次代を担う成長企業の経営者は、ピンチとチャンスが混在する大変化時代のどこにビジネスチャンスを見出し、どのように立ち向かってきたのか。本特集ではZUU online総編集長・冨田和成が、成長企業経営者と対談を行い、同じ経営者としての視点から企業の経営スタンス、魅力や成長要因に迫る特別対談をお届けする。

今回のゲストは、プレミアグループ株式会社代表取締役社長の柴田洋一氏。信販業界・車業界で築き上げたファイナンスの基盤と、全国的な販売ディーラーのネットワークを持つ同社の強さの根源や今後の展開について伺った。

(取材・執筆・構成=丸山夏名美)

プレミアグループ株式会社
(画像=プレミアグループ株式会社)
柴田洋一(しばた・よういち)
プレミアグループ株式会社代表取締役社長
大学卒業後、商社に入社。その後、信販会社である株式会社アプラスへ転職。約20年間、オートクレジットやファイナンス業務に従事。その後、大手中古車販売会社である株式会社ガリバーインターナショナル(現:株式会社 IDOM)へ転身し、金融事業の立ち上げなどを行い、執行役員も務めながら自動車に関する事業に携わる。2007年、これまで培ってきたファイナンスおよび自動車に関する知見を生かして、子会社であるプレミア株式会社を設立。15年にプレミアグループ株式会社を設立し、ホールディングス体制とした。現在もファウンダーとして、中古車市場のさらなる発展に向けて、国内外15社以上のグループをけん引。
冨田 和成(とみた・かずまさ)
株式会社ZUU代表取締役
神奈川県出身。一橋大学経済学部卒業。大学在学中にIT分野で起業。2006年 野村證券株式会社に入社。国内外の上場企業オーナーや上場予備軍から中小企業オーナーとともに、上場後のエクイティストーリー戦略から上場準備・事業承継案件を多数手掛ける。2013年4月 株式会社ZUUを設立、代表取締役に就任。複数のテクノロジー企業アワードにおいて上位入賞を果たし、会社設立から5年後の2018年6月に東京証券取引所マザーズへ上場。現在は、プレファイナンスの相談や、上場経営者のエクイティストーリーの構築、個人・法人のファイナンス戦略の助言も多数行う。

築き上げたファイナンス事業を資金的基盤に、上場から一気に車領域事業の幅を広げる

冨田: 上場してからここ数年間、非常にスピードアップして事業を拡大されています。事業戦略や環境の変化についてお聞かせください。

プレミアグループ株式会社

柴田: 弊社は2007年に創業し、2017年に上場しました。上場後は、独立系という大きな強みを活かしながら、これまで以上にのびのびと新規事業に取り組める環境へと変わりました。

冨田:そこで一気に展開が加速したんですね。その事業展開の中で、今期から貴社の事業セグメントのくくりを変えられましたが、どのような意図があるのでしょうか。

柴田: 事業全体をファイナンス事業、故障保証事業、オートモビリティサービス事業の3事業に分けた体制へ移行しました。事業自体に変更があったわけではなく、例えば整備事業はオートモビリティサービス事業に含めるといったように、各事業のくくり方を変えて、相互シナジーが生まれやすい仕組みに変えました。

プレミアグループ株式会社

柴田: 上場当時は、営業収益のうちファイナンス事業が8割、故障保証事業が2割程度の割合でした。ファイナンスビジネスで収益ストックの基盤ができたので、さらに車に関するビジネス領域を広げたいと思い、オートモビリティサービス事業にも力を入れるようになったんです。

例えば楽天さんのように、スタートはECでも金融事業を始めることで収益が安定する例はいくつかあります。私たちは逆の動きで、金融でベースを構築して他の事業まで幅広く展開する形で進んできました。ベースとなるファイナンス事業は現在、クレジット債権残高ベースで3,000億円にのぼります。

プレミアグループ株式会社
※2021年3月時点(2021年3月期決算説明資料より)

エンドユーザーを組み込み、車業界の絶対的なプラットフォームを生み出す

冨田:ファイナンスでここまで確固たる基盤作りができるのは素晴らしいですね。さらに、21年度の本決算説明資料で、トピックスとして、新しく取り組む事業が怒涛のように描かれています。全体の戦略の方向性についてもう少し詳しく教えてください。

プレミアグループ株式会社

柴田:これら新規の取り組みは、エンドユーザーを獲得していく中期計画の一環です。今まで当社のお客さまはディーラーさんがメインで、その先のエンドユーザーにはノータッチだったのですが、オートモビリティサービス事業を網羅的に攻めるには、ダイレクトにエンドユーザーと繋がることがカギとなります。私たちが直販をする店舗を作るのではなく、加盟店をグルーピング化・ネットワーク化して、そこにエンドユーザーを送客する仕組みを確立したいです。

冨田:加盟店さんたちは御社からファイナンスの仕組みだけでなく、送客の機会まで享受することができるんですね。エンドユーザーまで取り込むことでさらに新しいマーケットが生み出されるなか、中長期の構想についてお聞かせください。

柴田:国内においては、現在5~6万ほどの販売店と、さらに10万ほどの整備工場がありますが、それらをすべて束ねている企業はまだありません。そこをしっかりネットワーク化することで、お客さまが安心して車の売買やサブスクリプションサービスを使える経済圏を作りたいです。

プレミアグループ株式会社

柴田:車のメーカーさんたちも同様の取り組みをしていますが、取り扱う車種はそのメーカーさんのものに限られます。私たちはマルチでサービスを展開できます。加えて蓄積されたファイナンス関連のデータやノウハウは他社さんには無い強みだと考えています。

新規事業の可能性としては、サブスクリプションサービスや、ディーラーさん・整備工場さんの屋根に太陽光発電パネルを取り付け、EVステーションを作るなど幅広い展開が考えられます。今まで築き上げてきた全国ネットワークがあれば、全国の販売、整備、それらのサービスの経済圏を生み出すことが可能になります。

冨田:フィリピン、タイ、インドネシアなど海外展開もされていますね。日本で仕組みができれば、そのまま海外でもその事業が展開できます。ASEANは日本より大きくこれから伸びる市場ですから今後が楽しみですね。

3つのカンパニーへの権限委譲と、全体を束ねる力で会社を効率的に機能させる

冨田:最後に、ダイナミックに事業展開をされる中での意思決定の基準や特徴について教えてください。

プレミアグループ株式会社

柴田:当然ですが上場企業としてガバナンスを意識して、社外取締役の方にもバランスよく入っていただき、大きな意思決定ごとに深く議論を重ねています。

また、ファイナンスカンパニー、ワランティーカンパニー、オートモビリティカンパニー3つのカンパニー制度にすることで、ある程度の権限委譲をしています。これら3つのカンパニーごとに3年を目安とした中期計画書を作り、定期的に見直しを行っています。積み上げ式ではなく引き寄せ式で会社をまとめ、全体としてうまく機能させる戦略です。

冨田:権限委譲と会社全体を束ねる力がともにうまく働くと、スピード感を持ちながら多くの経営判断ができていく。そんな中で事業拡大や新規の取り組みがなされるのですね。

車業界をディーラーさんだけでなくエンドユーザーさんまで囲って経済圏を生み出す将来像、海外への展開などわくわくするお話をどうもありがとうございました。

プロフィール

氏名
柴田洋一
会社名
プレミアグループ株式会社
役職
代表取締役社長
ブランド名
・プレミアの故障保証(自動車故障の第三者保証)
・クルマとお金のことならプレミア(中古車購入サイト)
受賞歴
・東洋経済オンライン「女性管理職の比率が高い」企業ランキングに2年連続でランクイン