2021年もいよいよあと1か月を残すのみ。この時期、正月準備とともに忘れてはならないのが「ふるさと納税」だ。例年12月に利用が急増するが、今年はコロナ禍の影響で人気返礼品のラインアップに異変が起きている。年内に寄付を終えないと2021年分の「寄附金控除」の枠はなくなってしまう。早めにチェックして貴重な控除枠を使い切ろう!
高所得者ほど税金優遇が受けられるお得な制度
わずか2000円の自己負担で全国各地の特産品などが味わえるふるさと納税。そもそもふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄付をすることで、所得税や住民税の控除を受けられるというお得な制度だ。
ただ、控除が受けられる枠はその年の収入に応じて1年ごとに更新され、年が変わるとリセットされてしまう。つまり、2021年の控除の枠は年内に使い切らないと消えてしまうことになる。そのため、この時期に駆け込みで寄付する人が増えるわけだ。
控除が受けられる金額は収入や家族構成などによって各自異なるが、年収が高ければ高いほどその金額は高くなる。たとえば、年収500万円で家族がパート勤務(配偶者控除あり)の妻と高校生の子ども1人の場合、税金控除の上限から割り出した寄付金額の目安は4万円。一方、同じ家族構成で年収が750万円の場合、寄付金額の上限は8万7000円となる。金額はもちろん、収入に対する割合も0.8%に対して1.16%と、より大きくなる。つまり、高所得者ほど得をする制度なのだ。
寄付金額の上限までなら、寄付した金額のうち2000円を超える部分が全額控除されることになる。つまり、実質2000円の自己負担のみで、おいしい特産品や極上の体験などが楽しめるわけだ。
寄付金額の上限の目安は総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」や各種専門サイトに掲載されているので、参考にしよう。より詳しい上限額を調べたい場合は、専門サイトの「控除額を調べる」などのコーナーで、自分の年収や家族構成などの条件を入力して、シミュレーションしてみるといいだろう。
返礼品は寄付金額の3割以下の地場産品に限定
各自治体の間で返礼品競争が激化し、制度本来の趣旨を逸脱したとして、2018年に法律で「寄付金額の3割以内の地場産品に限定する」という新基準が設けられた。それ以前は、返礼品の中に家電製品や何にでも使える商品券なども含まれており、還元率が5割以上の返礼品も珍しくなかった。
新基準の設定後、以前と比べてふるさと納税のお得度が下がったという声もあるが、3割というのはあくまでも生産地での調達価格なので、一般的な販売価格より割安な場合が多い。また、たとえ3割以下に下がったとしても、寄付した金額のうちのほとんどが控除されたうえに、特産品がもらえるのだから、お得なことに変わりはない。
もし、まだふるさと納税をしたことがないという人がいたら、これまで毎年(ふるさと納税によって得られるはずの)権利を放棄していたわけだから、なんとももったいない話。しかも、収入が多い人ほど税金優遇の恩恵が大きいので、やらないという選択肢はないはずだ(申し込み方法は第3回で詳しく説明する)。
2020年の寄付総額は約6725億円と過去最高額
この10年間、ふるさと納税の利用は、ほぼ右肩上がりの増加傾向にある。特に昨年はコロナ禍の影響で「おうち時間」が増えたせいか、利用件数が大幅に増加。寄付総額も約6725億円と過去最高を更新した(下グラフ参照)。
また、寄付受付額のランキング(下表)を見ると、北海道や九州を中心に、やはり返礼品が充実した自治体が人気を呼んでいる。