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目次

  1. 脱炭素化とは?
  2. 脱炭素化の関連ビジネスと関連銘柄
  3. 脱炭素化テーマ(1)洋上風力発電
  4. 脱炭素化テーマ(2)再生可能エネルギー
  5. 脱炭素化テーマ(3)EV(電気自動車)
  6. 脱炭素化テーマ(4)パワー半導体
  7. 脱炭素化テーマ(5)アンモニア
  8. 脱炭素化テーマ(6)太陽光発電
  9. 脱炭素化テーマ(7)水素
  10. まとめ:投資テーマと投資銘柄の見極めが重要

脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現に向けて世界が動き出す中、投資先としての脱炭素関連銘柄に注目が集まっている。脱炭素の7大テーマ別にその概要や注目理由を解説し、あわせておすすめの脱炭素関連銘柄を紹介する。

脱炭素化とは?

まず、脱炭素化の意味や脱炭素化が重視される背景を簡単に解説する。

脱炭素化の概要

脱炭素化(カーボンニュートラル)とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と、森林資源などによる吸収量を均衡させることだ。排出量から吸収量を差し引いた値をゼロにすることを目指す。日本政府は2050年までに脱炭素化を実現させることを目標としている。

脱炭素化の背景

脱炭素化が重視される背景には、二酸化炭素を始めとした温室効果ガスによる気候変動がある。気候変動によって、農作物への被害、生態系への影響、自然災害の増加など多くの問題が生じている。

環境問題の深刻化を防ぐため、2015年に55ヵ国以上が「パリ協定」に同意し、世界中で脱炭素化に向けた取り組みが始まった。現在、世界の脱炭素化の取り組みは欧州各国が牽引し、温室効果ガス排出量が多いアメリカや中国、インド、ロシア、日本なども戦略的に脱炭素化に取り組んでいる。

関連産業が多く、中長期的なテーマとなる可能性が高い

脱炭素化が世界的なトレンドになるに従い、投資先としても、脱炭素関連銘柄が脚光を浴びている。しかし、脱炭素化に関連する産業はまだ未成熟なケースも多く、必ずしも短期的なリターンにつながるとは限らない。

脱炭素化が中長期的なテーマとなる可能性が高いことを踏まえ、余裕資金で投資することが望ましい。また、短期的な値動きに一喜一憂せず、じっくり成長を待つ姿勢も大切だ。

投資の世界には「国策に売りなし」という格言がある。国の政策に関連した業種や銘柄は、他の銘柄と比べて値上がりしやすいという意味だ。脱炭素化関連銘柄への投資は、まさにこの格言に沿った投資といえるだろう。また、国策にとどまらず世界的な潮流に乗っていることから、より成長可能性が高いとも考えられる。

脱炭素化の関連ビジネスと関連銘柄

続いて、脱炭素化の市場規模や、脱炭素化の注目テーマを紹介する。

脱炭素化の市場規模予測

国際エネルギー機関(IEA)は、2021年の脱炭素投資額は約7,500億ドルであり、投資比率は今後も上昇すると予測している。また、2018年の環境産業の市場規模は約105兆円で、2050年には約133兆円になると推計している。

脱炭素化に関連する産業は幅広い:注目テーマを紹介

脱炭素化に関連する産業は多岐にわたるが、代表的なテーマとしては、再生可能エネルギー(太陽光発電、洋上風力発電など)やEV(電気自動車)がある。また、二酸化炭素を排出しない燃料として、水素やアンモニアへの注目度も高まっている。

脱炭素化に関連する要注目のテーマを7つ取り上げ、それぞれへの注目理由や関連銘柄を紹介する。

脱炭素化テーマ(1)洋上風力発電

脱炭素化テーマの1つ目は、再生可能エネルギーの1つでもある洋上風力発電だ。概要や注目理由、関連銘柄を解説する。

洋上風力発電の概要

洋上風力発電は、1990年代にデンマークで始まった再生可能エネルギーの発電方法だ。欧州を中心に広がりを見せ、日本でも注目が高まっている。

洋上風力発電は海に風車を設置するため、陸上より大きな風力が得られ、電力供給も安定するという利点がある。また、大規模な設備を建設しても災害時の被害が少なくてすむ。風力発電の風車の主な設置場所はこれまでの陸上から徐々に洋上へと移りしつつある。

