フォーカスシステムズ【4662・東1】
森 啓一社長

 フォーカスシステムズは、独立系システム開発企業である。官公庁などからの受託開発が主力であり、セキュリティーシステムに強みを持つ。NTTデータ、日本IBMなど大手情報サービス企業とパートナーシップを結び、システム開発から保守・運用まで行う。手がけているのは、マイナンバーシステム・航空管制・年金といった社会インフラ基盤システム、企業の基幹業務システム・クラウドと幅広い。業績も好調で、2021年3月期は売上高・各利益ともに過去最高を更新。今期も11期連続増収、5期連続増益で過去最高収益更新を見込む。最近では『三次電池』など積極的な産学連携も話題だ。

板倉広高社長
Profile◉森 啓一(もり・けいいち)社長
1963年9月3日生まれ。89年10月、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入社 。吉田税務会計事務所を経て、98年9月にフォーカスシステムズ入社。2006年、取締役管理本部長兼経営企画室長、09年常務取締役 管理本部長兼経営企画室長。11年4月、代表取締役社長に就任(現任)。

株価が反応、連日ストップ高
約20の産学連携事業を展開

─今年6月に株価が連日ストップ高になった場面がありました。フォーカスシステムズと筑波大学が共同研究する『三次電池』特許出願のリリースによるものでしたが、こちらについてご解説いただけますか。

森 三次電池は、温度差で充電される新しい仕組みを持つ電池です。温度差は世界中どこでもどんな環境でも必ず発生します。温度が高いところから低いところ、低いところから高いところへ移る際に電気を生むつくりにして、そこから生じた電気をうまく使えるようにしていきたいね、という研究です。三次電池の基礎的な理論を研究する筑波大学の研究室と共同研究を進め、当社はその実証実験等を行っています。6月のリリースでは、微弱ですが三次電池の原理で安定的な電圧を得られることを証明できたため、特許出願したことを公表しました。実用化はまだ先になるかもしれませんが、マーケットには期待感を持って受け取られたのではないでしょうか。

─三次電池の他にも産学連携ですすめるプロジェクトがおありと伺っていますが、それらはどのように生み出しているのですか?

森 3年ほど前に私が様々な人と交流する中で筑波大学の研究室にお邪魔する機会があり、そこで先生のお話を聞くうちに面白いな、と思ったことがきっかけです。三次電池の提携もそこから始まりました。その後、我々としても様々な大学の研究室でされているプロジェクトに関心を持つようになり、3年前に私直下の特別チーム「事業創造室」を新設しました。事業創造室では、AIを使った画像診断や、樹木にセンサーをつけて樹液の量で果物の一番美味しい時期がわかる研究など、色々な研究室と連携させていただいて、今では20ほどのプロジェクトを運営しています。

─3年前からスタートされたとのことですが、何か契機となったことがあるのですか? また、システム開発会社であるのにもかかわらずそのようなことを始められた理由は?

森 3年前に急に思い立ってやったということではありません。私が10年前に社長に就任した時は、売上のほとんどが2次請けの仕事でした。当時在籍していた約1000人のエンジニアも、お客様先で仕事をすることがほとんどなので会社への帰属意識も薄いように感じられました。私は社員の帰属意識を高めたい、今は旺盛なIT需要があるがいつこの流れが止まるかわからないという危機感があり、自分達が主導権を握れるビジネスを創出したいという想いが常にありました。この10年で徐々に技術を蓄積し、企業から直接仕事を受けられるようになり、採算も向上しました。7年ぐらいかけてジャスダックから東証1部までステップアップし、会社として継続的な成長ができる足元を整え、新しいことに挑戦できる地盤ができたのがちょうど3年前ということです。

 当社はITの会社ですから、人材が主体です。社員の皆さんが楽しんで伸び伸びと力を発揮してこそ、会社として継続的成長ができるのです。そういった意味でも何かワクワクできる仕事、日本のみならず世界をリードできるような最先端技術に関われるといったことが社員のモチベーションアップにつながり良い効果を生むはずだと、そう考えています。学生の皆さんにも当社を選んでもらいたい。日本初や世界初って、ワクワクするじゃないですか。できれば、自社独自の技術や製品も生み出していきたい。

 増収増益も重要ですが、日本や世界のために当社ができることは何か、日本の核であるものづくりに貢献していきたいと考えながら、ITを様々な分野に絡めていきたいと思います。より便利に、効率化を実現できるITは、全ての産業に必要ですよね。今まではあまりITが進んでいなかった分野、医療介護や農業などにも進めていきたいですね。

今期から中間配当を計画
最先端技術の発掘を目指す

─話は変わりますが、今期から中間配当を期初に計画されているのは、東証市場再編を意識された動きでしょうか?

森 流通株式時価総額の基準を意識するなかで、中間配当の実施が株価にいい影響があればという考えはあります。お陰様で、当社は東証からプライム市場への適合通知をいただきました。ただ、もちろんその為だけではなく、長い目で見たときに当社の姿勢を示すことも重要だと考えています。色々な考えのもと、初めて期初に中間配当計画を出すことにしました。また、IR活動も強化し、マーケットとの対話には、これまで以上に積極的に取り組んでいく構えです。

─最後に読者、投資家に対するメッセージはありますか。

森 当社は、安定している会社だと言われることが多いです。安定成長を望まれる方には良いのですが、面白みに欠けるという部分もあるかもしれません。

 今後も、当社は世の中の最先端技術を発掘していきたいと考えています。株主還元については、配当性向30%は下回らないという考えの元、前期は35%で、配当以外に株主優待も実施しています。利益がきちんと出れば、更なる利益還元も折々に最適な形で提供できるよう検討しています。フォーカスシステムズは常に新しいことにチャレンジしている会社だということが伝わると幸いです。


三次電池とは

 電池のプラス極とマイナス極の酸化還元電位の温度係数が異なることを利用して、わずかな温度変化で充電される電池。二次電池が電力により充電されるのに対して、三次電池は環境熱、つまりは温度変化で充電される。昼夜の温度変化、日向と日陰、部屋の出入りや空調のOn/Offなど、地球上のどこにでもある室温付近数十度の温度変化を電力に変換する「自立」型電源で、設置場所を選ばない。例えば、三次電池をビル内に設置される防犯カメラの電源にすれば、昼夜の空調のOn/Offで充電され、半永続的に防犯カメラを駆動することができる。

フォーカスシステムズ【4662・東1】

2021年3月期 業績

売上高234億8500万円前期比3.4%増
営業利益14億5000万円同1.5%増
経常利益14億6900万円同0.1%増
当期売上高10億2500万円同10.2%増

2022年3月期 業績予想

売上高245億円前期比4.3%増
営業利益14億8000万円同2.1%増
経常利益15億円同2.1%増
当期売上高10億3000万円同0.5%増

※株主手帳11月号発売日時点

(提供=青潮出版株式会社