インターファクトリー【4057・マザ】中堅・大手企業向けクラウド型EC構築の最大手 流通総額は年1.4倍増、売上高100億円目指す
蕪木 登代表取締役兼CEO

 インターファクトリーはECサイトを構築するクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」の開発・保守を手掛ける企業だ。中堅・大手企業を対象とし、クラウド型でありながらカスタマイズが自由にできる点が強み。クラウドEC市場では社数ベースで8割近く(※1)のシェアを持つ。EC市場の拡大を追い風に、中長期では売上高100億円を目指す。

蕪木 登社長
Profile◉蕪木 登(かぶらき・のぼる)代表取締役兼CEO
1973年10月生まれ。埼玉県出身。98年システムマネージメント入社。2001年ケーソフトに入社。03年にインターファクトリーを設立、代表取締役に就任(現任)。06年に株式会社に組織変更。

コロナ下でEC化加速
クラウド型で約8割のシェア

 インターファクトリーの2021年5月期の業績は売上高が前期比18.6%増の21億7031万円、営業利益は同21.7%増の2億855万円。コロナ下で企業のEC化が加速し、新規案件が増加するなどの要因から、業績を上げている。20年8月にマザーズに上場した。

 同社が提供する「ebisumart(エビスマート)」は、年商1~100億円の中堅・大手企業向けのクラウドコマースプラットフォームだ。同業他社のサービスと異なるのは、完全にクラウド型サービスに特化している点。インターネットを介してアプリケーションが導入でき、自動アップデートも可能なASP(アプリケーションサービスプロバイダ)サービスの「システムが古くならない」メリットと従来のパッケージソフトが売りとするカスタマイズ機能を併せ持つ。これにより同サービスの3つの特長である①拡張性、②最新性、そして利用状況に応じてインフラ環境へも柔軟に対応し③安心性を実現している。

 また業種業界を問わず、オムニチャネルやモール型など様々な形態のプラットフォームにも対応可能。導入累計実績は700店舗以上、21年5月期時点で384店舗の顧客を持ち、GMV(※1)は1270億円を超える。クラウドEC市場では社数ベースで77.6%(※2)のシェアで業界をリードする。

 事業は単一セグメントだが、ebisumartの導入に際し、カスタマイズなども含めた初期費用となる①システム受託サービス(フロー)が全体の4割、リリース後のサポート業務を行う月額費用の②システム運用保守サービス(ストック)が6割を占める。

他社からの乗換率は7割
カスタマイズで最良の状態

 同サービスの導入を検討する新規顧客の7割が、他社からの乗り換えとなる。成長が著しい企業では流通量が増えるにつれ、自ずとシステムをより大きなものに設計し直す必要性が出てくる。

「まず要望をお聞きし、標準プランにない部分はカスタマイズを提案します。ニーズが多いのは、物流や販売、在庫状況といった基幹機能との連携ですね。ECサイトは、既存の顧客のロイヤルティをいかに高められるかが成功のカギとなり、その実現にはEC内の仕組みづくりが何よりも大事です」(蕪木登社長)

 システム受託開発の際は、プロジェクト・マネジメント制を導入し、設計、開発、テスト、納品までを同一のメンバーが担当する。品質強化と万が一の障害発生時の体制を整えている。

 またクラウド型の場合、導入後もカスタマイズ・修正・変更などが可能。「納品して終わりではなく、そこからが始まり」で、自動アップデートもしながら、ECを常に最良の状態に仕上げる。また保守サービス・セミナーなどの各種サポートを手厚く行うことで、1店舗当たりのGMVを上げ、顧客と共に成長する。

 月額料金は3つの料金プランを設定しており、従量課金と固定課金(初期費用300万円以上)、月額売上の2・5%以上を支払うレベニューシェア(初期費用1000万円以上)がある。総売上の6割がこのシステム運用保守事業から発生するが、従量課金プランがその売上の92.9%となっている。

社員の成長で利益率上昇
採用強化にも取り組む

 同社は自らもエンジニアだった蕪木社長が、前職で開発したECパッケージを元に03年に創業。10年に他社に先駆けてクラウド型に準じたECサイトに再構築した。

「当社に定着してくれたエンジニアが成長し、トラブル案件や発注時のチェックミスなどが減ったことで、フローの利益率が上がり、ストックも蓄積されました」(同氏)

 16年には0.9%だった利益率が21年は9.6%にまで上昇した。企業理念は「関わる従業員、お客様、取引先様の幸せを実現する」。福岡と宮崎の開発ラボと呼ばれる拠点で遠隔地での勤務という選択肢を設け、エンジニアの採用強化にも取り組む。

「ECの世界にはまだ製品化されていないサービスが無数にある。当社のエンジニアにはOJTで経験を積み、新しいプロダクトを作ってもらいたい」(同氏)

収益性、使いやすさ追求し
営業利益20億円が目標

 将来は「新しいプロダクトでebisumartを包含するような仕組みを考えている」(同氏)という。

「収益性を上げ、もっとお客様が使いやすく、もっとフィットするように変えていきたい。今後もEC業界の成長性は高く見込まれているため、当社としてはマーケットから求められる要望に対して、実直に応えていくことが必要だと考えています」(同氏)

 GMVは現時点で1270億円を超え、年平均1.4倍で成長している。中長期では、売上高100億円、営業利益20億円を目指すという。

※1 GMV(Gross Merchandise Value:流通総額)

※2 出典:富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2020年度版」<ECサイト構築ツールSaaS型非カート型市場2019年度シェアNO.1>

インターファクトリー【4057・マザ】中堅・大手企業向けクラウド型EC構築の最大手 流通総額は年1.4倍増、売上高100億円目指す
▲ebisumartの3つの特徴
インターファクトリー【4057・マザ】中堅・大手企業向けクラウド型EC構築の最大手 流通総額は年1.4倍増、売上高100億円目指す
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