SDGsはビジネスチャンスにつながる
SDGsの17のゴールを達成するには、政府だけでできるものではなく企業の協力が必要不可欠だ。企業としても世界的に必要とされるSDGsの取り組みは、サービスや商品としての付加価値があり、ビジネスチャンスにつながるだろう。生産過程で廃棄物をなくしたり再利用したりする取り組みは、すでに行われており、今後も増えていくことが予想される。
また技術やノウハウを外国に提供することは、SDGsの目標達成に貢献するだけでなく事業拡大にもつながるだろう。
「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」とは
2021年6月18日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創⽣基本⽅針2021」もSDGsと関係が深い。この基本方針は「訪れたい」「住み続けたい」と思えるような魅力的な地域の実現が目的だ。地域自らの特色や状況を踏まえて自主的かつ主体的に取り組めるようにすることで、都市から地方への新たな「ひと」や「しごと」の流れを生み出すことを目指している。
この基本方針の中のひとつが「地方創生SDGsの実現を通じた持続可能なまちづくり」だ。持続可能なまちづくりや地域活性化に向けた取り組みは、SDGsの理念と共通するものであり、今後の地方創生の展開にあたって脱炭素化の流れを地方創生に活かそうとしている。
さらに「中小企業等による地域・社会課題の解決を通じた、地域の持続的発展の促進」として地域内外の中小企業等が連携し、ビジネスの手法により解決を図る取り組みに支援することも取り上げている。地方公共団体と連携して新たな需要の創出につなげる機能が導入されることは、中小企業にとって大きなビジネスチャンスになるだろう。
また2021年8月に外務省が公表している「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」では、2020年12月21日に閣議決定された「SDGsアクションプラン2021」が記載されている。その中の重点事項のひとつとして「SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出」をあげている。
働き方改革の推進につながる
SDGsや地方創生の取り組みは、働き方改革につながることにも触れておきたい。「まち・ひと・しごと創生法」は、以下の3つを目的としている。
持続可能なまちづくりや地域活性化に向けた取り組みの推進は、SDGsの理念と共通するものがある。そのため地方創生SDGsの実現は、政策全体の最適化と地域課題解決の加速化による相乗効果が期待できるだろう。また以下の内容は、働き方改革だけでなくSDGsにも共通する問題である。
- テレワークの促進
- 雇用の促進
- 働きがいのある人間らしい職場環境づくり
- 健康的な生活を確保
- ワーク・ライフ・バランスの推進など
SDGsに取り組むことによる企業のメリット
SDGsは、経営やマーケティングの観点からも無視できない。そこで企業の視点に立って取り組むことによるメリットを考えてみよう。
・新たな事業の創出につながる(ビジネスチャンスの増加)
投資家や消費者にもSDGsの認知度が高まってきているため、相乗効果によりSDGsの目標にかなうマーケットが増えていくことが予想される。SDGsに関する事業は、これまでなかったマーケットを生み継続的な需要が見込めるだろう。環境に配慮した商品やサービスを新たに開発すれば商品やサービスに付加価値が生まれ、売上増加につながる可能性がある。
・企業イメージの向上
SDGsに取り組む企業は、企業としての社会的責任の観点からもイメージアップにつながるだろう。取り組み内容を社外に公表することでイメージアップが図れれば、採用の面で有利となり優秀な人材の確保が期待できる。これは、企業組織の強化にもつながる。
・ワーク・ライフ・バランスの実現による人材定着、生産性の向上
政府が推進する働き方改革の実現による生産性の向上も期待できる。多様で柔軟な働き方が選べる働き方改革の実現は、人材の定着率や従業員のモチベーションアップにつながり生産性の向上が期待できるだろう。
・企業価値が高まる
近年、ESG投資が注目を集めている。ESGとは、企業の成長に重要といわれる環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の3つの頭文字をとったものだ。日本の年金資金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立法人)も2017年10月からESG投資を取り入れている。欧米ではすでに広く浸透しており投資残高も増加傾向だ。
SDGsの取り組みを企業経営の方針に取り込むことで、ESG投資を呼び込むことができれば企業価値の向上につながるだろう。