大手暗号資産(仮想通貨)取引所Binance(バイナンス)のCEOであるジャオ・チャポン(通称CZ)氏が16日、Bloombergのインタビューに応じ、KYC(Know Your Customer=本人確認手続き)の義務化に伴うユーザーの離脱率を明かした。

バイナンス
(画像=月刊暗号資産)

バイナンスではKYCを経ることなく一定額までの取引やサービスを利用することができたが、今年8月、暗号資産の入金、取引、出金などの商品・サービスを利用するために既存、新規いずれの全てのユーザーにKYCを義務づけた。

CZ氏はインタビューで、「一部には顧客情報の管理や認証作業を好まない人たちがいる。彼らは他のプラットフォームを利用するようになるだろう。しかしバイナンスはコンプライアンスを遵守することを決定した。KYCに準拠することで、多くのユーザーが当社を利用できるようになる。多くの人はライセンスを所得した取引所を利用した方が安心感を覚える。我々が失うユーザーは3%に過ぎない」と語った。

バイナンスは以前から分散型で本社を持たないという構造をアピールしていた。しかし、7月にCZ氏が現地の規制当局と協力する準備ができていることを発表。「当社はどの地域においてもライセンスを所得して今後は金融機関へと発展していく」と述べた。インタビューの中でCZ氏は、規制当局はバイナンスに対し懐疑的だったが、コミュニケーションを取る過程で変化してきたと語った。

このことについて同氏は「私を実際に見た人たちは『CZは合理的でクレイジーなやつではない』と言ってくれた。そのため早く信頼を得ることができた」と述べている

23万%の利益が生まれた後、ワイプアウトして問題となったイカゲームのトークンについても、「プロジェクトチームは優秀だが、彼らが何者かを見つけ出すことに時間はかかる。それは分散型の欠点の1つ。かなりの努力が必要となる。ユーザーは全てにリスクがあることを理解することが重要だ」と述べた。

それに関連して、「Study-to-earn」という新サービスも開始した。CZ氏は「(Study-to-earnという)ファイナンスツールでは、学生が勉強している間に様々なコインを獲得することができる。獲得できるコインは実際に取引できるコインだ。今後は、何でも稼げるという革新的なユースケースが多く登場する予定だ」と説明した。

バイナンスは最近になってアイルランドに3つの子会社を設立した。これは世界の様々な場所に本部を設置するというCZ氏のビジョンの一環だ。

CZ氏は「私たちが最初に始めた時、分散型の原則を受け入れたいと思っていた。本部はなく、世界中で仕事をし、国境はなかった。しかし中央集権的な取引所を運営するためにはその背後に中央集権的な法人構造が必要だ。私たちはグローバルな持ち株会社を設立した。より集中的な体制を整えたということ。詳細は今後明らかにしていく」とコメントしている。(提供:月刊暗号資産