建築条件付き土地を買う前に要チェック!契約しても本当に大丈夫?
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戸建て住宅を建てるために土地を探している人のなかには、物件情報で「建築条件付き土地」と出会うこともあるかと思います。この建築条件付き土地は、その意味と注意点を把握していないと契約後にトラブルに発展するケースもあります。本稿では、不動産の専門知識のない人にもわかりやすくポイントを解説します。

目次

  1. 建築条件付き土地と条件なし土地の違いは?
    1. 建築条件付き土地のルール
  2. 建築条件付き土地のメリット・デメリット
    1. メリット1.土地の価格が割安なこともある
    2. メリット2.スピーディーに家を建築しやすい
    3. メリット3.土地と建築業者を同時に見つけられる
    4. デメリット1.建築費が比較検討できない
    5. デメリット2.契約が白紙になる可能性がある
    6. デメリット3.注文住宅と比べて制約が多い
  3. 建築条件付き土地の施工方法は大きく2種類ある
    1. 制約の多いモデルプランは安さにこだわりたい人向け
    2. 自由設計はライフスタイルにこだわりたい人向け
  4. 悪徳業者に要注意!建築条件付き土地に関するトラブル例
    1. 住宅のプランは契約をしてから決めればいいといわれたが……
  5. 建築請負契約には宅建業法が適応されない
    1. 契約の解除には手付金を放棄し違約金が必要
  6. まとめ

建築条件付き土地と条件なし土地の違いは?

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「建築条件付き土地」とは、家を建てる業者があらかじめ決まっている土地のことをいいます。業者が売主のこともありますし、売主が指定する業者のケースもあります。

これに対して「条件なしの土地」は「買主(所有者)」が家を建てる業者を自由に決められます。

条件あり/なし 建築条件付き土地 建築条件なしの土地
建築請負契約を
締結する期間
売買契約後、決まった期間
(通常2〜3ヵ月以内など)
期間の定めはとくになし
(用途は所有者の自由)

建築条件付き土地のルール

建築条件付き土地のルールは、売買契約を結んだあと決まった期間内(通常2〜3ヵ月程度)に売主と買主の間で「その土地に建物を建てる契約(建築請負契約)を交わすこと」です。

例えば「住宅のプランがまとまらない」などの理由で期間内に建築請負契約が結ばれない場合、土地の売買契約をすでにしていても白紙となり、買主から売主に払われたお金も返還されるのが基本です。

建築条件付き土地のメリット・デメリット

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建築条件付き土地は、建築業者が決まっている物件である……これくらいの理解で契約を交わすのはリスクがあります。

建築条件付き土地を買うなら、メリット・デメリットの両方を把握することが大切です。とくにデメリットについて知らないと、後々トラブルに発展する可能性もあります。

建築条件付き土地のおもなメリット・デメリットは以下の通りです。一つひとつ解説していきますので、詳細を確認しいきましょう。

メリット デメリット
土地の価格が割安なこともある 建築費が比較検討できない
スピーディーに家を建築しやすい 契約が白紙になる可能性がある
土地と建築業者を同時に見つけられる 注文住宅と比べて制約が多い

メリット1.土地の価格が割安なこともある

建築条件付き土地は、条件なしの土地よりも割安なことが多いといわれています。

ただし、すべての建築条件付き土地が安いわけではありません。ケースバイケースですので、相場を必ず確認してから購入しましょう。

メリット2.スピーディーに家を建築しやすい

住宅のプランが契約前に固まっているなら、建築条件付き土地には「契約後にスピーディーに建築できる」という魅力もあります。

逆に、住宅のプランが曖昧なまま契約すると、契約後に建築が思うように進まないことも考えられます。

メリット3.土地と建築業者を同時に見つけられる

土地と建築業者を別々に探すと手間がかかりますが、建築条件付き土地であればこの両方を同時に見つけられます。

労力や時間をなるべく抑えたい人にとっては、建築条件付き土地はメリットがあります。

デメリット1.建築費が比較検討できない

建築条件付き土地は、建築業者があらかじめ決まっています。ということは、建築費をほかの業者と比較検討できないということです。

仮に土地の価格が割安でも、建築費がそれを打ち消すほど割高であれば意味がありません。売買契約を交わす前に「土地と建築費トータルの支払い額」を確認することが大切です。

