投資不動産の購入を検討しているものの失敗したくない理由から、なかなか最初の1歩を踏み出せない方もいるのではないでしょうか。実は、投資不動産選びで失敗する方にはいくつか傾向があります。その注意点を知り、対策をすることでリスクを回避して成功確率を高めることが期待できるでしょう。
本記事では、投資不動産を購入する際に押さえておきたい注意点や購入までの流れなどについて解説します。あわせて利回りの仕組みや自己資金の考え方などについても紹介しますので参考にしてください。
※2022年1月19日に配信した記事を、最新情報を反映するなど再編集を行い、2023年7月19日に再配信した内容となります
目次
投資不動産を購入する際の8つの注意点
まずは、投資不動産を購入する際に知っておくべき注意点を8つご紹介します。
1.投資する目標を明確にする
物件を購入する前に不動産投資する目標を明確にしましょう。例えば「定年後に不労所得を毎月20万得る」「毎月10万円の副収入を得たい」など具体的な目標にすると中長期的な投資プランを立てやすくなります。現在の資産状況と照らし合わせて、どれくらいのペースでいくら必要なのかを明確にすることで、自分に合った資産運用の方法が見えてきます。
2.余裕のある返済プランを立てる
ローンを利用して不動産投資をする場合は、余裕のある返済プランを立てることが重要です。インカムゲインを狙う不動産投資の場合、10年、20年と長期にわたって資産形成していくことになります。投資期間中は、以下のようなさまざまなリスクが想定されることも忘れてはいけません。
- 空室により家賃収入が減少する
- 予期せぬ修繕費用が発生する
- 金利上昇により毎月の返済額が増えるなど
そのため目の前の条件を基準にギリギリの返済プランを立てるのではなく万が一のことが起きたとしても返済できるプランを立てるようにしましょう。
3.物件価格の妥当性を調べる
不動産投資は、できるだけ物件価格を抑えて高い収益を得ることが重要です。そのためには、投資する物件の適正な価格を知っておく必要があります。適正価格の計算方法は、さまざまありますが、不動産鑑定士など専門家に鑑定を依頼すると信頼性が高い数字を把握することができるでしょう。もちろん自分自身で調べることも可能です。
例えば購入を検討されている物件のスペックと似た物件を基準に成約価格なら「REINS Market Information」、売却中の物件情報であれば「MINKANBU不動産投資」、「at home投資」などのポータルサイトから調べることができます。
4.賃貸ニーズが高いエリアの物件を選ぶ
物件を購入する前には、そのエリアの人口動態を調べるようにしましょう。不動産投資は、安定した家賃収入を得ることが大切となるため、人口が多く賃貸ニーズが高いエリアを選ぶことが必須です。
具体的には規模の大きな企業や大学、公共施設が周辺に密集しているエリアや、交通の便が良いことで通勤、通学に利用されやすいエリアなどが考えられます。例えば、渋谷区や新宿区のように企業のオフィスやショッピング施設、大学が多く立地しているエリアは賃貸ニーズが高いと言えます。なお地域の人口動態については、地方自治体や総務省統計局のホームページで調べることができます。
5.空室、災害などのリスクを考慮する
不動産投資には、空室リスクだけでなく地震・火災などの災害リスクもあります。不動産投資で失敗しないためには、事前に回避策を立てることが重要です。空室リスクを回避するには、以下の条件を念頭に入れて物件を探しましょう。
- 賃貸ニーズが高いエリア
- 駅から徒歩10分圏内
- 通勤・通学しやすい路線が利用できる
- 賃貸ニーズにあった間取り
また物件購入後の自然災害リスクについても考慮する必要があります。地震リスクの回避策として考えられるのは、地震保険に加入したり、1981年6月1日以降に建てられた「新耐震基準」に満たされている物件を選んだりすることです。その他にもハザードマップも確認したうえで「崖や河川から離れている立地」「地下トンネル工事が行われていないか」など地盤の状態を含め確認しておきましょう。
6.管理会社の管理体制を確認
マンションの価値を高く維持するには、管理会社の管理体制が大きな役割を担っています。きちんと管理しているかどうかチェックする主なポイントは、以下の5つです。
- 物件共有部の掃除が行き届いている
- 定期的な報告と連絡がある
- 修繕計画がきちんと立てられている
- 滞納への督促を実施してくれる
- 物件情報を社内で共有している
特に中古マンションを購入する際は、エントランスの整備状況なども含め管理費や修繕積立金の滞納がないかについて確認しておきましょう。
7.中古物件の場合は設備交換など突発的な出費に備える必要がある
中古物件を購入する際には、突発的な出費が発生しやすいというリスクがあります。設備の交換や傷んだ箇所の補修など、思わぬ経費が発生する可能性があります。特に給排水設備や電気設備などは長期間使用されていると老朽化が進み、修繕や交換が必要となることが多いです。また、中古物件の場合、大規模修繕が近いタイミングで予定されている場合もあります。そのため購入前に修繕計画を確認し、修繕積立金の残高も確認しておくことが大切です。これらの情報は、物件の管理会社や管理組合から得ることが可能です。これらの点を考慮し、一定の額を経費として確保しておくことで、予期せぬ経費によるキャッシュフローの逼迫を避けることができます。
8.オーナーチェンジ物件は現状の賃貸状況を確認する必要がある
