●ちょっと名前負けしてるのでは?
日産ハイブリッドコンパクトの3rdノートが登場してから約半年、気になる追加モデルが登場した。
その名もノート・オーラ。
エクステリア、インテリア、走りの全域で高級感をアップさせたい「小さな高級車」である。なんだかんだでネーミングがすごい。
直訳すると「霊気」「霊的な雰囲気」「特別な存在のみが醸し出す雰囲気」を意味する「オーラ」をサブネームとして使っている。
正直、名前負けの感じもなくはないが、内容を聞き、乗ってみるとそれなりに納得。見た目以上に手の込んだ改良が加えられている。
外観からいうと、まずはワイドフェンダーの採用だ。左右外板を変えて全幅が40mmアップの1735mm。結果、国産コンパクトでは珍しい3ナンバーボディに。
正直、パッと見て分かるほどのマッチョ感はない。現行のノートオーナーだったら違いがわかるだろう? ぐらいの地味な違いだ。
しかし見ればみるほど手が込んでおり、同時にヘッドライトは薄型化。デイタイムランニングライトとウィンカーが一体化してその下につき、さらにウィンカーの光り方がシーケンシャルタイプになった。
同時にリアコンビネーションランプの光り方も変わり、点灯すると中央のガーニッシュまでLEDで光る。新型ホンダ・ヴェゼルにも似たライティングによる演出だ。
また足元にはオーラ専用の樹脂パーツ入り17インチ専用デザインホイールが奢られている。
●走りと質感の高さは日本重視の具体化
個人的に質感の良さを最も感じたのはインテリアだ。
ノート・オーラはグレードが2種類あり、コンビシートの「G」と、本革シートの「Gレザーエディション」。どちらもファブリックに高級スーツに使うようなツィード調生地と質感の高いウッド調パネルを使っているのが特徴で、独特の高級感アリ。
加えてGは人工皮革とツィード表皮のコンビシート、Gレザーパッケージは明るいグレーも選べる本革シートが奢られ、どちらもシート表皮のウレタン素材が倍厚に。しっとりとした高級感とともに座り心地が増している。
さらにインフォテイメントが注目ポイント。センターの9インチナビはノーマルと変わらないが、メーターが7インチと5インチのコンビ液晶から12.3インチのフル一体液晶パネルになった。
結果、グラフィックが大きく変わり、とくに日産が「エンハンス表示」という時の見え方が違う。
メーター中央にナビ画面や運転支援の状態を大きく映し出せて、まさにプレミアムクラスの仕立て。
最後に走りの質感アップも結構なレベル。発電用の1.2L直3エンジンは変更なし。だが、駆動モーターのスペックが上がってピークパワーが116psから136ps、ピークトルクが280Nmから300Nmにアップ。
出足のスムーズさもさることながら全体の加速の伸びがかなり違う。
それだけではなく、静粛性が全然違っていて、遮音材を増やしているのに加え、プレミアムクラスしか使わない二重構造のラミネートガラスがフロントドアにハメ込んであるから走り始めると静か静か!
実は加速の良さ以上にこれが効いていて高級感はメチャクチャ高い。
さらに運転支援のプロパイロット機能などとセットオプションの日本初のヘッドレストスピーカーを使ったBOSEパーソナルプラスサウンドシステムも音の立体感が素晴らしい。
というわけで、知れば知るほど、見た目以上に質感、走りの上質感が上がっているノートオーラだが、なぜこんなに頑張っているのかといえば、1つはノートがガソリンエンジンを捨て、電動のe-POWERを採用したことも大きい。
価格的にはライバルのホンダ・フィットやトヨタ・ヤリスに敵わないわけで、ノートのe-POWERの良さを生かすにはやはり質感アップの方向しかないのだ。
もう1つはカルロス・ゴーン体制から脱出だろう。
かつて日産は、国内向けモデルにお金をかけることは許されず、グローバルモデルばかり注力していた。結果、国内販売モデルが減ってきたわけだが、新体制は違う。
もっと日本人に向けた日本人のための日産車が作れるようになってきている。
だからこそのノート・オーラであり、もちろん国内専用モデルだ。正直、通好みだが、走りと質感にウルサい日本の日産ファンにはそれなりに響くはず。
ぜひ一度、実車に触れて頂きたいモデルなのである。
(提供:CAR and DRIVER)