デメリット2.契約が白紙になる可能性がある

建築条件付き土地は、建築請負契約をあらかじめ決まった期間内に交わさないと契約が白紙になる可能性があります。

「期間内に決めなければいけない」と焦ってしまい、プランニングがおざなりになれば満足できない家になる可能性もあります。

デメリット3.注文住宅と比べて制約が多い

建築条件付き土地の住宅で「どれくらい自由に設計が可能か」は、プランの内容や建築業者の技術力などによります。

特別な工事や技術力(例:防音工事や本格的な和風の家など)を求める人は、「それが可能か、どれくらい費用がかかるか」を確認したうえで売買契約をするのが賢明です。

建築条件付き土地の施工方法は大きく2種類ある

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建築条件付き土地に建てる住宅の施工方法には「制約の多いモデルプラン」と「制約の少ない自由設計」があることも抑えておきましょう。

施工方法 制約の多いモデルプラン 制約の少ない自由設計
内容 仕様がおおむね決まっている変更の際はオプション料金が発生 施主の要望にできるだけ応じて仕様を決定する

制約の多いモデルプランは安さにこだわりたい人向け

制約の多いモデルプランは、住宅の仕様がおおむね決まっています。自由度がない分、建築価格が割安なケースが多いです。

こちらと相性がよいのは「住宅にはそれほどこだわらない」「できるだけ安く建てたい」といったタイプです。

自由設計はライフスタイルにこだわりたい人向け

制約の少ない自由設計は、施主の要望に合わせて外観・間取り・住宅設備などをプランニングできます。

こちらと相性がよいのは「住み心地のよい家に住みたい」「ライフスタイルにこだわりたい」といったタイプのご家族です。

丁寧に家づくりをしていく分、モデルプランよりもコストは割高なケースが多いです。

悪徳業者に要注意!建築条件付き土地に関するトラブル例

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ここまでの内容で、同じ建築条件付き土地でも「制約の多いモデルプラン」と「制約の少ない自由設計」では大きな違いがあることをご理解いただけたと思います。

実はここに大きな落とし穴があります。その落とし穴とは、制約の多いモデルプランにもかかわらず、自由設計に見せかけて営業をする悪徳業者がいることです。

その一例をご紹介しましょう。

住宅のプランは契約をしてから決めればいいといわれたが……

大阪府で紹介しているトラブル事例では、仲介業者から「住宅のプランは契約をしてから決めればいい」といわれて土地の売買契約と住宅の建築請負契約を交わした後、施主が要望を伝えるとオプション料金を請求されたとのことです。

そして、思っていた内容と違うので解約を申し入れると、相手方から違約金を請求されてしまったそうです。

このような問題は大阪だけではなく、ほかのエリアでも水面下で発生しているのではないでしょうか。

建築条件付き土地を購入する際は、建築請負契約の内容をしっかり把握してから契約を交わすことが大切です。

建築請負契約には宅建業法が適応されない

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建築条件付き土地を購入する際、もう1つ覚えておきたいのは「建築請負契約には宅建業法(宅地建物取引業法)が適応されないこと」です。

宅建業法とは宅地や建物を取引する不動産会社を規制する法律です。

例えば土地の売買契約であれば、買主都合で契約を解除したい場合、宅建業法が適用されるため手付金の放棄で済みます。

契約の解除には手付金を放棄し違約金が必要

一方、建築請負契約は宅建業法が適用されないため、契約の解除には手付金の放棄に加えて違約金が必要になることもあるのです。

このように建築条件付き土地は、性格の異なる2つの契約(土地の売買契約、建築請負契約)をしているため、トラブルが発生しやすいといえるでしょう。

まとめ

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今回の記事で建築条件付き土地のメリット・デメリットをご理解いただけたかと思います。もし契約すると判断された場合、売買契約を交わす前に以下の2点をしっかり確認しましょう。

1.土地と建築費の総額が割高でないか
2.自由設計を希望するなら建築の自由度はどれくらいか

そうしたうえで契約すれば、トラブルリスクを軽減できることでしょう。

(提供:タツマガ

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