注文住宅で木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造を選ぶメリット・デメリットを全て解説
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同じ注文住宅でも、骨組みの違いによる工法は「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3つにわかれます。工法と聞くと難しく感じるかもしれませんが、それぞれ住み心地や金額などが変わるため、どれを選ぶかはとても大切です。住んでから「後悔しないために、それぞれの違いを知っておくことをおすすめします。ここでは「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」のメリット・デメリットをわかりやすくお伝えします。

目次

  1. 木造建築の種類
    1. 在来工法(木造軸組工法)
    2. ツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)
    3. 木造軸組+パネル工法
  2. 木造のメリット・デメリット
    1. メリット1:設計の自由度が高い
    2. メリット2:断熱性が高い
    3. メリット3:価格が抑えやすい
    4. デメリット1:施工会社や職人によって品質に差がある
    5. デメリット2:鉄骨に比べ工期がかかる
    6. デメリット3:災害を受けるとダメージが大きい
  3. 鉄骨造の種類とメリット・デメリット
    1. メリット1:工場生産による均一品質
    2. メリット2:工期が早い(プレハブ工法の場合)
    3. デメリット1:暑さ寒さ対策が必要
    4. デメリット2:設計の制限が多い
  4. 鉄筋コンクリート造(RC造)の種類とメリット・デメリット
    1. メリット1:耐久性が高い
    2. メリット2:遮音性が高い
    3. メリット3:耐火性に優れる
    4. デメリット1:建築費用が高い
    5. デメリット2:断熱性能が低い
  5. 自分たちに合う工法はどれか?で選ぼう

木造建築の種類

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木造建築は、木の持つ保温性や調湿性を生かした、日本の気候に合った工法です。ただし同じ木造でも、材料の組み方などによって次の3種類にわかれます。

在来工法(木造軸組工法)

日本の伝統的な木造工法で、木造軸組工法とも呼ばれています。木の柱や筋交い、土台や梁桁などを組み合わせて作ります。

ただし今の時代に求められる耐震性や気密性を持つ家にするには、さまざまな補強が必要です。家づくりを依頼する施工会社選びでは、それらの対策をしっかり比べることが大切です。

ツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)

アメリカやカナダで普及している工法で、日本にも輸入され普及しています。名前の由来である2インチ×4インチの角材と木質パネルを組み合わせて作ります。

外側をパネルで覆うため、気密性や断熱性を高くしやすいメリットがあります。一方でパネル面の大きさで建物の強さを保つため、大きな窓などを取りにくいデメリットを持ちます。

木造軸組+パネル工法

在来工法の外側に、ツーバイフォー工法の木質パネルを貼る工法です。在来工法に比べ耐震性や気密性が高く、ツーバイフォーで難しかった大きな窓なども取りやすくなります。

在来工法とツーバイフォー工法のメリットもそのまま受け継いでいるため、木造で建てるならもっともおすすめの工法です。

木造のメリット・デメリット

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木造のメリット・デメリットとしては以下のようになります。一つひとつ詳しく解説していきます。

メリット デメリット
設計の自由度が高い 施工会社や職人によって品質に差がある
断熱性が高い 鉄骨に比べ工期がかかる
価格が抑えやすい 災害を受けるとダメージが大きい

メリット1:設計の自由度が高い

木造は他の工法に比べ、外観や間取りなどの設計の自由度が高い工法です。なぜなら、木は鉄やコンクリートと違い、加工やジョイントがしやすい材料だからです。

一定の規格に合わせて作る鉄骨や鉄筋コンクリートには設計の制限があります。それに比べ木造は、施主の夢や希望を実現しやすい工法になっています。

メリット2:断熱性が高い

木はもともと熱を伝えにくい材質のため、木造は外の暑さや寒さが入りにくい断熱性の高い家になります。木が熱を伝えにくい材質なのは、鍋やフライパンの取っ手に木が使われることからもわかります。

鉄やコンクリートは熱を伝えやすく、家の骨組みに使うと外の温度変化の影響を受けやすくなることから、部屋の温度を調節するための冷暖房費がかさむ可能性があります。

メリット3:価格が抑えやすい

木造は他の工法に比べ、価格を抑えやすいメリットがあります。木造は日本でもっとも建てられている工法のため、材料が豊富に流通し低価格化しているためです。

また施工会社も多く、価格競争が起きていることも価格が抑えられる要因です。以下は、2020年日本国内において一戸建て住宅が建てられた構造別の戸数になります。

木造 35万9,047戸
鉄骨造 3万3,828戸
鉄筋コンクリート造(RC造) 2,311戸
コンクリートブロック造 391戸
鉄骨鉄筋コンクリート造 111戸
その他 434戸

(引用:国土交通省 令和2年分【住宅】利用関係別 構造別 建て方別 都道府県別戸数

続いては木造のデメリットを見ていきましょう。

デメリット1:施工会社や職人によって品質に差がある

木造は施工会社による品質差が大きいという点に注意しなければなりません。

施工会社の多さから競争が激しく、安価な材料を使ったり手間賃の安い職人を使ったりして価格を下げるところがあります。

当然こうした家は、耐久性や断熱性などが低くなり、家自体の品質に大きな影響を及ぼします。

デメリット2:鉄骨に比べ工期がかかる

木造のなかでも在来工法は、鉄骨に比べ工期がかかります。工場で材料をある程度まで組み立てる鉄骨ユニット工法は、現場の工期が短くて済みます。

しかし現在は木造軸組+パネル工法も工場で柱やパネルなどを加工して組み立てておくため、他の木造より大幅に工期は短くなっています。

デメリット3:災害を受けるとダメージが大きい

木造はシロアリなどの害虫の被害を受けることがあります。また、地震。台風などの自然現象による災害を受けた場合、強度の問題などから被害が大きくなりやすい傾向にあります。

