トレンドといえば代表的なのがファッションですが、実は住宅にも外観や内装などいくつかのトレンドが存在します。そして、2020年以降に大きな流れになった「ステイホーム」も住宅に対する意識を大きく変えることになりました。人々はどのようなことを住宅に求めているのでしょうか。注文住宅の最新トレンドを探ります。
目次
注文住宅もおしゃれでモダンな外観が人気に
社会のトレンドは常に変化しています。注文住宅もトレンドと無縁ではありません。2021年はどのような住宅が人気になっているのでしょうか。外観、内装、間取り、設備の4つのパートに分けて見てみましょう。
はじめに外観ですが、全体的にはおしゃれでモダンな住宅が好まれる傾向があります。なかでも次の5つのデザインは人気があります。
南欧プロヴァンス風
おしゃれな外観の代表的なスタイルです。プロヴァンス風とは南フランスのプロヴァンス地方の伝統的な家のデザインを指します。
白い漆喰の壁に明るいレンガ色の屋根を組み合わせたデザインで、フランス料理店のようなイメージの外観といえます。
住宅街にあったらひときわ目をひくことでしょう。屋根は三角の切妻屋根で、玄関上にも小屋根が付いておりリゾート地にいるような雰囲気を味わえます。
アメリカンガレージ風
おしゃれな外観に実用性も兼ね備えたアメリカンガレージ風住宅も人気が高まっています。
母屋部分は2階建てで、平屋建てのガレージ部分が付随しているようなデザインです。シャッターも閉められるため、車が雨ざらしや盗難に遭う心配もありません。
住宅の土地が広いアメリカでは一般的なスタイルですが、日本でもアメリカンガレージ住宅に憧れを持つ人は多いでしょう。
シンプルモダン
一方で、モダンなデザインの住宅も変わらぬ人気を維持しています。シンプルモダンは余計なものを除き、白を基調にしたすっきりとしたデザインが特徴です。
アクセントとして木目調の部分を加えている住宅もあります。和風住宅と同じように、洋風住宅のなかでは普遍的で飽きのこないデザインといえます。
北欧ナチュラルモダン
北欧住宅の外観で特徴的なのが、三角屋根の途中で折れ曲がって勾配が変わるマンサード屋根(腰折れ屋根・中折れ屋根)を採用していることです。
北欧は雪が多いので雪の滑りがよくなるマンサード屋根や三角屋根の住宅が多いという事情があります。
日本でも雪の多い北海道で見られるスタイルです。外壁の色は白が基調のシンプルモダンと異なり、さまざまな色の住宅が見られます。
和モダン
伝統的な和風住宅のデザインを、現代的にアレンジした和モダン住宅も人気があります。
和風住宅ならではの自然な素材の色合いがあたたかみを感じさせます。ある程度広い敷地が必要ですが、松の木などを植えることで庭と母屋が一体となった和の世界を演出することができます。
毎年変わる内装のトレンドカラー
内装のトレンドカラーは毎年変わる傾向があります。
ファッションなどさまざまな分野のトレンドカラーに大きな影響を与えているのが、米パントン社が毎年発表している「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー」です。カラーの選定はパントン社の慎重な考察とトレンド分析によって行われています。
2020年のトレンドカラーはクラシック・ブルー」
例えば、2020年のトレンドカラーは「クラシック・ブルー」が選ばれました。クラシック・ブルーは、藍染めやデニム生地(ジーンズ)でおなじみの落ち着いた寒色系のカラーです。
心を静める効果があることから、インテリアに取り入れやすいカラーといわれています。仕事や学習効果を高めるためにワークスペースや学習スペースにワンポイントカラーとして取り入れるのもよいでしょう。
2021年はアルティメット・グレイとイルミネイティング
2021年のトレンドカラーに選ばれたのは「アルティメット・グレイ」と「イルミネイティング」ですが、名前を聞いただけではイメージが沸かないかもしれません。
この2色はグレーとイエローの組み合わせで、広告デザインを手がけるASOBOADによると、「永続的な強さと希望のメッセージを伝える色の組み合わせ」といわれています。新型コロナウィルスと闘う社会へのエールが込められているようです。
家族が納得できる色を選ぶのがベスト
内装は家族の好みがあると思われるので、必ずしもトレンドカラーに囚われる必要はありません。トレンドカラーを参考にしつつも、ハウスメーカーとの打ち合わせで色見本を見ながら家族が納得できる色を選ぶのがベストといえるでしょう。
社会情勢に合わせたトレンドの間取りとは
社会情勢によって間取りのトレンドが変わる場合もあります。2020年に感染が拡大した新型コロナウィルスによる緊急事態宣言は住宅に対する意識を大きく変えました。「ステイホーム」や「お家時間」がトレンドワークになったのです。
外食が減り、自宅で食事することが多くなったことで、キッチンの役割がより重要になりました。家族のためにキッチン周りを充実させたいと考える人は多いでしょう。
家族が集まって過ごせる広いLDKが人気
さらに、家族のライフスタイルが近年「個」になりがちでしたが、お家時間が増えたことで家族の団欒を大事にしたいという思いにトレンドが変化しました。家族が集まって過ごせる広いLDKの人気は今後も続くでしょう。
テレワークのため仕事部屋を持ちたいというニーズも
また、2020年以降は、テレワークの普及によって専用の仕事部屋を持ちたいという人が増えたのも大きなトレンドの変化です。とくに小さな子どもがいる家庭では、同じ部屋だと仕事に支障が出やすいという事情もあるようです。
これから注文住宅で家づくりを考える人は、このようなトレンドの変化を取り入れたプランを立てることが大事になります。
注文住宅で取り入れたい人気の住宅設備は?
