近年の上場の傾向は?定説が変わりつつある
近年になってから、上場企業を取り巻く環境は大きく変化しつつある。経営者が特に押さえておきたい変化としては、以下の2点が挙げられるだろう。
上場以外の方法でも成長を目指せるようになった
ひとつ目の大きな変化は、成長企業・新興企業の資金調達手段が増えてきた点である。最近ではCVCやエンジェル投資家による支援のほか、M&Aによって資金調達を成功させる企業も多く見られるようになった。
資金調達手段が多様化すれば、企業は上場以外の方法でも成長を目指せるようになる。また、大企業との資本提携や業務提携なども選択肢に含まれるので、自社の成長を目指す経営者は広い視野をもって今後の経営戦略を考えたい。
投資家との緊密なコミュニケーションが求められるようになった
SDGsや働き方改革の影響により、上場企業と投資家の関係性が変化している点も理解しておきたいポイントである。例えば、利益よりもガバナンスが重視されたり、SDGs銘柄が急騰したりなど、最近の証券市場ではこれまでになかった動きが目立ち始めた。
つまり、一般投資家の考え方や方針が変わりつつあるため、上場後には投資家との緊密なコミュニケーションを実現しなければならない。株主還元策についても、会社の成長を実現しないと喜ばれない風潮が出始めてきているので、上場企業はより慎重に株主対策を考える必要がある。
上場を目指すかどうかは慎重な判断を
IPOは成長戦略のひとつであり、実際に上場をしてから急成長を遂げた企業も少なくない。しかし、IPOにもデメリットが潜んでいるため、「上場を目指すかどうか?」については慎重な判断が必要になる。
IPOは経営者1人で目指せるものではないので、従業員など周りの反応も見ながら、自社の可能性をしっかりと見極めていこう。
著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。