本記事は、森田圭美氏の著書『Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール』(同文舘出版)の中から一部を抜粋・編集しています
プロセスを思い出しながらつくらない
マニュアルを作成する対象業務が決まりました。
ここで、パソコンを起動して、「業務の手順を思い出す」と「マニュアルをつくる」の2つを同時進行していませんか?
「業務を頭の中から取り出すこと」と、「マニュアルのデータファイルをつくること」は分けないと、行ったり来たり止まったりで、かかる労力が雪だるま式に増えてしまいます。
そこで、フセンを使って業務プロセスを言語化しましょう。
業務内容を「なにを・誰が・どうする」で見える化
「なにを・誰が・どう処理する」のフレームで、業務内容を短く的確に表現することで、人による文章の違いを少なくできます。
なにを:「どう処理する」の対象となるモノ・人・情報 誰が:業務を行なう役職名・担当名・係名 どう処理する:動詞で表わすアクション
「なにを・誰が・どう処理する」の業務内容を1単位として、1枚のフセン(7.5×7.5センチ以上のサイズ)に書きます。
マニュアル化する業務の開始が1枚目です。例えば、
・書類を営業所から受け取る ・システムから集計用データをダウンロードする ・顧客からのメールを受信する
など、業務開始のきっかけ(トリガー)を思い浮かべます。
「なにを・誰が・どうする」以外でフセンに記載する項目
業務内容だけでも見える化されますが、次の①と③を追加すると、それぞれがフセン同士をつなぐのりしろの役割になって、業務の流れがさらに明確になります。
業務の流れを「フセン」で見える化する
1枚目に続けて、業務の区切り(完了)まで、2枚目3枚目……とフセンに書いていきます。
フセンで業務の流れを分解するポイント
フセンには、業務の流れを書き出します。
フセンの段階で、単位作業や要素作業と呼ばれる「作業」のレベルまで落とし込むと、詳細すぎて袋小路に入ってしまいます。
手を動かす「作業」レベルは、マニュアル作成のなかで記述します。
「衣類を清潔にする」という目的の「洗濯」業務を例に、フセンで分解するレベルを記載しました。
フセンで明らかにしたいのは、業務の流れなので、「洗濯機で洗濯する」に含まれる「洗濯機に衣類を入れる」「洗剤を投入する」といった作業レベルまでは分解しません。
「フセン」を並べるとボトルネックが見えてくる
一連の流れをフセンで見える化できたら、デスクやホワイトボードに、業務の順番にフセンを並べ、フセン全体を眺めます。
全体を俯瞰することで、フセンで見える化された業務の流れが、「業務の目的」に沿っているかを、適正化の視点で見直すことができます。
質(ミス)が担保されているか ・ミスが発生しにくいプロセスになっているか ・チェックの場所・回数は適切か ・人によるバラつきはないか
投下時間は適切か ・時間がかかりすぎるプロセスになっていないか(過剰品質) ・投下時間を増やすべきではないか
フセン全体を眺めると、さまざまなボトルネックを発見できます。
・ミス、ヌケ・モレが起きやすい箇所 ・やりにくい・時間がかかる箇所 ・手戻り・手待ち時間が起きやすい箇所
ボトルネックが明らかになったら、フセンの追加・削除や順序の入れ替えを検討します。
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