楽器演奏にカラオケ、ミュージックの鑑賞など、家に音楽があふれると心が癒されます。しかし、近隣の住民に配慮して思い切り音楽を楽しむことができないのが現実ではないでしょうか。そこで検討したいのが防音室のある暮らしです。注文住宅によって防音室をつくり、周囲に気を遣うことなく音楽を楽しむ理想の暮らしなんていかがでしょう。
目次
防音室ってどんな部屋?
防音室とは室内に「遮音性能」と「吸音性能」を備え、室外に音が漏れ出すのを防ぎ、室外の騒音が部屋に入るのを防ぐ効果がある部屋のことをいいます。
演奏をしても近所迷惑にならない
防音室をつくると2つのメリットを得られます。1つは室外にわずかな音しか漏れないため、楽器演奏やカラオケなどを大きな音量で行っても近隣住民の迷惑にならないことです。
室外の騒音が入らない
もう1つは、室外の騒音が入らないため、楽器演奏の録音や、YouTube動画などを作成する際にクリアな仕上がりを得られることです。つまり、防音室は騒音対策だけでなく、良質な音響効果を得るためという目的にも適した構造になっているのです。
音には空気音と固体音がある
音には空気中を伝わって耳に届く「空気音」(ジェット機の音、車の音など)と、床や壁を伝わって聞こえる「個体音」(2階の足音やスピーカーの振動音など)の2つがあり、音を通さない遮音性能と、音の響きをコントロールする吸音性能の2つをあわせて防音といいます。 (出典:大建工業 音の基礎知識)
楽器演奏の音は意外と大きい
2020年以降、コロナ禍によりお家時間が増えたことで、音楽が好きな方のなかには楽器の演奏を始めた方もいるのではないでしょうか。楽器を自宅で演奏するにあたり、気になるのが騒音の問題です。楽器を演奏するときの音量は意外と大きいという楽器店の見解もあります。
騒音レベルは大きく6段階に分けられます。
音の強さ | 騒音のレベル | 例 |
0〜20dB | きわめて静か | 深夜の郊外の住宅地 |
30〜40dB | 静か | 深夜の都心の住宅地、昼の郊外の住宅地 |
50〜60dB | 日常生活 | テレビ、ラジオ、小鳥の声、エアコンの室外機 |
70〜80dB | うるさい | ドライヤー、掃除機、パチンコ店の音 |
90〜100dB | きわめてうるさい | ピアノの演奏、地下鉄構内 |
110〜130dB | 聴力機能に障害 | サックスやドラムの演奏、ジェット機、落雷 |
※大建工業 音の基礎知識とスガナミ楽器 自宅で楽器をやるなら知っておきたい騒音レベルの基準を参考に編集部にて作成
ピアノの音は地下鉄並みの騒音
例えば、ピアノの場合で90~110dB(デシベル)となり「きわめてうるさい音」に分類されます。これは地下鉄構内の騒音と変わらないレベルといわれています。クラシックギターとバイオリンはいくらか下がるものの、それでもパチンコ店の騒音と変わらないレベルになります。
ドラムやパーカッションは落雷並み
サックスや金管楽器となるとより騒音のレベルが高まり、110~120dBで実にジェット機並みの騒音となります。最も騒音が大きいドラムやパーカッションとなると130dB程度となり、落雷と変わらないレベルといわれます。
110dB以上の騒音になる楽器は、防音室がなければ練習はほぼ無理と考えたほうがよいでしょう。かといって練習の度にスタジオを借りていたら、手配の手間、移動の手間がかかりますし、そのうち防音室の設置費用よりも高くなってしまうことも考えられます。
楽器を自宅で演奏するということは、そこまで騒音に配慮しなければならないということを心得ておくべきです。
安心安全に楽しめる「お家カラオケ」
楽器演奏と並んで自宅でできる音楽の趣味にカラオケがあります。社会情勢の変化により、カラオケルームに行きにくくなったという事情から、「お家カラオケ」を楽しむ家庭も増えているようです。
手軽に歌える家庭用のカラオケ機器も普及し、自宅のリビングをカラオケルーム代わりにすることもできます。テレビも大型化していますので、カラオケをやりやすい環境が整ったといえます。
しかし、十分な音量で歌おうと思えば、隣室や隣家に迷惑がかかる可能性があります。その点、防音室があれば周囲の住民を気にせずカラオケを楽しむことができます。大画面テレビに歌詞を映し、高音質スピーカーとつなげれば、防音室がちょっとしたカラオケルームに変身します。