洋上風力発電の注目理由

日本の国土は狭く、大規模な陸上風力発電の建設が難しい。そのため、洋上風力発電には大きな期待が寄せられている。2019年には、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律が施行され、洋上風力発電の追い風となっている。

洋上風力発電の関連銘柄

洋上風力発電用のケーブルに強みを持つ。海底線事業では100年の歴史を持ち、イギリスのカーボントラスト社からダイナミックケーブルを受注するなど、その技術力は海外でも高い評価を獲得している。海底線事業の競合は住友電気工業だが、地中線とともにシェア50%以上を目指すという強気の目標を掲げている。

幅広い事業領域を持つが、洋上風力発電においては、発電用ケーブルに強みを持つ。2018年には、鹿島建設株式会社より国内最大の風力発電向け送変電設備と工事を受注した。また、2020年には、ドイツで洋上風力発電所と内陸を結ぶ長距離送電線約600億円を受注している。

洋上風力発電において、大型洋上風力発電用の発電機やコンバーターなど多数の製品を手掛けている。2014年には、フィンランドの風力発電用電機品メーカー「The Switch Engineering Corporation」を買収した。2021年には2050年カーボンニュートラル目標を設定したと発表し、環境事業における存在感を増している。

脱炭素化テーマ(2)再生可能エネルギー

脱炭素化テーマの2つ目は、再生可能エネルギーだ。概要や注目理由、関連銘柄を紹介する。

再生可能エネルギーの概要

再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなど自然を活用したエネルギーのことだ。石油や石炭、天然ガスといった従来の化石燃料は有限であり、将来的に枯渇するリスクがある。これに対して、再生可能エネルギーは繰り返し利用でき、温室効果ガスを排出しないなど、環境面でのメリットが大きい。

再生エネルギーへの注目理由

国際エネルギー機関(IEA)によると、再生可能エネルギーは、2025年までに世界電力の約3分の1を供給する最大のエネルギー源となる見通しだ。これにともない、再生可能エネルギーに関連する投資にも注目が集まっている。

再生エネルギー関連銘柄

ENEOSは石油元売り大手だが、遊休地を活用したメガソーラー発電事業を推進し、全国18ヵ所でメガソーラー発電所が稼働している。また、バイオマス、水力、風力など多様な再生可能エネルギーを利用した発電に取り組んでいる。2021年10月には、再生可能エネルギー大手のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を買収する方針を発表した。

NTTは、太陽光発電、風力発電、燃料電池など複数の再生可能エネルギーを組み合わせ、無停電で電力を供給する複合型再生可能エネルギーシステムの構築に取り組んでいる。また、NTT東日本グループでは、すでに太陽光発電設備を32台設置し、2030年までに再生エネルギー利用率30%を目指すと発表している。

  • ▽イーレックス(9517)
  • 時価総額:147,221,400千円(2021年10月8日時点)
  • 上場市場:東証1部
  • IR情報:https://www.erex.co.jp/ir/

動植物から生まれた生物資源の燃焼やガス化で発電することをバイオマス発電と呼ぶ。バイオマス発電は、廃棄物を燃料とする再生可能エネルギーとして注目を浴びている。イーレックスは、国内トップクラスのバイオマス発電事業者だ。現在5基のバイオマス発電所を所有している。2021年10月には、海外初のバイオマス発電事業への出資参画を予定していると発表した。

脱炭素化テーマ(3)EV(電気自動車)

