東京株式市場は荒い値動きが続いています。
日経平均株価は9/27(月)~10/6(水)にかけて、およそ12年ぶりの8営業日連続安となり、年初来安値(8/20)も意識される水準まで低下しました。しかし、米長期金利の上昇が一服すると、10/7(木)以降の日本株は大幅高となる日も目立ち始めました。
米国では2021年7月~9月の決算発表がスタートしましたが、日本でも10月下旬以降に決算発表が本格化します。
そうした中、改めて注目したいのが半導体関連銘柄です。
10/14(木)に半導体で世界大手のTSMCが好決算と、日本進出を発表し、半導体関連に再び脚光が当たる可能性がありそうです。また、好業績が期待される銘柄が多く、決算発表前後のタイミングで株価が大きく動く可能性があります。
そこで今回は、この数年間で大きく値上がりしてきた銘柄の共通項と、今後活躍が期待される銘柄について、ご紹介します。
※SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画解説につきまして※
いつも動画解説をご視聴いただき、ありがとうございます。今回のページにつきましては動画の配信を行っておりません。ご迷惑をおかけしますが、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
■執筆者のプロフィール
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・好きな場所 秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
TSMCの日本進出で再び脚光か。日本の“強い半導体関連株”
株価が10倍以上に値上がりするテンバガー銘柄を見つけ出すことは、簡単なことではありません。
そんな夢の様なテンバガー銘柄ですが、実は半導体関連に複数存在していたことはご存知でしょうか。
以下の株価は、テンバガーの定義である「10倍」をはるかに上回るパフォーマンスになっています。
■レーザーテック(6920)
482.75円※(2016/9末)が25,590円(2021/9末)でおよそ53.0倍
※株式分割を考慮して再計算した株価です。
■東洋合成(4970)
543円(2016/9末)が14,980円(2021/9末)でおよそ27.6倍
この2社に共通している要素は「高い市場シェア」です。
スーパーサイクルと言われ、活況の半導体業界ですが、これまで何度もシリコンサイクル(好不況の繰り返し)を経験してきました。関連企業は、シリコンサイクルの谷(不況期)で、業績の悪化に苦しみ、株価急落に襲われました。それでも会社が存続し、成長を続けてこられた理由は、高い市場シェアの維持と拡大にありました。
半導体業界は、設計や製造だけを行う企業、製造装置や検査装置を作る企業、材料を作って供給する企業など、それぞれの企業が専門性に特化し、大きな産業界を構成しています。
かつては「半導体王国ニッポン」と言われ、東芝(6502)や日本電気(6701)などが半導体大手として君臨してきました。しかし、現在、世界をリードする半導体メーカーは、TSMC(台湾)、サムスン電子(韓国)、インテル(米国)などで、日本企業の存在感がなくなりつつあります。
ただ、半導体製造装置や半導体材料という分野では、市場を独占する日本企業もあります。
日本の半導体製造装置や半導体材料がなければ、スマートフォンやゲーム機器、自動車なども十分に製造することができません。
図表1は、半導体製造装置または、半導体材料を展開し、世界市場でトップシェアを有している日本の企業をまとめました。
図表1 世界市場で活躍する半導体関連銘柄
取引 / チャート / ポートフォリオ / コード / 銘柄 / 株価(10/14) / 主力製品
<4063> / 信越化学工業 / 19,165 / シリコンウエハで世界市場シェアの31.4%を占める
<4186> / 東京応化工業 / 6,620 / 半導体製造用フォトレジストで世界首位(約25%)
<4187> / 大阪有機化学工業 / 3,230 / 半導体向けモノマーで世界シェアの約70%を占める
<4401> / ADEKA / 2,367 / 高誘電材料のシェアは50%で業界トップ
<4970> / 東洋合成工業 / 14,030 / 感光材で世界シェアトップ
<6146> / ディスコ / 29,080 / ダイソング装置の世界シェアは70~80%を占める
<6857> / アドバンテスト / 8,950 / テスタ市場で世界シェアのおよそ50%を占める
<6920> / レーザーテック / 23,930 / 半導体用マスク検査装置で90%以上のシェア
<6951> / 日本電子 / 8,070 / 電子ビーム描画装置で市場を独占
<7735> / SCREENホールディングス / 9,150 / 枚葉式洗浄装置市場で世界シェアトップ
<8035> / 東京エレクトロン / 48,120 / コータ・デベロッパで約90%のシェア
※会社資料、報道等をもとにSBI証券が作成。市場シェアは、会社資料または各種報道をもとにした作成。
抽出銘柄の投資ポイント
この項では、図表1で抽出した銘柄について、投資ポイントなどをご紹介します。
東京応化工業(4186) EUV(極端紫外線)露光用フォトレジストで世界シェアトップクラス
期間:2021/7/19~2021/10/15(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■EUV(極端紫外線)露光用フォトレジストで高シェア
フォトレジストは、半導体材料のシリコンウェハに回路を焼き付ける時に使用する化学薬剤で、ポリマーや感光材、溶剤を主成分としています。
同社は、微細な回路を描けるとされるEUV(極端紫外線)露光用のフォトレジストで推定市場シェアは46%と、トップを有しています。
なお、フォトレジストの分野は同社やJSR(4185)、信越化学(4063)などの日本企業が世界シェアのおよそ90%を有しています。
業績は好調。2021/12期・第2四半期(累計)は売上高648.0億円(前年同期比13.3%増)、営業利益95.7億円(同43.7%増)で着地。
通期の会社計画は、売上高1,340億円(前期比14.0%増)、営業利益192億円(同23.2%増)としています。
また、市場コンセンサスでは来期以降3年程度は、年間10数%の営業増益が期待されています。
■年初来高値から一時26%下落
株価は10/5(火)に一時、年初来高値からおよそ26%安い水準まで下げましたが、現在は下げ止まっています。来期の市場予想EPS(389円)をベースにすると予想PERは約18倍で、割高感はそれ程強くありません。
日本電子(6951) 半導体向けマルチビーム描画装置で今後市場をリードか
期間:2021/7/19~2021/10/15(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■露光装置大手ASMLの成長と連動か
同社は電子顕微鏡の他、分析機器、医療機器、産業用機器などの製造・販売・開発・研究などを手掛けています。
なお、半導体回路の原板であるフォトマスクに微細な回路パターンを描写する電子ビーム描画装置の分野では、これまで1本の電子ビームを使っていたのに対し、同社の装置は26万本の電子ビームで一気に描画することができます。
世界で独占的な露光装置(ステッパー)のシェアをもつASML社の装置を使う際にも、同社の電子ビーム描画装置が不可欠な存在と言われています。
このため、同社の業績はASML社の露光装置の販売増加に連動して成長することが期待されています。
■SBI証券 企業調査部では目標株価引き上げ(9/17)
8/31(火)に公募・売出・第3者割当増資を発表。株価は9/24(金)高値から10/5(火)安値まで約22%下落しました。
SBI証券 企業調査部では同社の2022/3期・2023/3期・2024/3期の営業利益をそれぞれ、96億円、142億円、184億円と予想。
9/17(金)付のレポートで、目標株価を6,300円から10,400円に引き上げています。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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