本記事は、森田圭美氏の著書『Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール』(同文舘出版)の中から一部を抜粋・編集しています

プロセスを思い出しながらつくらない

フセン,付箋,ふせん
(画像=CORA/PIXTA)

マニュアルを作成する対象業務が決まりました。

ここで、パソコンを起動して、「業務の手順を思い出す」と「マニュアルをつくる」の2つを同時進行していませんか?

「業務を頭の中から取り出すこと」と、「マニュアルのデータファイルをつくること」は分けないと、行ったり来たり止まったりで、かかる労力が雪だるま式に増えてしまいます。

そこで、フセンを使って業務プロセスを言語化しましょう。

業務内容を「なにを・誰が・どうする」で見える化

「なにを・誰が・どう処理する」のフレームで、業務内容を短く的確に表現することで、人による文章の違いを少なくできます。

5-1
(画像=『Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール』より)

なにを:「どう処理する」の対象となるモノ・人・情報
誰が:業務を行なう役職名・担当名・係名
どう処理する:動詞で表わすアクション

「なにを・誰が・どう処理する」の業務内容を1単位として、1枚のフセン(7.5×7.5センチ以上のサイズ)に書きます。

マニュアル化する業務の開始が1枚目です。例えば、

・書類を営業所から受け取る
・システムから集計用データをダウンロードする
・顧客からのメールを受信する

など、業務開始のきっかけ(トリガー)を思い浮かべます。

「なにを・誰が・どうする」以外でフセンに記載する項目

業務内容だけでも見える化されますが、次の①と③を追加すると、それぞれがフセン同士をつなぐのりしろの役割になって、業務の流れがさらに明確になります。

5-2
(画像=『Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール』より)

業務の流れを「フセン」で見える化する

1枚目に続けて、業務の区切り(完了)まで、2枚目3枚目……とフセンに書いていきます。

5-3
(画像=『Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール』より)

フセンで業務の流れを分解するポイント

フセンには、業務の流れを書き出します。

フセンの段階で、単位作業や要素作業と呼ばれる「作業」のレベルまで落とし込むと、詳細すぎて袋小路に入ってしまいます。

手を動かす「作業」レベルは、マニュアル作成のなかで記述します。

「衣類を清潔にする」という目的の「洗濯」業務を例に、フセンで分解するレベルを記載しました。

フセンで明らかにしたいのは、業務の流れなので、「洗濯機で洗濯する」に含まれる「洗濯機に衣類を入れる」「洗剤を投入する」といった作業レベルまでは分解しません。

5-4
(画像=『Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール』より)

「フセン」を並べるとボトルネックが見えてくる

一連の流れをフセンで見える化できたら、デスクやホワイトボードに、業務の順番にフセンを並べ、フセン全体を眺めます。

全体を俯瞰することで、フセンで見える化された業務の流れが、「業務の目的」に沿っているかを、適正化の視点で見直すことができます。

5-5
(画像=『Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール』より)

質(ミス)が担保されているか
・ミスが発生しにくいプロセスになっているか
・チェックの場所・回数は適切か
・人によるバラつきはないか

投下時間は適切か
・時間がかかりすぎるプロセスになっていないか(過剰品質)
・投下時間を増やすべきではないか

フセン全体を眺めると、さまざまなボトルネックを発見できます。

・ミス、ヌケ・モレが起きやすい箇所
・やりにくい・時間がかかる箇所
・手戻り・手待ち時間が起きやすい箇所

ボトルネックが明らかになったら、フセンの追加・削除や順序の入れ替えを検討します。

Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール
森田圭美(もりた・たまみ)
株式会社ビジネスプラスサポート 人財育成プロデューサー。IT(マイクロソフトオフィシャルトレーナー)分野から講師業をスタートし、「わかりやすい、現場ですぐ使える」インストラクション技術を習得。研修・セミナー・コンサルティングの場で、「『人と人』『仕事と人』『人と組織』を笑顔で結ぶ」をモットーに、「合点! 」の笑顔と行動を引き出している。事務改善・IT業務改善、マニュアル作成支援を軸として、コミュニケーションやチーム活性化と、多面的に組織のヒューマンパワー活性化をサポートしている。熊本市出身、京都市在住。ITコーディネータ/組織変革プロセスファシリテーター。

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