毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。このコーナーでは、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。
第1位:『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(中野信子著、アスコム)
第2位:『神メモ』(原邦雄著、すばる舎)
第3位:『毎日がうまくいく朝のスイッチ』(大嶋信頼著、あさ出版)
第4位:『価格の心理学』(リー・コールドウェル著 武田玲子訳、日本実業出版社)
第5位:『「しなくていいこと」を決めると、人生が一気にラクになる』(本田秀夫著、ダイヤモンド社)
第6位:『武器としての組織心理学』(山浦一保著、ダイヤモンド社)
第7位:『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(アンドリュー・O・スミス著 桜田直美訳、SBクリエイティブ)
第8位:『TIME SMART』(アシュリー・ウィランズ著 柴田裕之訳、東洋経済新報社)
第9位:『会って、話すこと。』(田中泰延著、ダイヤモンド社)
第10位:『観察力の鍛え方』(佐渡島庸平著、SBクリエイティブ)
※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年11月の閲覧数ランキング
あえて空気を読まない
10月の第1位は『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』でした。銀行、証券、保険のいずれの分野においても第1位となりました。
著者は多方面で活躍する科学者、中野信子氏です。脳科学者にして医学博士、かつ認知科学者でもあります。本書には中野氏の同僚や優秀な医師といった「頭のいい人」が多数登場します。彼らの行動がいかに有効か、脳科学などの見地から解きほぐしていきます。
中野氏は多くの「頭のいい人」を分析し、「あえて空気を読まず自分を貫く」という共通項を見いだしました。また、苦手分野では得意な人の手を借りたり、「やらないこと」をリスト化してやるべきことに集中したりと、「頭のいい人」の行動に見られる傾向や習慣を紹介しています。
「“頭の悪い人”って思われてそう」という不安にさいなまれている方、ぜひ紹介されている「頭のいい人」の流儀を実践してみてはいかがでしょうか。
発売日:2021年09月14日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、生産性・時間管理、リーダーシップ・マネジメント
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夢に近づく「神メモ」
続いて第2位は『神メモ 紙1枚で人生がうまくいくメモの技術』でした。A4の紙に、「ロマン(ミッション・ビジョン)」、「ソロバン(本業)」、「チャージ(成長や喜び)」、「タスク」という4つの要素に分け、現状と目標を俯瞰するためのメモの作成手順と効用が紹介されています。「本日~1週間以内」にしなければいけないこと、「1~3カ月以内」、「1年以内」、「3年以内」に実現したいことといった具合に期限別のタスクを書き込み、夢に近づいていくための「魔法のメモ術」です。
メモを毎日更新することによって夢や目標への道筋がはっきりし、成すべきことが自然と見えてくる――。神メモを15年間実践し続けてきた著者、原邦雄氏はそう強調します。
仕事と日常、公私ともに目の前のことに追われてあっぷあっぷ。そんな忙しい日々を送られている方におすすめしたい一冊です。
朝の隙間時間を有効に
第3位は『毎日がうまくいく朝のスイッチ』でした。銀行関連の企業にお勤めの方を中心によく読まれました。
朝起きて頭がぼーっとする、まだ眠い……。ただ、そんな起き掛けにこそ、さまざまある「スイッチ」を入れていくことにより、快活なスタートを切ることができます。
朝、靴下やストッキングを履く前に3分間、かかとをマッサージしましょう。すると、心も体も魅力的になり、全身が自然と整います。さらに、3分間、タイマーをセットして目を閉じ、「鏡のような水面」をイメージしましょう。2分間だけ自分一人でいられる時間をつくりましょう。
するとどうでしょうか。期待できる効果については、ぜひ本書でお確かめください。
「98円」の商品が多い不思議
ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきます。
まずご紹介するのは第4位の『価格の心理学』です。証券界に携わる方々の間で特によく読まれていました。
ごまんとある金融商品や金融サービス、振込手数料や通帳発行手数料、信託報酬など価格もさまざまですね。「あのお客様はどうしてあの商品を選んだのだろう」。日々そうした疑問や悩みを抱えている方に適した一冊です。
本書は、個々の商品やサービスにどのようにプライシング(値付け)をすれば最適な利益を上げられるか、架空の新商品「チョコレートポット」を介して価格の仕組みや不思議をひも解いていきます。価格は企業側の費用でなく、顧客にとってのベネフィットに立脚して設定すべきとの基本姿勢をはじめ、値上げの有効策としての「リフレーミング」(枠組み変更)や、「アンカリング」という価格戦略の考え方が紹介されています。いずれも、「購買心理学」や「行動経済学」に裏付けされた論理で、説得力があります。
なぜ、世の中には~8円、~9円、~80円と設定されている商品が多いのでしょうか。 気になった方はぜひご一読ください。「なるほど!」と思わず納得するはずです。
あなたの話に興味はない
最後にご紹介するのは第9位の『会って、話すこと。』です。
電通でコピーライターやCMプランナーとして経験を積んだ著者は、「人は他人(あなた)に興味がない」という前提に立ち、「話を聞いてもらわなければならない」との考えを捨てなさいと説きます。同時に、会話においてはむしろ相手の話を聞く大切さを強調しています。
何を話すべきか、どう話すか、だれと話すか――。話をするシチュエーションごとに、意識すべきポイントが端的にまとめられています。
新型コロナウイルス感染拡大を背景に、オンラインによるコミュニケーションが増え、長らく会えていない友人や取引先も多いのではないでしょうか。久しぶりに会う人に「話すのが楽しい」「もっと話していたい」と思われる、そんなちょっとしたコツがギュッと詰まっています。
編集後記
今回の月間ランキングでは、ヒット作を連発する中野信子氏の新刊が第1位になり、過去の著作同様、業界内で幅広く読まれました。全体として、第4位『価格の心理学』や第7位『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』、第8位『TIME SMART お金と時間の科学』と“お金”にまつわる書籍が目立ちました。
12月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。
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