「フリーランスだと持ち家や注文住宅は難しい……」こんな風に思い込んでいる人もいるかもしれません。しかし一定の条件さえ満たせば、フリーランスでも注文住宅が建てられます。ここではフリーランスが注文住宅の夢を叶えるのに欠かせない、住宅ローンの融資審査や仕事部屋づくりのポイントなどを解説します。
目次
フリーランスが注文住宅を建てたときのメリット
フリーランス(個人事業主)が注文住宅を建てると、以下のようなメリットがあります。
・賃貸マンションなどと比べて広いので仕事部屋を設けやすい ・環境のよい仕事部屋があることで仕事に集中しやすい ・仕事場への移動時間がないため時間を有効活用できる ・育児や家事を効率的にしながら仕事ができる ・事務所として使っている面積分を確定申告で経費計上できる ・住宅ローン控除を使える など |
とく結婚しご家族がいるフリーランスは、快適な仕事部屋(事務所)があることで集中力がアップし仕事が進みやすくなります。それだけに、注文住宅を建てて「理想の仕事部屋を設けたい」という人も多いのではないでしょうか。
フリーランスが「持ち家はハードルが高い」と感じる3つの理由
しかし現実的には、フリーランスのほとんどが「注文住宅どころか、持ち家は難しい」と感じているようです。この傾向をはっきり示すデータがあります。
株式会社Minoruが2021年6月にインターネットを使って「フリーランスの持ち家・マイホーム購入に関する意識調査」を行ないました(有効回答数111名)。
それによると、「持ち家の購入はハードルが高い」という質問に対し、「非常に感じる」が58.6%、「少し感じる」が33.3%となっています。合計すると91.9 %となり、多くのフリーランスが持ち家は難しいと感じていることがわかります。
また、この意識調査では、「持ち家購入のハードルになっていると感じるものがあれば教えてください」と質問しています。上位3つの理由は次のような内容です。
- ローン審査が通りづらい:66.7%
- 予算が足りない:57.8%
- 多額な初期費用がかかる:56.9%
フリーランスが持ち家購入のハードルと感じる理由の1位は「住宅ローンの審査に通りづらい」です。実際に審査基準がどのようになっているのか見てみましょう。
フリーランスの住宅ローンの審査条件とは
フリーランスの住宅ローンの審査基準でとくに重視されるのは「事業年数」と「直近の年収」と考えられます。例えば、新生銀行のフリーランスの住宅ローンの審査基準(※)は以下の通りです。
- 事業年数が2年以上
- 直近2年間の平均所得が300万円以上
※2021年9月14日時点での情報です。
(出典:新生銀行 公式サイト マネーレッスン(フリーランスの方が住宅ローンを申し込むにあたって知っておきたいこと)
ただし住宅ローンの審査基準は、金融機関ごとにケースバイケースです。
例えば、最低条件が「事業年数3年以上」「直近の所得400万円以上」ということもあります。そのため、複数の金融機関の審査基準を確認し、ご自身の条件に合っているところを選択するのがよいでしょう。
注意したいのは、住宅ローンの審査基準となる所得が「経費を差し引いた後の所得」ということです。フリーランスだと所得税の節税対策のため、経費をなるべく多く積み上げて所得を抑えている人もいらっしゃるでしょう。持ち家や注文住宅を手に入れたい場合は、確定申告で数百万円程度の所得が出せるよう経費を調整することが大切です。
ご本人も配偶者も住宅ローンを組めない場合の対処方法
とはいえ、フリーランスは会社員・公務員よりも住宅ローンを組みづらいというのが現実です。直近の所得があっても十分な融資を受けられないことも考えられます。そのため、もし配偶者が会社務めをしていてある程度の年収や勤務年数があるなら、配偶者名義で住宅ローンを組むのがスムーズかもしれません。
さらに配偶者もご本人も住宅ローンを組めない場合は、不動産担保ローンを利用する手もあります。一般的に不動産担保ローンによる融資審査は「住宅ローンよりもハードルが低い」といわれます。両者の違いは以下のようになります。
不動産担保ローン | 住宅ローン | |
審査基準 | 契約者の信用力と不動産の担保評価 | 契約者の信用力を重視 |
金利 | 住宅ローンよりも高金利のことが多い | 低金利で借りられることが多い |
頭金の相場 | 3〜4割程度 | 1〜2割程度 |
住宅ローン控除 | なし | あり |
フリーランスの注文住宅づくりのポイント
フリーランスの注文住宅づくりでもっとも重要なのは、仕事をしやすい環境をいかにつくるかです。これを実現するには「仕事部屋」と「立地選び」のプランニングが鍵となります。それぞれのポイントを確認していきましょう。
フリーランスの仕事部屋のポイント
フリーランスが注文住宅を建てる際にとくに大事なのは「仕事部屋をどの位置に配置するか」です。その人が何を重視するかによって、仕事部屋の位置とタイプは次のように変わってきます。
仕事部屋で重視すること | 仕事部屋の位置とタイプの例 |
静かな環境 | リビングから離れた個室 |
家族とのつながり | リビングの一角の半個室 |
来客対応のしやすさ | 玄関近くの個室 |
加えて、仕事部屋を考えるときに意外に重要なのが日当たりです。日当たりがよいほうが仕事をしやすい人もいれば、逆に、日当たりがよすぎるとパソコン画面が反射して仕事をしにくい人もいるでしょう。好みに合わせて、仕事部屋の位置や窓のレイアウト、ブラインドの有無などを決めていきましょう。
フリーランスの立地選びのポイント
土地探しから注文住宅づくりをする人は立地選びも大事です。フリーランスは一般のビジネスパーソンと違って通勤がないため、立地選びの自由度が大きいです(配偶者が通勤している場合を除く)。
しかし、客先で頻繁に打ち合わせがあるフリーランスの人は「ある程度駅に近い」「利便性の高い沿線」などを意識して立地選びをする必要があるでしょう。
また、子どもがいるフリーランスの場合は、近所に保育園・学校・スーパーなどがあることも時間節約の視点で重要になってきます。
例えば、周囲に何もない自然豊かな環境を選んだために、子どもの送り迎えや買い物に時間をとられて負担が大きいというケースも考えられます。心地よさと利便性のバランスを考えながら立地を選ぶことが大事です。
ちなみに本稿を執筆している私自身、フリーランスになってから戸建て住宅を購入しました。娘の保育園が自宅から徒歩30秒のところにあるため、送り迎えの負担がありません。節約した分の時間を仕事や家事に回せるので時間を有効活用できています。
赤字申告の人は、まず黒字申告を目標にしよう
この記事の前半で見てきたように、フリーランスでも住宅ローンを利用して持ち家や注文住宅の実現が可能です。ただし、一般的な金融機関であれば確定申告において少なくとも2〜3年、数百万円程度の黒字申告をし続けなければなりません。この基準をクリアできていない人は「黒字申告を達成すること」を当初の目標にしましょう。
また、フリーランスだと注文住宅を建てるにあたって「安定的な収入をずっと得られるか(ローンを返済し続けられるか)」不安な人も多いでしょう。不安感が大きい場合は、狭小地に注文住宅を建てる、郊外や地方に注文住宅を建てるなどの手段で土地の費用を抑える手もあります。
なお、土地探しから注文住宅づくりをはじめる場合は、土地を紹介してくれる工務店やハウスメーカーを選ぶとスムーズです。担当者に「御社は土地から紹介してくれますか」と確認してみましょう。
(提供:タツマガ)
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