日本のみならず、世界中のマーケット関係者が注目した今回の自民党総裁選挙。決選投票の結果、岸田文雄前政調会長が河野太郎行政改革相を破り、自民党総裁に選出された。10月4日の臨時国会で岸田氏が第100代の首相となり、本格的な選挙モード(衆議院)に突入することになる。過去の経験則やマーケット関係者の声を拾い、選挙と株式市場について考えてみた。

自民党
(画像=PIXTA)

海外投資家が期待していたのは、河野首相の誕生

先の自民党総裁選は岸田氏の圧勝となったが、実はマーケット関係者、とくに海外投資家が期待していたのは、「河野新首相」の誕生だったという。改革派のイメージが強い河野氏が、変化を求める海外投資家に支持されたようだ。

「実際、投票日の数日前に河野氏優勢が伝わると、先物市場が主導するかたちで日経平均株価が急上昇していました。これは海外投資家による先物買いと見られています。ところが、今度は投票日当日に1回目の投票で岸田氏が河野氏を抑えてトップに立つと、先物市場に売り物が殺到し、日経平均が急落したのです」とは、金融情報会社の社長。

決選投票の最終結果は、投票日当日のマーケットが開いている時間には間に合わなかったが、1回目の投票結果ですでに岸田氏の新総裁は織り込みずみとなり、海外投資家の売りが殺到したのだという。岸田新総裁が誕生した29日の日経平均株価は、前日比639円安の2万9544円で取引を終えた。ただ、この日は9月末の配当落ち日(約181円)ということに加え、前日のニューヨーク市場が大幅安だっただけに、どこまでが投資家による失望売りだったかは不明だ。

大健闘した高市早苗氏のマーケットの評価は?

一方、アベノミクスを継承し、「サナエノミクス」を打ち出していた高市早苗氏もマーケット関係者の評価は高かった。「金融緩和、緊急時の機動的な財政出動、大胆な危機管理投資と成長投資といった3本の矢を示したのですが、特にプライマリーバランス(基礎的財政支出)を無視してでも財政を出動させるという意気込みは株価にとってはプラス材料に捉えられました。ただ、一方で、株式投資など金融所得の税率の引き上げについて自らの考え方を示していたことはネガティブ材料でしたが……」とは、中堅証券のエコノミスト。

11月上旬に投開票の衆院選。ここからの株式市場は?

さて、最終的には本命視されていた岸田氏が自民党総裁に収まったわけだが、ここから株式市場はどのような反応を示すのだろうか?まずは10月4日の臨時国会で新首相が指名され、その後、衆議院解散を経て、26日公示、11月7日もしくは14日に投開票というシナリオが一人歩きしているが……。