8/30(月)からは受け渡しベースで「9月相場」に移行します。
足元の日経平均株価は、新型コロナウイルスの感染再拡大を含む、様々な不透明要因を背景に、上値が重くなりつつあります。しかし、こうした投資環境は、配当や株主優待を享受しつつ、中長期で投資パフォーマンスを高めようとしている投資家にとっては、投資好機になるかもしれません。そこで今回は、9月に株主の権利が確定し、第1四半期決算が好調で、好配当、株主優待が期待できる銘柄をご紹介します。
足元で株式市場は不安定さを増していますが、これらの銘柄には逆に、買い場が到来する可能性がありそうです。
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。
日本株投資戦略
新しいウィンドウで開きます。
※YouTubeに遷移します。
■執筆者のプロフィール
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
≪9月株主優待≫20万円未満、好業績・好配当予想の“厳選”20銘柄
8/30(月)からは受け渡しベースで「9月相場」に移行します。
上場企業の多くが、3月本決算・9月中間決算です。このため、株主優待の権利確定月となる銘柄数も9月は408銘柄と、3月の788銘柄に次いで2番目に多くなります。「9月相場」では、株主優待や配当への関心が相当高まってくると予想され、投資家としては今から備えておきたいところです。
スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)9月に株主の権利確定月を迎える上場銘柄であること。
(2)9月末に配当実施予定で、同月末予想1株配当を株価(8/26)で割った利回りが1%以上あること。
(3)株主優待の権利獲得に必要な最低金額(多くは100株での売買金額)が20万円未満の銘柄であること。
(4)株主優待の権利を確保する際に、最低投資期間等の条件が付加されていない銘柄であること。
(5)株主優待の内容が金券、またはその同等物で金銭換算可能な場合、その金額が1,000円以上。
(6)直近の四半期累計営業利益が前年同期比で増益(黒字転換・赤字縮小含む)、または進捗率が標準以上。
(7)つなぎ売り(制度売り)の対象銘柄であること。
上記すべての条件を満たす銘柄について、(2)の9月末予想1株配当の利回りが高い順に掲載したものが図表1となります。また、上記の主要項目について、注意点は以下の通りです。
(1)掲載銘柄はすべて、権利付き最終日が9/28(火)です。
(2)「予想9月末1株配当」は会社予想。3月決算銘柄は上期末、9月決算銘柄は下期末の配当。その予想金額(B)を株価(A)で割った数値が「(B)/(A)」で、年間ベースの「予想配当利回り」とは異なります。
(3)株主優待の権利が確定する最低投資単位は粧美堂(7819)のみ300株で、他の銘柄はすべて100株です。
(5)クオカードやお米券、たまご券等を対象にしています。
(6)直近の四半期累計営業利益は3月決算銘柄ならば2021/4~6期、9月決算銘柄ならば2020/10~2021/6期が対象です。標準となる進捗率は3月決算銘柄ならば25%、9月決算銘柄ならば75%となります。
図表1 ≪9月株主優待≫20万円未満、好業績・好配当予想の“厳選”20銘柄
コード / 銘柄 / 株価(A)(8/26) / 予想9月末1株配当金額(B) / 予想9月末1株配当(B)/(A) / 株主優待の権利が確定する最低投資単位での株主優待概要
<4902> / コニカミノルタ / 548 / 15.0 / 2.74% / オリジナルカレンダー
<1808> / 長谷工コーポレーション / 1,476 / 35.0 / 2.37% / 滋賀県産コシヒカリ(5kgまたは10kg)20%割引販売
<3738> / ティーガイア / 1,940 / 37.5 / 1.93% / クオカード1,000円相当
<7837> / アールシーコア / 834 / 15.0 / 1.80% / 宿泊料金割引他
<6073> / アサンテ / 1,732 / 31.0 / 1.79% / 三菱UFJニコスギフトカード1,000円相当
<7539> / アイナボホールディングス(9) / 1,060 / 18.0 / 1.70% / クオカード1,000円相当
<4676> / フジ・メディア・ホールディングス / 1,157 / 18.0 / 1.56% / 自社オリジナル手帳
<7510> / たけびし / 1,548 / 24.0 / 1.55% / クオカード1,000円相当
<8242> / エイチ・ツー・オー リテイリング / 820 / 12.5 / 1.52% / 株主優待券5枚他
