10月の消費はコロナ禍で初の2年連続前年比増へ
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10月の消費はコロナ禍で初の2年連続前年比増へ

(ナウキャスト「JCB消費NOW」)

三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト / 宅森 昭吉
週刊金融財政事情 2021年11月23日号

ナウキャストが発表している「JCB消費NOW」は、JCBグループ会員の中からランダムに抽出した約100万会員の属性やクレジットカードの決済情報を、個人が特定できないように加工処理した統計数値だ。月次データは翌月15日(土日・祝日の場合は翌営業日)に発表される。また、半月ごとのデータも発表されている。

2021年10月前半のデータは、11月1日に公表された(図表)。JCB消費NOWの「総合」は前年比1.3%増と、21年7月後半の2.2%増以来の増加になった。内訳を見ると、「クレジットカード」は前年比2.8%増で9月前半以来の増加。「財」は2.7%増で8月後半以来、増加が続いている。「サービス」は0.1%増で5月前半の17.2%増以来の増加になった。

今年の前年比のデータを解釈するのは難しい。新型コロナウイルスの影響が20年から出ているため、感染状況の違い、緊急事態宣言の発出の有無などによって単純には比較できないからだ。例えば、21年4月前半から5月前半にかけて半月ごとに見ると、JCB消費NOW総合の前年比は12.8%増→15.4%増→11.1%増と二桁の増加になった。だが、これは20年のこの時期に最初の緊急事態宣言が発出され、多くの消費活動が自粛された反動が出たからだ。前年同期には、総合の前年比は16.2%減→18.3%減→16.5%減と二桁の減少になっていた。

コロナ禍の中で、20、21年と前年比がいずれも増加した時期は、10月前半の総合・クレジットカード・財の3分野だけで、サービスでは皆無だった(サービスの20年10月前半は1.3%減)。そうしたなか、21年10月前半になって、新型コロナの新規感染者数が落ち着き、ワクチン接種が順調に進む中で、JCB消費NOWにも緊急事態宣言が解除されたことによる個人消費の持ち直しが見られた。

最近の総合の数字を「月次・前年同月比」で見ると、21年4、5月と前年同月が二桁減だった反動で連続して増加だったが、6月は減少に転じた。その後、7月は0.7%増だったが、20年7月(5.1%減)の反動という面が大きい。実際、21年8月3.7%減、9月5.0%減と2カ月減少が続いている。

ただ、10月は増加に転じる可能性が高いだろう。20年10月は0.5%増と微増だったので、増加に転じればコロナ禍で初めて、2年連続で増加の月になる。

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