注文住宅の場合、人気の住宅設備も柔軟に取り入れることができます。リクルートすまいカンパニーが実施した「2020年注文住宅動向・トレンド調査」によると、取り入れたい設備の1位は「ウォークインクローゼット」で34.1%(全国)を占めています。
検討者 (全国) n=1,874 |
検討者 (首都圏) n=440 |
|
ウォークインクローゼット | 34.1 | 31.1 |
カウンターキッチン | 29.7 | 25.2 |
パントリー | 28.9 | 22.8 |
アイランドキッチン | 22.9 | 22.6 |
オープンなLDK | 17.8 | 19.5 |
シューズクローク | 27.6 | 18.7 |
室内干しスペース(洗濯など) | 27.2 | 17.5 |
ゆっくり入浴できる広い浴室 | 17.1 | 15.7 |
畳コーナー | 18.5 | 14 |
ウッドデッキ | 10.6 | 12.2 |
(引用:リクルートすまいカンパニー 2020年注文住宅動向・トレンド調査)
2018~2019年も1位なので、毎年安定したトレンドを形成しています。やはりウォークインクローゼットへの憧れは強いようです。
次いで2位が「カウンターキッチン」(29.7%)、3位が「パントリー(キッチン付近に設置された大容量の収納スペース)」(28.9%)とキッチン関係の設備も高い人気があります。
間取りでは「畳コーナー」(18.5%)、「オープンなLDK」(17.8%)、「ゆっくり入浴できる広い浴室」(17.1%)が上位を占めています。
間取りは洋室が多い傾向ですが、和室や小上がり畳席など何らかの形で、畳で過ごせるスペースを確保したいという思いがうかがえます。
トレンドを取り入れるデメリットはあるのか
住宅のトレンドにはさまざまな要素がありますが、トレンドを取り入れることにデメリットはあるのでしょうか。
数年でトレンドが変化する
デメリットとして挙げるとすれば、トレンドが数年で変化することです。建築したときは最新トレンドだったとしても、数十年も経つと古臭く見える住宅もあります。
ましてや地区ごと開発された住宅街であれば同じハウスメーカーが建てているため、コストの関係で似たようなデザインの外観になる可能性があります。
家電であれば古くなったモデルを買い替えることができますが、住宅は手軽に買い替えることはできません。
注文住宅を建てる際は、トレンドのみで判断することなく、家族にとって本当に気に入ったデザインや、長く使える間取りや設備を選ぶ必要があります。
家族の希望に沿ったトレンドの住宅が理想
家族の希望に沿った理想のトレンド住宅を造るにはどうすればよいのでしょうか。希望に沿った住宅を造るうえで大事なのがプランの作成です。
ハウスメーカーの営業担当者や設計士と打ち合わせしながら理想のプランを作成していきますが、そのときに家族のライフスタイル(仕事、学校、家事など)に合わせた希望を伝えることが大事です。
例えば、今後もテレワークは主要な働きかたの1つとして定着することが予想されます。学校のオンライン授業も社会情勢によっては行われることがあるでしょう。
そのようなときに、専用の仕事部屋を造っておけばテレワークにもオンライン授業にも活用でき、背景の映り込みなどを気にせずに行うことができます。
注文住宅はお好みにオーダーメイドすることが可能
外観や内装については家族それぞれの好みがあり、1つにまとまるのは難しいかもしれません。営業担当者は豊富な施工例を熟知していますので、まとまらなければアドバイスを受けてみるのもよいでしょう。
注文住宅は単に外観やカラーの流行を取り入れるだけでなく、家族にとって必要な間取りや設備をオーダーメイドすることができます。これがすでに完成している建売住宅と違う、注文住宅の大きなメリットです。
(提供:タツマガ)
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