入居者がいるオーナーチェンジ物件は、購入後すぐに家賃収入が得られる点がメリットです。しかし現入居者との契約は、自分が決めた内容ではないため、事前に賃料の設定や保証人の有無、敷金などに関する情報を契約書で確認しておきましょう。特に入居期間が長い入居者がいる場合は、その期間は原状回復をしていないため、退去された際のクリーニング費用を多めに見ることが必要です。
また入居が長い分、近いうちに退去する可能性が高いことも認識しておきましょう。
高利回り物件に落とし穴?利回りの仕組みを理解する
相場より高い利回りで売られている物件もあります。一見、掘り出し物件のように見えますが「どうして利回りが高いのか」といった理由についてきちんと把握しておきましょう。「利回り」には、主に以下の2種類があります。
・表面利回り
物件の基本的な収益力を測る指標です。
計算式:表面利回り(%)=年間家賃収入÷購入金額×100
・実質利回り
諸費用なども考慮して算出する数値です。
計算式:実質利回り=(年間家賃収入―年間諸費用)÷購入金額(物件価格+購入時の諸経費)
賃料収入がすべて利益になるわけではないため、正確な収益率は実質利回りで判断すべきです。一般的に不動産会社の物件情報には、表面利回りを表示されているため、一見利回りが高く見える物件も少なくありません。しかし実際に管理費などさまざまな諸経費を入れると実質利回りが一気に低くなるケースも多い傾向です。
なかには、売主の都合で相場よりも物件価格が低く設定されて利回りが高くなっている物件もあります。そのため高利回り物件は、すべてに落し穴があるわけではなく「どうして高利回りになっているのか」といった理由をきちんと見分けることが大切です。
フルローンでも初期費用が必要?自己資金の考え方
「不動産投資でフルローンを利用できれば自己資金はいらない」と認識されている方もいるかもしれません。しかしフルローンは、あくまでも物件価格のことを指しているため、自己資金は必要です。つまり3,000万円の物件でフルローンを利用する場合は、その物件価格の3,000万円が融資額となります。
しかし不動産を購入する際には、以下のような諸費用と呼ばれている費用が物件価格の5%前後かかることが一般的です。これらは、基本的にすべて現金払いとなります。
- 手付金
- 収入印紙
- 仲介手数料
- 登記費用
- 保証金、事務手数料
- 司法書士の報酬
- 固定資産税精算金 など
実際に物件を購入する際の流れ
最後に物件を購入するときの流れを紹介します。
資金計画を立てる
まずは、資金計画を立てます。返済期間だけではなく融資額や返済額、自己資金比率などを細かくシミュレーションしたうえで無理のない資金計画を立てましょう。
物件を探す
明確な資金計画を立てたら自分が希望する「物件価格」や「立地」、「築年数」、「利回り」をベースに物件情報を探しましょう。こだわりを始めるときりがないため、あくまでも投資という観点で条件の優先順位を決めるようにしてください。不動産投資会社やポータルサイトなど物件情報を探す方法はたくさんあります。
しかしポータルサイトで物件の相場価格を把握して不動産投資会社で非公開物件を紹介してもらうことも方法の一つです。
興味のある物件があったら現地調査などをする
資金計画を立てて物件を探した後、興味のある物件が見つかったら必ず現地で物件を確認しましょう。日当たりや部屋の劣化状況、設備の状態などをチェックしたうえで問題ないことを確認したらすぐに買付の申し込みをします。人気の物件は早い者勝ちとなるため、事前に買付を入れる基準を明確にしておくと機会損失を防げます。
なおオーナーチェンジ物件の場合は、部屋の内覧ができないため、周辺環境の確認をしてから買付を決めましょう。
売買契約書を締結する
購入条件の調整ができたら売買契約を締結します。「不動産売買契約書」や「重要事項説明書」に署名捺印して手付金を支払えば契約完了です。「重要事項説明書」の説明は、必ず宅地建物取引士から受けるようにしてください。なおこの時点で不動産が取得できるわけではないため、条件を満たせば契約を取り消すこともあることは認識しておきましょう。
融資審査を申し込む
売買契約が締結されたら金融機関に融資を申し込みます。自分で金融機関を選びにくい場合は、不動産会社の提携金融機関を利用するといいでしょう。ただし不動産会社と提携する金融機関を利用する場合は、不動産会社の取引実績によって融資条件が異なるため、できるだけ提携金融機関が多い不動産会社を選ぶようにしてください。
決済・引き渡し
融資が実行され手付金以外の残りの代金を決済します。この時点で売主から買主に所有権が移って売買完了され晴れてオーナーになります。
まとめ
今回の記事では、投資不動産の購入で失敗しないための8つの注意点について紹介しました。「周りが不動産投資をやっているから自分もやる」といった短絡的なスタートは危険です。不動産投資を始める前には「不動産投資をする目的は何か」「目的を達成するにはどんな物件の選定が必要か」など順を追って丁寧に進めることが大切となります。これから投資不動産の購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
投資不動産の購入に関するよくある質問
Q.購入する際に注意すべきことは?
余裕のある返済プランを立てることや物件価格の妥当性を調べること、空室、災害などのリスクを考えることなどが挙げられます。
Q. 購入時にかかる主な費用は?
手付金や収入印紙、仲介手数料、固定資産税精算金といった費用がかかります。
(提供:YANUSY)
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