ハウスメーカーのサイトなどを見ると、「夏涼しく冬暖かい高断熱住宅」というようなPR文をよく見かけます。その数があまりにも多いため、「どの高断熱住宅を選んでよいかわからない」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事の前半では、高断熱住宅で使われている主な断熱材を比較。後半は高断熱住宅のなかでも断熱性に優れた「魔法びんハウス」について解説します。
目次
高断熱住宅で使われている断熱材の比較
一般的に高断熱住宅とは、暖気や冷気を逃がしにくい断熱材や窓を使った建物のことです。ただ同じ高断熱住宅でも、使われている断熱材の種類はハウスメーカーごとに違います。この違いを理解して施工業者を選ぶのが賢明です。
断熱材の種類1:繊維系素材
繊維系の断熱材の代表はグラスウールでしょう。これは、高温で溶かしたガラスを遠心力で繊維化したものです。
グラスウールのメリットは「コストが安いこと」です。また、原料がガラスなので「燃えにくい」特性もあります。デメリットは、グラスウールを隅々まで詰め込まないと、断熱性が落ちてしまうことなどです。
なお、グラスウールと同じ繊維系の断熱材には、鉱物を原料にしたロックウールもあります。メリット・デメリットはグラスウールとほぼ同じです。
断熱材の種類2:自然素材
自然素材の断熱材の種類はさまざまです。例えば、新聞紙やダンボールなどの原料を綿状にしたもの、羊毛に防虫効果を加えたもの、ワインコルクの端材を利用したものなどがあります。
自然素材をベースにした断熱材ということでイメージはよいですが、一般的に普及していないため、ほかの断熱材に比べてコストが割高というデメリットがあります。
断熱材の種類3:プラスチック系
プラスチック系の断熱材にはポリスチレンフォームや硬質ウレタンフォームなどがあります。これらは、最近の高断熱住宅では広く使われています。
ポリスチレンフォームには結露を防ぎやすい、硬質ウレタンフォームには断熱性にとくに優れているメリットがあります。
一方、ポリスチレンフォームには熱に弱い、硬質ウレタンフォームには(割安なグラスウールなどと比べて)コストが割高というデメリットがあります。
断熱材の種類4:発泡吹付ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームを現場で吹き付ける断熱材です。断熱性の高い素材を隙間なく吹き付けることで、高い断熱性がいかんなく発揮されます。
デメリットは吹付に慣れている職人が作業しないと、不備が出てくる可能性があることです。この断熱材を使った高断熱住宅を選ぶ場合は、実績豊富な工務店やハウスメーカーを選ぶのがポイントです。
なお、この記事の後半でご紹介する「魔法びんハウス」は、この発泡吹付ウレタンフォームを使った高断熱住宅です。魔法びんハウスの特徴をさらにくわしく見ていきましょう。
魔法びんハウスとは?
魔法びんハウスとは、断熱性に優れた断熱材や窓ガラス、サッシなどを使用することで、夏涼しく、冬暖かい、まさに魔法びんのような家のことをいいます。
機密性・断熱性が高いことから、温暖差によるストレスが緩和され、快適に暮らすことができます。その優れた構造をこれより解説していきます。
なぜ「魔法びんハウス」は断熱性が高いの?