脱炭素化テーマの3つ目は、EV(電気自動車)だ。概要や注目理由、関連銘柄を紹介する。

EV(電気自動車)の概要

EV(Electric Vehicle)とは、エンジンを使用しない電気自動車のことだ。充電スタンド等で充電し、モーターを動力に走行する。走行中に二酸化炭素を排出しないことから、環境にやさしい自動車として注目を浴びている。

EV(電気自動車)の注目理由

脱炭素化の動きにともない、従来のガソリン車は急速にEVへ置き換わっていくだろう。世界の新車販売台数のうちEVが占める割合は、2038年に50%超、2050年に約90%になるという予想もある。自動車による二酸化炭素の排出は深刻な問題であり、脱炭素化において、EVへの置き換えは避けては通れない。投資先としても、EV関連銘柄に注目が集まっている。

EV(電気自動車)関連銘柄

  • ▽テスラ(TSLA)
  • 時価総額:785,685.9百万ドル(2021年10月8日時点)
  • 上場市場:NASDAQ
  • IR情報:https://ir.tesla.com/

テスラはアメリカのEV大手だ。2020年のアメリカのEV登録台数ではシェア79%を獲得した。一方で、EV販売における世界シェアは2021年4月に11%となり、前月3月の29%から低下した。アメリカではトップを維持しているものの、世界シェアではゼネラル・モーターズやフォードと熾烈な競争を繰り広げている。

トヨタ自動車は、EVでは電池の性能が競争力に直結することから、電池の開発に1.5兆円を投資すると発表した。また、自動運転EV「e-Palette(イーパレット)」の発売に向けて準備を進めている。2020年の世界販売では、ハイブリッド車(HV)を中心とする電動車比率は22.5%となるなど、脱炭素化に向けた事業展開を加速させている。

ソニーグループも自動車産業に参入し、「VISION-S(ビジョンエス)」という自動運転を見据えたEVを試作した。ビデオカメラ等で培ってきたイメージセンサーによって、安全な走行を実現する。市販の可能性については明らかにされていないが、エンタメ分野に強みを持つソニーならではのEVに期待感が高まっている。

脱炭素化テーマ(4)パワー半導体

脱炭素化のテーマにおける4つめは、EVとの関連が深いパワー半導体だ。概要や注目理由、関連銘柄を紹介する。

パワー半導体の概要

自動車向けの半導体の供給不足が深刻化している。その中でも、パワー半導体は電気の流れを制御する重要な役割を担っており、EVに不可欠な部品だ。パワー半導体は、通常の半導体より扱う電圧や電流が大きく、電力の制御や供給を行う半導体のことだ。主に演算や記憶を行うマイコンやメモリとは区別される。パワー半導体には、ダイオード、トランジスタ、サイリスタなどいくつかの種類がある。

パワー半導体の注目理由

EVの市場シェアが拡大するとともに、パワー半導体の需要が高まることは明らかだ。そのため、EVへの関心の高まりとともに、パワー半導体関連銘柄への関心も高まっている。世界シェアのトップはドイツだが、複数の日本企業がベスト10にランクインしていることから、技術力次第で今後のシェア拡大も見込めるだろう。世界シェアでベスト10入りを果たした企業を関連銘柄として3社紹介する。

パワー半導体の関連銘柄

富士電機は、2021年に半導体事業の設備投資額を前年比2倍強に増額し、410億円を投資する。中期計画では、2023年度に半導体事業で売上高2000億円という目標を設定していたが、半導体の需要増で売上高が予定より増える見込みだ。

パワー半導体の中でも、従来のSi(シリコン)デバイスに代わるものとして、SiCデバイスが注目されている。SiCカードは、Si(シリコン)とC(炭素)で構成され、従来のSiデバイスに比べ、絶縁破壊電界強度が10倍、バンドギャップが3倍など優れた特徴を持つ。ロームは、2010年に世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始し、SiCデバイスの業界をリードしてきた。トップシェア30%の実現を目指し、積極的な投資を行っている。

