2,000万円の建築予算で注文住宅を建てることは可能?
(画像=Nishihama/stock.adobe.com)

注文住宅と聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょう。デザイン性が高くて高級な住宅といったイメージでしょうか?限られた建築本体予算(建築費)の中で注文住宅を建てることは可能なのか悩まれる人も少なくないと思います。例えば2,000万円という建築費で注文住宅を建てることは可能か見ていきたいと思います。

注文住宅の予算の内訳にはどのようなものがある?

住宅を建てるためにはどのような費用がかかるのでしょうか。まずはかかる費用の内訳について確認していきます。

土地購入費用

住宅を建てるにあたっては、住宅を建てることのできる土地が必要になります。元々所有している土地に建てたり、建て替えを行ったりする場合は土地の購入費用は必要ないかもしれませんが、それ以外では土地の購入費用を見込む必要があります。

また、土地購入費用は都市部であれば建物の工事費用以上に高額になることもあります。そのため、住む場所によっては建物予算(建築費)に回せるお金にも大きく影響します。

土地の広さによっても土地費用は変わってきます。以下は国土交通省が公表している「住宅地の圏域別・地方別平均価格表」になります。平均価格は1平方メートルあたりです。

(単位:円/平方メートル)

圏域別・地方別 平均価格 圏域別・地方別 平均価格
東京圏 211,800 北陸地方 35,800
大阪圏 141,200 中部地方 48,000
名古屋圏 104,800 近畿地方 39,200
北海道地方 20,000 中国地方 32,800
東北地方 24,200 四国地方 32,800
関東地方 27,500 九州・沖縄地方 36,900

(出典:国土交通省 令和2年住宅地の圏域別・地方別平均価格
※関東地方は東京圏、中部地方は名古屋圏、近畿地方は大阪圏をそれぞれ除く地域

東京圏は北海道地方の実に約10倍も土地価格が高いことがわかります。東京圏で100平方メートル(約30坪)の土地を購入するとなると、上記表からひとつの目安として約2,100万円(211,800円×100平方メートル)の予算を見込む必要がありそうです。さらには同じ東京圏でも、世田谷区の1平方メートルあたりの土地単価は、約72万円(2021年8月1日現在)です。100平方メートルの場合で約7,200万円です。

このように、住む地域によって建築費に回せる予算に大きな影響のあることがわかります。

建物本体工事費用(建築費)

建物本体工事費用(建築費)は建物そのものにかかる費用です。一般的には注文住宅の総費用(土地費用除く)のおよそ70〜80%程度が目安といわれています。基礎工事、木工事、内外装工事など建物の建築に必要な工事費用が含まれます。

付帯工事費用(別途工事費用)

付帯工事費用は門や塀の工事や、駐車場や庭などの造成、水道やガスなどの引き込み工事、照明やカーテン、エアコンなどの購入・取り付け工事、地盤補強工事など建物本体以外の工事にかかる費用が対象となります。

既存の建物がある場合などは、その解体工事費用なども含まれます。一般的に総費用(土地費用を除く)の20%程度が目安といわれています。

諸費用

諸費用は建物や付帯工事以外にかかる費用です。主な諸費用には、住宅ローン融資手数料や保証料、不動産売買の仲介手数料といった手数料などや契約にかかわる印紙代、不動産取得税や固定資産税、登録免許税(登記料)といった税金などがあります。

他にも新たな生活を始めるための引っ越し代や家具、家電などの購入費用も含まれます。一般的には総費用の5〜7%が目安といわれていますが、10%程度を見込んでおくと安心かもしれません。

土地取得費用以外の家づくりにかかる費用の内訳の割合

これまで見てきた家づくりにかかる費用の内訳の割合をまとめると、おおよそになりますが、
建物本体工事費用:70%
付帯工事費用:20%
諸費用:10%
といった割合になります。

注文住宅の建築費用の相場

では、注文住宅を建てた人たちは建築費にどのくらいの費用をかけているのでしょう。もちろん注文住宅ですから、こだわりのある住宅に費用をかけたいだけかけることも可能ですが、ここでは、あくまで参考として住宅金融支援機構の2019年度フラット35利用者調査からその数字を見ていきます。

平均的な注文住宅の延べ床面積

注文住宅で家を建てた人の延べ床面積を確認していきましょう。延べ床面積とは建物の各階の床面積の合計のことです。一部条件付きですがロフトやバルコニーなど延べ床面積に含まれないものもあります。それらは床面積に含まれないといっても建築費はその分増えたりはします。

(単位:平方メートル)