<9882> / イエローハット / 1,919 / 29.0 / 1.51% / 割引券(300円)10枚および商品引換券
<5121> / 藤倉コンポジット / 663 / 10.0 / 1.51% / ゴルフクラブリシャフト40%割引券2枚他
<9035> / 第一交通産業(福) / 714 / 10.0 / 1.40% / 優待クーポン券1冊
<8281> / ゼビオホールディングス / 1,074 / 15.0 / 1.40% / 優待券(20%割引)1枚+同(10%割引)4枚
<8157> / 都築電気 / 1,713 / 23.0 / 1.34% / カタログ商品1,000円相当
<5481> / 山陽特殊製鋼 / 1,683 / 20.0 / 1.19% / オリジナルカレンダー(希望者のみ)
<7819> / 粧美堂(9)【最低300株】 / 422 / 5.0 / 1.18% / 3,000円相当自社企画商品
<7752> / リコー / 1,102 / 13.0 / 1.18% / (全株主)自社製品特別価格販売
<4526> / 理研ビタミン / 1,784 / 21.0 / 1.18% / 自社関連商品1,000円相当
<9409> / テレビ朝日ホールディングス / 1,718 / 20.0 / 1.16% / (全株主)自社グループ取扱商品割引販売他
<7455 / 三城ホールディングス / 263 / 3.0 / 1.14% / 株主優待カード(20%割引)2枚
※Bloomberg、会社公表データ等をもとにSBI証券が作成。
※銘柄名右が無印の銘柄は東証上場・3月決算企業です。(9)は東証上場・9月決算企業。(福)は福証単独上場銘柄です。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
※株主優待内容のすべてを記載した訳ではありません。株主優待の内容、権利確定月、権利付最終日等は随時変更される可能性がありますので、最新の情報は必ず当該企業のホームページ等をご確認ください。
※データは東洋経済新報社が作成にあたり調査した毎月中旬までの公表情報に基づくものです。そのため、株式分割・売買単位変更等のコーポレートアクションにより、優待獲得最低株数・優待獲得最低金額等が実際とは異なる場合がありますのでご注意ください。
抽出銘柄の投資ポイント
この項では、図表1で抽出した銘柄の一部について、投資ポイントや株主優待・配当のより詳細な内容をご紹介します。
コニカミノルタ(4902)~複合機や画像診断装置等をグローバル展開。年間予想配当利回りは5%を上回る
期間:2021/3/4~2021/8/27(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■複合機等をグローバル展開
複写機や情報機器をグローバルに展開しています。売上構成比(2021/3期)は、複合機および消耗品の開発・製造・販売が中心の「デジタルワークプレイス事業」が54%、デジタル印刷システム他の「プロフェッショナルプリント事業」が20%、X線や超音波など画像診断関連製品等の「ヘルスケア事業」が13%他となっています。
顧客所在地別売上高(2021/3期)は日本20%、欧州29%、米国26%、中国10%等、グローバルに展開しています。
2022/3期・第1四半期は、売上高2,298億円(前年同期比32.7%増)、営業利益31億円(前年同期は226億円の赤字)と回復。通期では売上高9,400億円(前期比8.9%増)、営業利益360億円(前期は162億円の赤字)を目指します。
■株主優待はオリジナルカレンダー
上期末15円+期末15円=通期30円の配当を計画し、8/26(木)終値548円に対する年間予想配当利回りは5.47%と計算され、東証1部の予想配当利回り(1.86%)を大きく上回っています。
9/28(火)時点で100株以上保有する株主に対し、オリジナルカレンダーが贈呈される予定です。
株価は6/9(水)高値658円以降下落基調です。新型コロナウイルスの感染拡大でオフィスでの印刷需要低迷長期化が懸念されました。第1四半期の営業利益(7/29発表)が市場予想を下回ったことも、8月の株価には逆風となった模様です。ただ、下値支持ラインとして重要視される200日移動平均線まで下げた後は、下げ渋っています。
長谷工コーポレーション(1808) マンション建築で高シェア。株主優待はコシヒカリを割引価格で
期間:2021/3/4~2021/8/27(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■マンション建築で高シェアの準大手ゼネコン