鉄骨造の種類とメリット・デメリット

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鉄骨造は鉄の厚みが6mm未満の「軽量鉄骨」と、6mm以上の「重量鉄骨」にわかれます。

住宅では「軽量鉄骨」を使った工法が主流で、まず工場で建材や部材を加工し組み立てた部材・ユニットを制作します。

それを現場に運び組み立て住宅を構築するのですが、これをプレハブ工法といい、この工法で建てられた住宅はプレハブ住宅とも呼ばれます。

製造には大きな工場などの設備が必要なため、施工会社は大手住宅メーカーが主流です。「重量鉄骨」は主にオフィスやテナントビルで使われますが、一部に住宅でも採用している施工会社もあります。

以下が鉄骨造の主なメリットとデメリットになります。

メリット デメリット
工場生産による均一品質 暑さ寒さ対策が必要
工期が早い(プレハブ工法の場合) 設計の制限が多い

メリット1:工場生産による均一品質

鉄骨造は管理された工場で、材料を作り組み立てるため家の品質が均一というメリットがあります。

現場で作る職人の腕に品質が左右されにくく、いわゆる当たり外れのない家になります。ただし木造も現在は工場で骨組みを加工する時代であり、以前のような品質差は生まれにくくなってはいます。

メリット2:工期が早い(プレハブ工法の場合)

工場であらかじめ材料を組み立てておく鉄骨造は、他の工法に比べ短い期間で完成します。

とくに一部屋の大きさまで工場で組み立てる鉄骨ユニット住宅は、現場での作業がさらに短くて済みます。できるだけ早く入居したい方にとっては大きなメリットといえるでしょう。

デメリット1:暑さ寒さ対策が必要

鉄骨造は骨組みの鉄が熱を伝えやすく、夏は暑く冬に寒い家になりやすいという欠点があります。

木造に比べると断熱性能の差が大きく、窓や断熱材に高性能なものを使わないと冷暖房費のかかる家になってしまいます。

デメリット2:設計の制限が多い

鉄骨造は木造に比べ設計の制限が多い工法です。材料の鉄骨が、長さやジョイントできる位置が規格で決まっているためです。

とくに部屋の形や開口部の位置、外観などに制限が多くなります。できるだけ好みに合わせた家を作りたい方とっては、物足りなく感じる工法かもしれません。

鉄筋コンクリート造(RC造)の種類とメリット・デメリット

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鉄筋コンクリート造は、中に補強の鉄筋を入れたコンクリートを固めて作る工法です。

鉄筋コンクリート造はさらに、柱や梁などの枠で建物を支える「ラーメン構造」と、壁で支える「壁式構造」に分かれます。

住宅は主に「壁式構造」で作られ、強度を保つためにある程度の壁量が必要になります。このため「ラーメン構造」で作られる高層マンションのような、壁一面が窓といった間取りは取りにくくなっています。

以下が鉄筋コンクリート造の主なメリットとデメリットになります。

メリット デメリット
耐久性が高い 建築費用が高い
遮音性が高い 断熱性能が低い
耐火性に優れる -

メリット1:耐久性が高い

鉄筋コンクリート造は耐久性の高い工法です。環境によりますがコンクリートは長持ちしやすい素材で、さらにコンクリートで覆われた鉄筋は錆びにくいためです。

家の工法を問わず、基礎には鉄筋コンクリートが使われていることからも耐久性の高さがうかがえます。

メリット2:遮音性が高い

鉄筋コンクリート造は遮音性が高く、周囲の音が家の中に入りにくい工法です。大通りに面しているような環境でも、騒音が聞こえにくくなります。

ただし音の侵入は窓から入る割合も大きいため、騒音対策には遮音性の高い窓を付けることも必要です。

メリット3:耐火性に優れる

鉄筋コンクリート造は耐火性に優れるため、火事が燃え移りにくいメリットがあります。

また主要構造部が耐火構造のため、開口部を防火設備にすれば都市計画法で定める防火地域に建築できます。

ただし木造など他の工法でも、基準を満たす材料を使えば防火地域に建てることが可能です。

デメリット1:建築費用が高い

鉄筋コンクリート造は他の工法に比べ建築費用が高額です。これは、現場で重い鉄筋と型枠を組み、そこへコンクリートを流しこむなど非常に手間がかかるためです。

また建物が重く、地盤補強費が追加になることもあります。さらに将来の解体費用が高いという点にも注意が必要です。

デメリット2:断熱性能が低い

鉄筋コンクリート造は木造に比べ、夏の暑さや冬の寒さが侵入しやすくなります。なぜなら、コンクリートは熱を伝えてしまう熱伝導率が木に比べ高いからです。

このため鉄筋コンクリート造で家を建てるときは、高性能な断熱材や窓を使う施工会社を選ぶ必要があります。

自分たちに合う工法はどれか?で選ぼう

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「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」には、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。そのためどれが一番かではなく、自分たちが実現したい家にはどれが合うかで選ぶと良いでしょう。

できるだけ自分たちの夢や希望をかなえやすい家なら「木造」がおすすめです。また均一品質の住まいをできるだけ早く手に入れたいなら「鉄骨」があっています。耐久性などの構造を重視するなら「鉄筋コンクリート」が適しているといえます。

自分たちはどんな家を建てたいかを、ご家族でよく相談したうえで最適な工法を選ぶようにしましょう。

(提供:タツマガ

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