三菱電機は、2020年のパワー半導体市場で世界3位(日本1位)の売上を記録した。自動車向けのパワー半導体の受注高が増加していることから、三菱電機はパワー半導体の開発体制を強化する構えだ。2021年11月からは、約200億円を投じた新たなパワー半導体工場も稼働を開始する見通しだ。

脱炭素化テーマ(5)アンモニア

脱炭素化テーマの5つ目はアンモニアだ。概要や注目理由、関連銘柄を紹介する。

アンモニアの概要

アンモニアは燃焼時にCO2を出さないことから、火力発電の脱炭素化を実現する燃料として注目を浴びている。また、貯蔵や持ち運びが容易であり、輸送インフラが整っているのも特徴だ。

水素を輸送するには圧縮や冷却が必要で、この作業にコストがかかる。一方、水素を含むアンモニアであれば、水素よりも輸送が容易だ。アンモニアを輸送してから水素を取り出すことで、低コストで発電できる。

アンモニアに対する注目理由

日本政府は、アンモニア燃料の使用量を2030年に年間300万トン、2050年に3,000万トンに増やす目標を掲げている。これにともない、アンモニア関連銘柄も成長を遂げる可能性がある。

アンモニア関連銘柄

木村化工機と澤藤電機は、岐阜大学と協力し、2019年に世界ではじめて低濃度アンモニアから高純度水素を製造し、発電することに成功したと発表した。これによって、アンモニアを輸送した上で、必要な場所で水素を製造し、発電することが可能となる。2社の株価は急騰し、アンモニア関連銘柄として脚光を浴びている。

2018年に世界ではじめて水の電気分解で製造した水素を原料とするアンモニアの合成と発電に成功したと発表した。製造から発電に至るまでCO2を排出しないことから、大きな注目を浴びている。

脱炭素化テーマ(6)太陽光発電

脱炭素化テーマの6つ目は再生可能エネルギーの1つでもある太陽光発電だ。概要や注目理由、関連銘柄を紹介する。

太陽光発電の概要

太陽光発電は再生可能エネルギーの中核をなす発電方法として注目を浴びている。福島第一原発での事故から、国内での利用が急拡大した。また、固定価格買取制度(FIT)によって、太陽光発電の投資が増えた経緯がある。

FITとは、太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度だ。なお、FIT法は2017年に改正され、従来よりも投資のうま味がなくなったといわれているが、固定される価格が入札制になったものの20年は維持されることが決まっている。

また、今後の国の方針で太陽光発電の市場は拡大すると予想されることから、投資のテーマとして期待が寄せられている。

太陽光発電の注目理由

経済産業省は「エネルギー基本計画(素案)」で、2030年に再生可能エネルギーの構成比36~38%を目指すと公表した。再生可能エネルギーの1つとして、太陽光発電の導入に注力していく予定だ。また、世界の太陽光発電市場は、2027年までに20.5%以上の成長率が見込まれている。

太陽光発電の関連銘柄

  • ▽ウエストホールディングス(1407)
  • 時価総額:229,216,900千円(2021年10月8日時点)
  • 上場市場:JASDAQ
  • IR情報:https://www.west-gr.co.jp/ir/

ウエストホールディングスは、高圧太陽光発電開発、産業用低圧太陽光発電の販売・施工、住宅用太陽光発電販売などで豊富な実績を持ち、再生可能エネルギーを主力事業としている。

また、J-クレジットを売却して得た収益を子育て支援や植林事業等へ寄付するCoCoLoプロジェクトを実施している。 J-クレジットとは、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国が「クレジット」として認証する制度だ。認証を受けたJ-クレジットは、企業や自治体等に売却できる。

カネカは屋根のデザイン性を意識した瓦一体型太陽電池など、数多くの太陽光発電システムの商品を開発してきた。また、カネカが開発した結晶シリコン太陽電池は、トヨタ自動車の低速自動運転EV「e-Palette」のルーフガラスにも採用された。今後の商品開発や、他商品との連携に期待が寄せられている。