魔法びんハウスで使われている発泡吹付ウレタンフォームが優れた断熱性を発揮する秘密は、その構造にあります。
ウレタンフォームの断面を見てみると、たくさんの気泡(空気)の集合体になっています。この気泡のなかに熱を伝えにくいガスが入っているため、高い断熱性を実現できるのです。
硬質ウレタンフォームには、水や水蒸気に触れても断熱効果が低下しにくい特性がある点も見逃せません。これに対して、グラスウールなど通常の断熱材は、水が侵入すると断熱効果が低下しやすいといわれています。
高断熱窓によって室内の温度を一定に保ちやすく
魔法びんハウスでは、さらに窓に「ハイブリッド構造サッシ」と「Low-E複層ガラス」を併用することで冷暖房のエネルギーが外へ流出することを最小限に抑えています。
なぜ、窓の断熱性が重要なのかというと、一般的なガラス・アルミ窓の場合、夏は冷房の52%程度、冬は暖房の72%程度のエネルギーが室外へ逃げるといわれているからです。
このエネルギー損失を抑えることで、冷暖房が効きやすく室内の温度が一定に保ちやくなります。
ハイブリッド 構造サッシ |
・アルミと樹脂のサッシを組み合わせた構造 ・アルミサッシの耐久性と採光性 ・樹脂サッシの断熱性と防露性 |
Low-E複層ガラス | ・ガラス表面にLow-E膜を施したガラス ・夏の暑さを緩和、冬の暖房効率を高める効果 ・複層ガラスにすることで熱伝導を抑える |
Low-E複層ガラスの断面を見ると、下記のように2枚のガラスが熱伝導を抑える空気層を挟んでいることがわかります。
魔法びんハウスの断熱性能は次世代省エネ基準を上回る
ここまでお話してきたように魔法びんハウスとは、断熱性能に優れた断熱材(発泡吹付ウレタンフォーム)と高断熱窓(ハイブリッド構造サッシとLow-E複層ガラス)を組み合わせた住宅でした。
このような高機能をマイホームに組み込むことで「次世代省エネ基準」の指標を上回るほどの断熱性を実現できます。
住宅の断熱性の指標にUA値(外的平均熱貫流率)というものがあります。この値が少ないほど断熱性が高いことを示しますが、下記のように魔法びんハウスのほうが少ない値になっています。
魔法びんハウスを選ぶことでこんな生活が叶えられる
魔法びんハウスを選ぶと、具体的に私たちの生活はどう変わるでしょうか。いくつかのシミュレーションを見てみましょう。
魔法びんハウスで叶えること |
・広めの住空間を実現する ・光熱費を節約する ・健康的な生活がおくれる |
魔法びんハウスで叶える1:広めの住空間を実現する
広めのリビングダイニングの注文住宅をつくりたい。でも光熱費がかかるため迷っているというご家族もいらっしゃるでしょう。断熱性に優れた魔法びんハウスなら、エネルギー損失が少ないので開放的な空間を効率的に冷暖房できます。
魔法びんハウスで叶える2:光熱費を節約する
魔法びんハウスは、冷暖房効率の悪い家と比べて光熱費を節約しやすいです。光熱費は継続的な出費のため、月々に節約できるお金はわずかでも長期的に見ると大きな金額になります。
魔法びんハウスで叶える3:健康的な生活がおくれる
魔法びんハウスの断熱性の高い住空間は健康にもプラスと考えられます。国土交通省が断熱改修を実施した1,194人を調査したところ、断熱リフォーム後に起床時の最高血圧の低下が確認されました。
また、断熱性アップによる室温上昇の結果、過活動膀胱症状の緩和や室内での身体を動かす時間の増加なども確認されています。
魔法びんハウスのことをさらに知りたい人は
この記事の前半では高断熱住宅で使われている主な断熱材の比較をしました。それぞれの特徴は次の内容でした。
繊維系(グラスウール) | コストが安くて燃えにくい |
自然素材系 | エコなイメージはあるがコストが高い |
プラスチック系(ウレタンフォームなど) | 断熱性に優れている、水に強い |
発泡吹付ウレタンフォーム | 隙間なく吹き付けることで高い断熱性を発揮 |
同じ高断熱住宅でも、使う断熱材によって特性はかなり違います。
このうち、発泡吹付ウレタンフォームを使い、さらに高断熱窓を組み合わせたのが魔法びんハウスで、その断熱性は次世代省エネ基準を上回るほどでした。
補足すると、ご紹介した魔法びんハウス(吹付ウレタン+高断熱窓の家)を建てられるのはハウスメーカーや工務店のごく一部です。
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(提供:タツマガ)
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