オーダーメイド住宅って自由設計とは限らない?
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オーダーメイド住宅と聞くとどのようなイメージを持たれますか?デザインや間取りを自分の好みに自由にアレンジができる高級住宅といった感じでしょうか?オーダーメイド住宅は注文住宅ともいわれます。自由な設計が可能な住宅であるという認識が一般的かと思いますが、すべてがそうであるとも限らないようです。

目次

  1. オーダーメイド住宅(注文住宅)にも種類がある
    1. フルオーダー住宅
    2. セミオーダー住宅
    3. 規格住宅
  2. 自由設計であればあるほど生じるデメリット
  3. 注文住宅と建売住宅、どちらを選ぶ?
    1. 建売住宅の特徴
    2. 注文住宅に向いている人
  4. 家づくりでは「こだわり」と「時間・コスト」のバランスが大事

オーダーメイド住宅(注文住宅)にも種類がある

昔の住宅建築はすべてオーダーメイドだったといえるかもしれません。昔の家づくりでは、家を頼む施主と家を建てる職人の関係が近かったといわれています。施主が地元の棟梁に家づくりを依頼して、棟梁が施主の希望や事情を知ったうえでどんな家を建てたら良いかをアドバイスしたようです。そうして住宅は一棟一棟が造られていったようです。

今はハウスメーカーや工務店などが住宅建築を請け負うのが一般的です。また、ハウスメーカーでも工務店でもオーダーメイド住宅(注文住宅)を請け負うことを打ち出しています。注文住宅は、注文を請けてから設計・建築が始まり、自由な設計を売りにしていることが大きな特徴となっています。

自由な設計といっても、その自由の程度によって注文住宅には3つの種類があります。一つひとつその特徴を見ていきましょう。

フルオーダー住宅

フルオーダー住宅は、間取りから内装や外装、インテリアや住宅設備などをほぼ自由に決めることができることから、自由設計住宅とも呼ばれたりもします。場合によっては設計を専門の建築家や設計事務所に依頼することもあります。

施主のこだわりを反映させた理想の住まいが実現できますし、想像以上の家が出来あがったりすることもあります。他とは違う個性的なデザインの住宅は唯一無二の存在感をもたらします。また、土地の形状にも柔軟に対応することも可能です。

一方で、こだわりが強ければそれだけ設計などの打ち合わせに時間がかかったり、コストが高くなったりする傾向があります。ただし、予算をしっかり決めることでその予算の範囲内で施主のさまざまな希望を検討することは可能です。

セミオーダー住宅

ある程度決められた選択肢からパターンを自由に組み合わせて設計した住宅がセミオーダー住宅です。フリープラン住宅ともいわれます。間取りやデザイン、構造、設備などを提案されたものから選んでいきます。

さまざまなものをカタログの中から選んでいくような感じですので、カタログ外のものを選択したりオプションを増やしたりするとコストが高くなる傾向になります。ある程度好みは反映できますが、選択肢の範囲での設計となるため、こだわりを反映するには制約が生じる可能性があり、フルオーダー住宅ほどの自由はありません。

規格住宅

セミオーダー住宅同様、規格住宅も住宅会社から提案された選択肢の中から選択して設計していく形になります。ただ、セミオーダー住宅では間取りについても選択できていたものが、規格住宅において間取りはあらかじめ決められているなど、設計の自由度が制限されているケースが多いようです。

また設計の自由度が制限されている分、変形地などの土地形状によっては規格住宅での建築は難しい場合があります。一方で、ある程度規格が決まっていることからコストや工期を抑えることが可能です。施工においても規格化されている分、トラブルが比較的起きにくいといえます。

また規格化されたモデルハウスを見学することができる住宅会社もあり、入居する物件のイメージをしやすいといったメリットもあります。比較的万人受けする無難なデザインや設計の住宅となる傾向があります。

