外貨預金は為替差益を狙える、海外の高金利を享受できる、インフレ対策になるといった特徴を持つ資産運用方法だ。しかし、「いつが買い時かわからない」「そもそもまとまったお金がない」という人もいるだろう。
そこで活用したいのが「ドルコスト平均法」だ。今回は2020年の1年間、毎月米ドルに投資していたらどうなっていたかというシミュレーションを見ながら、ドルコスト平均法について考えていこう。
ドルコスト平均法とは
「ドルコスト平均法」は、定期的に (毎月など) 同じ購入額 (1万円など) で金融商品を買い付ける方法で、定額購入法とも呼ばれる。購入資産の価格が高いときは少なく、価格が低いときは多く購入することになり、その結果平均購入価格を平準化できる。
「分散投資は資産運用の鉄則」と言われており、分散には「金融商品の分散」「地域の分散」「時間の分散」などがある。ドルコスト平均法は、「時間の分散」を実現できる投資手法と言える。
ドルコスト平均法のメリットとしては、コツコツと買い続けることで高値づかみを避けられる、少額から始められる、マーケットの動きに一喜一憂しなくて済む、などが挙げられる。
一方でドルコスト平均法のデメリットは、一貫して値上がりした場合は一括投資に比べて利益が少なくなる、短期投資には向かない、などだ。
米ドルの特徴
米ドルは、言わずと知れた世界の基軸通貨だ。国際決済銀行 (BIS) が3年ごとに調査している世界の為替取引量の最新資料 (2019年版) によると、米ドルは世界の為替取引の半分弱を占めている。
また、国連が発表している「世界人口推計 2019年版」によると、米国の人口は今後も順調に増え続けるという。一般的に自国の経済が拡大していく際は、自国の国債や自国企業の株式を買う海外投資家が増えるので、為替相場は自国通貨高になりやすい。
流動性と成長性の両面から外貨預金を検討する際は、まずは米ドルが有力な選択肢になるだろう。
2020年の1年間、米ドルにドルコスト平均法で投資すると ?
実際に米ドルをドルコスト平均法で投資すると、どうなるだろうか。今回は2020年の1年間、毎月1万円を米ドルに投資したとする。まずは、2020年の毎月の米ドル / 円のレートを確認しておこう。
▼2020年の毎月の米ドル / 円のレート
年月 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
---|---|---|---|---|
2020年12月 | 104.3 | 104.74 | 102.86 | 103.24 |
2020年11月 | 104.56 | 105.67 | 103.16 | 104.27 |
2020年10月 | 105.45 | 106.1 | 104.01 | 104.64 |
2020年9月 | 105.91 | 106.55 | 103.99 | 105.45 |
2020年8月 | 105.87 | 107.04 | 105.09 | 105.89 |
2020年7月 | 107.92 | 108.16 | 104.17 | 105.88 |
2020年6月 | 107.72 | 109.84 | 106.06 | 107.92 |
2020年5月 | 107.17 | 108.08 | 105.97 | 107.77 |
2020年4月 | 107.53 | 109.37 | 106.34 | 107.17 |
2020年3月 | 107.38 | 111.71 | 101.17 | 107.53 |
2020年2月 | 108.4 | 112.21 | 107.49 | 108.07 |
2020年1月 | 108.61 | 110.28 | 107.63 | 108.38 |
※単位は円 (出典:ヤフーファイナンス)
2020年は108.61円で始まり、103.24円で終わり、5円以上ドル安円高が進んだ1年間となった。ここでは便宜上、毎月の終値で投資したとする。手数料や為替コスト、金利、税金を考慮しない場合の結果は以下のとおりだ。
月 | 終値 (円) | 投資金額 (円) | 購入米ドル (終値で買った場合) |
---|---|---|---|
2020年12月 | 103.24 | 10,000 | 96.86 |
2020年11月 | 104.27 | 10,000 | 95.90 |
2020年10月 | 104.64 | 10,000 | 95.57 |
2020年9月 | 105.45 | 10,000 | 94.83 |
2020年8月 | 105.89 | 10,000 | 94.44 |
2020年7月 | 105.88 | 10,000 | 94.45 |
2020年6月 | 107.92 | 10,000 | 92.66 |
2020年5月 | 107.77 | 10,000 | 92.79 |
2020年4月 | 107.17 | 10,000 | 93.31 |
2020年3月 | 107.53 | 10,000 | 93.00 |
2020年2月 | 108.07 | 10,000 | 92.53 |
2020年1月 | 108.38 | 10,000 | 92.27 |
合計 | - | 120,000 | 1128.61 |
1年間で12万円を投資して、約1,128米ドルを購入できた。2021年5月の米ドル円レートの終値 (109.54円) で計算すると、損益はどうなっているだろうか。
2021年5月末の保有資産 (円) | 利益額 (円) | 利益率 (%) |
---|---|---|
123,627.62 | 3,627.62 | 3.02 |
短期投資はドルコスト平均法の主旨ではないが、2021年5月の米ドル円レートの終値 (109.54円) で計算すると、投資元本12万円は約12万3,627円に増えた。利益率は3%を超える。今回は2020年の毎月の終値で計算したが、毎月の始値で計算しても約2.64%のリターンが出る。
前述のとおり、2020年は5円以上ドル安円高が進む1年間だった。2020年1月の始値で12万円を一括投資した場合、2021年5月末時点の利益は約1,027円、利益率は約0.85%。結果的に、ドルコスト平均法で投資したほうがパフォーマンスは高かった。年後半の円高局面で米ドルを購入できたので、平均購入レートが下がったからだ。
ドルコスト平均法での外貨預金を始めてみよう
必ずしもドルコスト平均法が一括投資のパフォーマンスを上回るわけではないが、「コツコツと買い続けることで高値づかみを避けられる」というドルコスト平均法のメリットを実感できる結果となった。
実際は為替コストや税金がかかるので、パフォーマンスは少し下がることになるが、外貨預金には日本円よりも高い金利がつく通貨も多い。この機会に、ドルコスト平均法での外貨預金を資産運用のひとつとして始めてみてはいかがだろうか。
(提供:大和ネクスト銀行)
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