家族で楽しむ大迫力の映画鑑賞も
カラオケと同じく映画鑑賞も防音室があると、大迫力の音量で楽しむことができます。シアタールームとも呼ばれますが、スクリーンを設置すると映画館のような雰囲気で鑑賞できます。スクリーンにカラオケの歌詞を映し出せばカラオケルームとしても使えます。
もちろん大画面テレビを置くのもよいでしょう。DVDやブルーレイで映画鑑賞するほかに、オンデマンド配信を利用するとより多くの作品のなかから選ぶことができます。音楽鑑賞をしたいときもオーディオシステムを使ってCDやレコードを高音質でクリアな音で聴くことができます。
防音室のある家を建てるには注文住宅が最適
「思い切り音楽や映画を楽しむ生活を送りたい」そう思う方に必要なのが防音室といえます。ただ、これをマンションや建売住宅につくるにはかなり負担を背負わなければなりません。防音室をつくるのならば、注文住宅で家を建てるのが最適です。
賃貸マンションに防音室をつくるのは非現実的
音大生を居住対象にした「防音マンション」は別として、一般のマンションに防音室が付いていることは稀です。もし、賃貸マンションに防音室をつくりたい場合は家主の許可が必要になります。
グレードアップになるのだからよいのでは?という見方もありますが、他の部屋とのバランスが悪くなるため迷惑に感じる家主もいるでしょう。それに、引っ越すことになった場合は「原状回復義務」で元の状態に戻さなければなりません。賃貸マンションに防音室をつくるのは現実的ではないでしょう。
戸建てなら注文住宅がベスト
一戸建てであっても、建売住宅で防音室が初めから備わっている物件を探すのは困難です。購入してから防音室をつくる手もありますが、別工事のためコストは割高になります。その点、注文住宅なら設計の段階で組み込むので、思い通りの防音室をつくることができます。
防音室にはどんな種類があるか
防音室には主に2つの種類があります。マンション・一戸建てなど住居の形態によっても選ぶシステムが変わります。
ユニットタイプ
ユニットタイプは、部屋のなかに組み立て式の四角い部屋を設置するタイプの防音室です。組み立て式なので工期が短いというメリットがあります。マンションに向いているといえます。
分解が可能なため、引っ越しのときも解体して持ち運ぶことが可能です。価格も比較的安いといわれています。ただし、大きさが決っているため、部屋にデッドスペースが出るというデメリットがあります。
Box in Boxタイプ
Box in Boxタイプは、部屋の形状に合わせてオーダーメードでつくる防音室です。デッドスペースが少ないので、最大限空間を広く利用することができます。レイアウトの自由度が高いので、注文住宅に適しているシステムです。シンプルな防音室のほか、シアタールームやオーディオルームにすることも可能です。
注文住宅である程度広い面積を確保できる場合は、スタジオにすることもできるので、最近始める人が増えているYouTubeの動画をつくるのに最適といえます。
家族で音楽を楽しめる理想の家を実現しよう
防音室やシアタールーム、オーディオルームなどのショールームは各地にありますので、実際に見学してイメージを膨らませるのもよいでしょう。注文住宅を依頼するハウスメーカーに相談すれば近隣のショールームを紹介してくれるかもしれません。見学することで防音室の効果を実感し、ハウスメーカーとの面談のときにイメージを伝えやすくなります。
楽器演奏家の娘さん、カラオケ愛好家のお母さん、映画マニアのお父さん、YouTuberの息子さんなど防音室がある家は家族みんなの趣味を活かすことができます。注文住宅なら設計士と相談しながら、家族の夢が形になります。家族の希望を伝えて理想的なプランをつくりあげていきましょう。
音楽は心を豊かにしてくれるだけでなく、楽器演奏やカラオケでストレス解消にもなります。家族の「心の健康」増進にも役立つでしょう。家族それぞれの目的を叶える防音室を、注文住宅で実現してはいかがでしょうか。
(提供:タツマガ)
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