野村証券と日興証券が 日経平均3万4000円の強気予想
(画像=momo /PIXTA、ZUU online)

2022年の日本経済や株式市場について有力証券・運用会社はどう見ているのか。市場関係者の間で話題になっているレポートを拾い読みしてみた。2022年はコロナ鎮静化を見据えた国内外の景気回復トレンド継続が見込まれる一方、米国の金利上昇が最大のリスク要因として警戒されている。日本株は水準の切り上げが続き、日経平均の年間高値は野村証券とSMBC日興証券がそろって3万4,000円とするなど強気相場の到来が予想されている。

野村証券の予想は、前半堅調、後半足踏み

2021年の日経平均株価は、9月14日に付けた3万670円が終値ベースの最高値だった。支持率低迷に抗しきれず、菅義偉前首相が9月3日に事実上の退任を表明すると、後任首相による改革期待から株式市場に大量の資金が流入し、日経平均はバブル最盛期の1990年8月以来およそ31年ぶりの高値を付けた。

野村証券は2020年11月に発行したレポート「日本株投資戦略」で、2021年の日経平均について、10~12月に高値3万500円と予想。時期はややずれたが株価水準は文句なしの的中となり、最大手証券の精鋭リサーチ部隊の実力を見せつける格好となった。

このため、2022年は野村予想への注目度がいつになく高い。2021年11月発行の「日本株投資戦略」では、「2022年の日本株は前半堅調、後半足踏み」との大局観を示している。日経平均の予測値は6月末に3万2,000円、12月末3万1,000円。予想レンジの上限が最も高いのは4~6月で、3万~3万4,000円と見ている。

株価押し上げの要因として挙げられるのは好調な企業業績。上場企業の1株当たり利益は2021年度の27.9%増に続き、2022年度は20.4%と大幅増益ペースを維持し、2023年度には4.0%増と成長速度が鈍ると試算し、「2022年は大幅増益局面の終盤となろう」としている。

野村証券が年後半の「足踏み」を予想するのは、業績のピークアウトが織り込まれる可能性のほか、米国の中間選挙、国内の増税リスク、黒田東彦日銀総裁の2023年4月任期満了と3つの要因を「強気見通しの妨げ」と表現している。

野村証券によれば、2021年の株高は「世界経済の前半戦だった」ことが背景にあり、2022年は回復後半戦に入っていくことになる。ここまでの順調な回復は「先行きの回復余地が徐々に狭まっていることを意味する」という。2023年1~3月期を業績のピークと仮定すれば、株価のピークは2022年4~6月期が「大まかなイメージ」になるといい、年前半までは順調な株高を期待できそうだ。

ナンバーワンストラテジストは、年末3万3,500円を予想

野村証券の年央高予想に対して、SMBC日興証券は年末高を想定している。12月15日付「SMBC日興ストラテジー・マンスリー(新年号)」では、チーフ株式ストラテジストの圷正嗣氏が2022年末の日経平均を3万3,500円と予想している。圷氏は日経ヴェリタス誌の2021年アナリストランキングで、投資戦略を立案するストラテジスト部門1位を獲得した実力者である。

圷氏は2021年相場を「日本株にとって必ずしも良い年ではなく、相場の底流に何が流れているのかを読むことすら困難を極めた1年だった」と振り返った。中国政府の「共同富裕」路線への転換やインフレの激化が悪材料となった。