レノバは2017年に上場した再生可能エネルギーの発電・開発・運営を手掛ける会社だ。太陽光発電以外に、風力、地熱、バイオマスにも取り組む。2017年5月期の連結売上高は約82億6,500万円だったが、2021年3月期の連結売上収益は約205億5,300万円であり、大きく成長していることがわかる。

脱炭素化テーマ(7)水素

脱炭素化テーマの7つめは水素だ。概要や注目理由、関連銘柄を紹介する。

水素の概要

水素は燃料として使用した時に二酸化炭素を排出しないことから、脱炭素化において脚光を浴びている資源だ。今後、水素を使用したエネルギー開発は増えていくと見込まれる。

ただし、水電解装置のコスト低減やインフラ輸出等の整備など、課題は山積みだ。各分野で課題に対する共通認識を持ちながら、課題解決に向けて取り組んでいく必要がある。

水素の注目理由

水素は水を分解して取り出したり、太陽光から製造したりできることから、資源が少ない日本では特に重要視されている。政府は、燃料電池車の燃料を補給する水素ステーションを、2030年までに1000基、整備するなどの目標を掲げている。また、製鉄、化学、商用車、船舶、航空等の各分野で水素の利用を促進していく。水素の製造、運搬、貯蔵に関連する銘柄は、今後大きく成長する可能性がある。

水素の関連銘柄

川崎重工業は、極低温技術によって、水素の大量輸送を可能にした。また、世界初の液化水素運搬船の開発にも取り組んでいる。水素の流通が増えるにつれ、川崎重工業も存在感を増していくと予想される。

岩谷産業は、液化水素において日本唯一のメーカーであり、国内シェア100%を有している。1941年から水素販売を始め、サプライチェーンの構築等、水素事業を牽引してきた歴史を持つ。高い製造能力、技術力が強みだ。また、日本ではじめて商用水素ステーションを開所した企業でもある。

Jパワーは、日本ではじめて、褐炭(かったん、Lignite、brown coal:石炭の中でも石炭化度が低く、水分や不純物の多い、最も低品位なもの)由来の水素を利用して、燃料電池発電デモと水素燃料電池ドローンの飛行デモを実施した。褐炭は不純物が多い低品位炭だ。高品位炭の調達が困難になりつつあるが、未利用の褐炭を利用することができれば、安定的に石炭を調達できる。Jパワーは、試験によって、褐炭から製造した水素が燃料電池等で利用できる品質であることを証明した。今後、水素製造、発電、供給で存在感を増していく可能性がある。

まとめ:投資テーマと投資銘柄の見極めが重要

脱炭素化は世界的な潮流だが、大企業が技術開発やサービス開発を行った場合、脱炭素化に関連する事業の業績インパクトが大きくないこともあり、株価の値上がりが狙いにくいケースがあることには注意したい。主力事業との関連性や、経営トップが脱炭素化に積極的な姿勢を示しているかどうかなども参考にしつつ、慎重に投資先を見極めることが大切だ。

また、脱炭素化の注目テーマにおいて、既存の常識を覆すまったく新しいビジネスが登場する可能性も否定できない。そうなると、注目テーマであったとしても、既存のビジネスや技術への関心が薄れるリスクがある。脱炭素化関連銘柄に投資するなら、注目テーマに関連する新しい技術や商品開発の情報にアンテナを張っておきたい。

さらに、ビジネスにはフェーズがあることから、注目テーマがどの段階に位置しているかを見極めることも重要だ。短期的なリターンを狙うなら、直近で大きな成長が見込める銘柄に優先して投資したい。長期的なリターンを狙う場合、さまざまなリスクを考慮するとともに、気長にビジネスの成熟を待つ姿勢が大切だ。

水瀬理子

水瀬理子(みずせ りこ)
税理士法人での勤務経験を持つファイナンシャルプランナー。「お金の相談役」として、投資、相続、ライフプランに関する数多くの提案をしてきた。現在は執筆業を中心に幅広く活動している。