首都圏マンション新規供給戸数に対して36.7%(2020年)と高い施工シェアをもつ準大手ゼネコンです。近畿圏でも同シェアは19.5%です。特に100戸以上の大規模物件では5割以上のシェアを誇ります。1969年以来、マンション施工実績の累計(2021/7末)は67万戸に達しましたが、これは、日本の分譲マンションストックの約1割に相当します。
2022/3期・第1四半期は売上高2,137億円(前年同期比24.3%増)、営業利益203億円(同69.6%増)と回復。通期では、売上高8,500億円(前期比5.0%増)、営業利益780億円(同7.0%)と増収・増益を見込ます。
■コシヒカリを割引価格で~配当利回りの高さも魅力
上期末35円+期末35円=通期70円の配当を計画し、8/26(木)終値1,476円に対する年間予想配当利回りは4.74%と計算され、東証1部の予想配当利回り(1.86%)を大きく上回っています。
9/28(火)時点で100株以上保有する株主は、滋賀県上田上産コシヒカリ(5kgまたは10kg)を20%割引で購入することができ、購入者が希望すれば米ぬかの送付を受けることもできます。
ご参考までに3月に権利が確定する株主優待では別途、長谷工グループのサービス利用券(工事代金割引等)の贈呈が予定されています。
エイチ・ツー・オー リテイリング(8242) 電鉄系百貨店2社の経営統合で誕生
期間:2021/3/4~2021/8/27(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■下期の回復に期待
阪急百貨店(1929年創業)、阪神百貨店(1933年創業)という電鉄系百貨店2社の経営統合により誕生(2007年)。他に「阪急オアシス」「イズミヤ」ブランドによる食品・総合スーパー、ビジネスホテル等も手掛けています。
2022/3期・第1四半期の営業損益は20億円の赤字と苦境が続いていますが、前年同期の32億円赤字からは改善傾向です。上期は営業赤字52億円、下期は営業利益62億円と、下期の業績回復を期待しています。
■百貨店・スーパーで使える株主優待券
上期末12.5円+期末12.5円=通期25円の配当を計画し、8/26(木)終値820円に対する年間予想配当利回りは3.0%と計算され、東証1部の予想配当利回り(1.86%)を大きく上回っています。
9/28(火)時点で100株以上保有する株主は、株主優待券(百貨店は10%割引、スーパーは5%割引)5枚を贈呈される予定です。500株以上では、10枚贈呈される予定です。さらに、500株以上を3年継続して保有している場合は、10枚追加される予定です。
イエローハット(9882) 国内に740店を展開するカー用品大手
期間:2021/3/4~2021/8/27(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■全国展開のカー用品大手
カー用品、二輪用品の販売、車検、整備サービスなどを行う全国チェーンで、国内に740店舗(2021/3末現在)を展開しています。主力の「イエローハット」ほか、二輪用品販売の「2りんかん」、二輪車輌販売の「バイク館SOX」等があります。
2022/3期・第1四半期は売上高333億円(前年同期比7.2%増)、営業利益25億円(同39.7%増)と回復。通期では、売上高1,500億円(前年同期比2.0%増)、営業利益135億円(同4.0%増)と増収・増益を見込んでいます。
■100株保有で計3,000円分の割引券
上期末29.0円+期末29.0円=通期58円の配当を計画し、8/26(木)終値1919円に対する年間予想配当利回りは3.0%と計算され、東証1部の予想配当利回り(1.86%)を大きく上回っています。
9/28(火)時点で100株以上保有する株主は、割引券(300円~1,000円ごとに1枚利用可能)10枚(計3,000円分)が贈呈されます。同割引券は、1,000株以上保有で25枚、3,000株以上保有で40枚、5,000株以上保有で50枚の贈呈になります。
その他、100株以上の保有で「油膜取りウォッシャー液」1本と引換可能な商品引換券も贈呈される予定です。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。
鈴木英之
SBI証券 投資調査部
【関連記事 SBI証券より】
・≪波乱の"半導体関連銘柄"≫今後の展望とは。
・≪8月株主優待17銘柄≫30万円以下で買える"少数精鋭"!?銘柄をご紹介
・≪大幅安の好決算銘柄とは≫今後上昇が期待される11銘柄
・≪20万円未満で買える「好配当+株主優待」15銘柄≫株価下落で"予想外の買い場"か!?
・≪リベンジ消費関連12銘柄≫物色動向を探る動きが本格化か