自由設計であればあるほど生じるデメリット

注文住宅でも、よりこだわりある理想の家を実現するためにはフルオーダー住宅での家づくりがその希望を実現できそうです。しかし自由に設計ができる分のデメリットもあります。

  • ゼロから造りあげるため、当初は完成した建物や生活スタイルがイメージしにくい
  • 細部まで一つひとつ検討が必要だったりすることもあり、打ち合わせ期間が長くなりやすい
  • 家族それぞれのこだわりが強いとなかなか意見がまとまらない
  • コストをかければこだわりを実現することが出来やすい分、予算オーバーになりがち

上記のようなデメリットを克服するために大事なことは、信頼することができ、自分とフィーリングの合う住宅会社のプランナーや設計士、営業を見つけることです。しっかり要望をヒアリングしてくれて、押しつけでない適切な提案をしてくれる住宅会社を見つけましょう。

またデメリットを克服するためにもう一つ大事なのは決断力です。お金だけでなく「時間」もコストです。時間をかけすぎると、せっかくの家づくりそのものが嫌になってしまうこともあります。ダラダラと考え込み決断することができず、「だいたいこんな感じでいいか」と妥協して進める家づくりは後悔を生む可能性があります。妥協ではなく一つひとつしっかり「決断」しながら家づくりを進めていきましょう。

注文住宅と建売住宅、どちらを選ぶ?

新築住宅を手に入れるには注文住宅だけでなく建売住宅を購入する方法もあります。住宅購入の選択肢を広げるためにも建売住宅のことも理解しておきましょう。

建売住宅の特徴

業者が土地に建物を建てたうえで、土地と建物を一体として販売されている住宅が建売住宅です。注文住宅を「住む人に合わせてつくられた家」というとしたら、建売住宅は「住む人が家に合わせて住む家」ともいえるかもしれません。

すでに完成された物件ですので実際に見学して購入を検討することが可能であることはメリットのひとつです。住宅会社によっては建物完成前より売り出しをしている場合もありますが、その場合でも見学できるモデルハウスが用意されていたりします。また販売価格という形で金額も決まっているので資金計画がしやすいこともメリットです。

一方で、すでに企画・設計・デザインなどが決まっていることから、仕様などの変更をすることが難しかったりできない場合が多いです。また、建物が完成している場合はほとんどなので、構造体や壁の内部といった見えない部分のチェックなどができないことはデメリットといえます。

注文住宅に向いている人

建売住宅を手に入れるという選択肢もあるなかで、注文住宅が向いているのは以下のような人かもしれません。

  • 家づくりにこだわりのある人
  • ゼロからモノをつくりあげていくことが好きな人
  • 理想の生活スタイルを手に入れたい人
  • 近所に家が建築されているとその過程が気になる人

家づくりでは「こだわり」と「時間・コスト」のバランスが大事

家づくりでは「こだわり」と「時間・コスト」は比例する傾向にあります。デザインや間取り、住宅設備、耐震・気密・断熱といった住宅性能や構造、かける費用など、家づくりで考えなければならないポイントはたくさんあります。すべての希望をかなえようとすると、それだけコストもかかります。

一方で、コストをあまりに抑えようとすると妥協しなければならないことが多くなり、せっかくの注文住宅による家づくりであるにもかかわらず、のちのち後悔することになるかもしれません。

住宅購入は人生で一番大きな買い物ともいわれます。そのため、どれだけの費用をかけるかは、人生でかかるその他のライフイベント費用(教育費や趣味、老後資金づくりなど)も含め、何を大切にしたいかしっかり検討することも必要です。

「こだわり」は家づくりだけでなく、人生のさまざまなライフイベントへのこだわりの程度に応じてかける「コスト」のバランスをとることが大事です。また「時間」についても家づくりを一度ですべて終わらせるのではなく、家族のライフスタイルの変化に応じで時間をかけながら家づくりをしていくというバランスも大事です。

(提供:タツマガ

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