学ぶべき点が大いにある。何を学び、どう活かしていくべきなのか紹介しよう。
ファイナンシャル・ウェルネスとは ?
ファイナンシャル・ウェルネスを日本語に訳すと、「金融の健康度」となる。アメリカの政府機関であるCFPB (Consumer Financial Protection Bureau:米国消費者金融保護局) は、ファイナンシャル・ウェルネスの要素について、次の4点を挙げている。
1) 日々、月々の金銭を管理する能力がある
2) 金銭的なショックを吸収する能力がある
3) 金銭 (財務) 的な目標の達成に向かっている
4) 人生を楽しむための選択ができる金銭的な自由がある
アメリカでは、従業員のファイナンシャル・ウェルネスをサポートするためのプログラムを導入する企業が増えてきている。なぜアメリカの企業は、従業員のファイナンシャル・ウェルネスに注目しているのだろうか。
なぜファイナンシャル・ウェルネスが注目されているのか
ファイナンシャル・ウェルネスが低下する、つまり収支のバランスが崩れて資金繰りに行き詰まっていたり、多額の借金を抱えていたり、計画性がなく金銭的な余裕がなかったりといった問題は、精神的な負担へとつながっていく。精神的な負担が大きくなりその治療が必要になると、治療費による支出が増え、一層精神的な負担が大きくなるという負のスパイラルに陥ることになる。
また、精神的な不調が続くと、仕事を続けられなくなる可能性もある。治療費による支出の増加に加えて、収入源を失うとファイナンシャル・ウェルネスはますます低下する。企業にとっても働き手を失うことになる。
仮に精神的な負担を抱えながら仕事を続けられたとしても、ファイナンシャル・ウェルネスの低い従業員は、資金繰りのことで頭がいっぱいになり、業務に集中できなくなる可能性も高い。実際、アメリカでは、重大な金銭的課題を抱えている従業員ほど、欠勤が増えるという調査結果もある。このような状況は、企業にとって損失につながる。
そのためアメリカの企業は、従業員のファイナンシャル・ウェルネスが低下することのないよう、サポートするためのプログラムを導入している。また、「従業員のファイナンシャル・ウェルネスをどのように向上させるか」ということも大きな課題となっている。
すぐにできる「ファイナンシャル・ウェルネス」を意識した老後の資産管理
アメリカの労働者が抱えている金銭的な課題で一番多い回答があった項目は、「予期しない緊急の出費のための貯蓄がない」ことだ。読者の皆さんには、緊急時のための貯蓄があるだろうか。貯蓄に心配がある場合は、月々の収支のバランスを見直そう。収支を改善する方法は、支出を減らす・収入を増やす・運用する、の3つだけだ。
まず、無駄な支出がないかを確認しよう。保障額の大きすぎる生命保険や医療保険に加入して保険料を払いすぎていないだろうか。利用していないにもかかわらず、解約しそびれている月払いサービスなどはないだろうか。老後に突然支出を減らすことは困難であるため、現役時代から無駄を省く癖をつけることが重要だ。
そして、状況が許すのであれば、アルバイトやパートなどを含め、夫婦共に働くことを検討して収入を増やす工夫をしよう。既に共働きである場合は、副業やキャリアアップを検討してもいいだろう。また、貯蓄だけではなく、リスクを取って資産運用をしているだろうか。リスクを取って運用する場合には、確定拠出年金やつみたてNISAを利用することで節税につながる。また、リスクを取りたくない場合でも、確定拠出年金の元本確保型商品を利用することで拠出額が所得控除の対象となり、節税につながる。
備えあれば憂いなしだ。日々の小さな積み重ねにより、自分のファイナンシャル・ウェルネスを自分自身で守り、経済・心身共に健康でありたいものだ。
(提供:大和ネクスト銀行)
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