全国 首都圏 近畿圏 東海圏 その他地域
注文住宅 125.8 125.2 125.3 127.8 125.6
土地付注文住宅 111.5 105.8 111.0 115.2 113.8

(出典:住宅金融支援機構 2019年度フラット35利用者調査
※注文住宅は「土地購入なし」、土地付注文住宅は「土地購入あり」を指す

上記表からは120平方メートルほどの延べ床面積の広さの注文住宅が平均のようです。土地購入の必要のない注文住宅のほうが、土地購入が必要だった注文住宅より若干広い住宅が建てられているようです。

全国平均でその差は約14平方メートルです。約3.31平方メートル(約1坪)は畳数にすると約2畳ですから、その差は8畳ほどの広さの差となります。

なお、国土交通省では、世帯人数に応じた「最低居住面積水準」と「誘導居住面積水準」というものを公表しています。

最低居住面積水準:健康で文化的な住生活を送れる基本水準
誘導居住面積水準:豊かな住生活を実現する基本水準

それによれば、誘導居住面積水準は3人家族の場合で100平方メートル、4人家族の場合で125平方メートル(郊外や都市部以外での戸建住宅住居の場合)となっています。このことからも、注文住宅の平均的な延べ床面積は妥当な広さといえるでしょう。

平均的な注文住宅の建築費相場

住宅金融支援機構の2019年度フラット35利用者調査では「建設費」として数字が公表されているため、建物本体工事費(建築費)以外にも付帯工事費用が含まれている数字の可能性があります。それでも建築費相場としての目安になると思います。

(単位:万円)

全国 首都圏 近畿圏 東海圏 その他地域
注文住宅 3452.4 3768.8 3553 3518.6 3274.5
土地付注文住宅 4256.8 4993.3 4343.4 4278.1 3869.2
(建築費) (2874.3) (2751.6) (2749.3) (3019.4) (2945.2)
(土地取得費) (1382.5) (2241.7) (1594.1) (1258.7) (924.0)

(出典:住宅金融支援機構 2019年度フラット35利用者調査
※土地付注文住宅の数字は(建築費)と(土地取得費)の合計として算出

上記表から注文住宅の建築費としておおよそ3,000万円程の費用をかけていると見て取れます。また地域間で大きな建築費の差はないようです。

一方で、土地取得が必要だった場合とそうでない場合で、建築費にかけられている費用に差が生じていることも分かります。特に土地取得費用が高い傾向にある首都圏では、建築費にその差が1,000万円ほどもあるようです。

ローコストの注文住宅のメリット

販売価格が決まっている建売住宅と違い、注文住宅は建てる人の予算によって建築費にかける費用を調整できるのがメリットの一つといえます。

先の建築費相場で見てきたように、注文住宅の建築費用は3,000万円程度が平均のようですが、建てるエリアによっては2,000万円の予算でも注文住宅を建てることは可能です。東京や首都圏で建てるならば、どうしてもエリアは限定され狭小となりますが、工夫次第で快適で個性豊かな住宅を建てることができるでしょう。

注文住宅の建築費相場と比較すれば2,000万円の注文住宅はローコストの注文住宅といえるかもしれません。ローコストで注文住宅を建てられるメリットは、その名の通り費用を抑えながらもこだわりのある家を建てることができることです。

注文住宅だからこそ一般的なローコスト住宅と違い、デザイン性の高い家を建てることも可能です。素材にこだわることもできます。費用をかけるところと抑えるところにメリハリをつけられるなど、家族構成やライフスタイル、自分の好みにあった家づくりに予算を柔軟に配分できることもローコスト注文住宅のメリットといえるでしょう。

注文住宅を2,000万円の建築予算内で建てるために工夫できること

デザイン性の高い家を建てることができるのはローコスト注文住宅の魅力のひとつです。限られた予算で注文住宅を建てるためには家の形や大きさ、間取りや素材選びなどで工夫することが必要です。できるだけシンプルな家づくりをすることが建築費用を抑えるポイントのひとつといえるでしょう。

家の形がシンプルであればあるほど資材などの使用量も少なく工事費、人件費なども減らすことが可能となってきます。また、建物本体に費用をかけるために、あとでリフォームしやすい部分(壁紙などの内装やキッチン設備やお風呂など)は家を建てる時点では費用を抑えるといった工夫もできるかと思います。

ライフスタイルは家族構成や仕事、趣味などの変化に応じて変わっていくものです。将来のライフスタイルの変化も見据え、間取りなどを過度に作りこみすぎないシンプルな家づくりができることが注文住宅の魅力といえます。

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