本記事は、森田圭美氏の著書『Wordで誰でもつくれる! 本当に使える業務マニュアル作成のルール』(同文舘出版)の中から一部を抜粋・編集しています
マニュアル作成の準備 7つのステップ
マニュアル作成の準備は、マニュアル作成の5W1Hの「What」で登場した「洗い出し〜対象業務の選定〜改善」の3段階を、さらに7つのステップに分けて下ごしらえします。
洗い出し ツリーで業務を俯瞰して見える化します。ツリーは周囲とすり合わせた後、リスト(表)にして情報を追加します。
対象業務の選定 洗い出した業務のなかから、マニュアル化する業務を選びます。
改善 マニュアル化する業務のプロセスを分解して、改善の視点で見直し、マニュアルの骨組みをつくります。
ステップ1 ツリーで業務を見える化する
ツリーで全体を俯瞰する
準備の第1段階「洗い出し」はツリーの作成からはじめます。洗い出しの目的は、「業務の見える化」の先にある「マニュアル作成」の効果を高めることです。
ツリーは、樹木(ツリー)の形の図表です。モノやコトを、木が枝分かれするように分解して表わします。
ここでのツリーは、論理思考でおなじみのロジックツリーのなかでも、「Whatツリー」と呼ばれる要素分解のツリーです。ツリーという階層構造を持つ図を用いて、業務の全体像を俯瞰します。マニュアル作成に着手する前から、定期的に「業務の棚卸し(洗い出し)」を行なっている場合も、改めてここからスタートしましょう。
業務の洗い出し(棚卸し)というと、一覧表のリスト形式にすることが多いのですが、一覧表にすると、業務を一つひとつ積み上げる形になり、どこまで細かく洗い出せばよいか際限がなくなって迷ってしまいます。
ツリーからはじめる理由はここにあります。自分の担当業務を、積み上げ式ではなく、ツリーでかたまりを一段階ずつ小分けにしていくことで、業務を客観的に眺めることができます。
実務レベルで、担当業務に習熟していても、全体像やつながりが把握できていない状態でマニュアル作成に進んでは、視野が狭いマニュアルになりかねません。
ツリー作成のポイント
・A4用紙1枚を1カテゴリーとして、大分類、中分類と左から右へ、かたまりをほぐすように分解する
・カテゴリーは、担当業務のなかで「〇〇業務」「〇〇に関する業務」と記載して違和感がない業務を選ぶ
・ツリーの整合性やヌケ・モレにはこだわらず「業務担当の頭の中の見える化」の第1弾として、ラフスケッチとして作成する
キックオフミーティングからの取り組み第1弾のため、ついツリーの細部にこだわってしまいたくなりますが、前のめりになりすぎると続きません。マニュアル作成は息の長い取り組みです。
ここでも、「ラジオ体操方式」で、「業務ツリー作成・1週間チャレンジ(1日20分×5日)」を実施するのはいかがでしょうか。
ツリー作成担当者の負担が重くなりすぎない範囲で、業務見える化のファーストステップを踏み出しましょう。
ツリー作成のヒント まずは、ラフスケッチ。いきなり完璧を目指さない!
小分類
中分類に含まれる小分類が気になりますが、ツリーはカテゴリー・大分類・中分類の3階層にとどめます。ツリー作成のねらいは、「担当の業務を俯瞰して把握すること」。ざっくり俯瞰するからこそ、ツリー作成ステップ2の「すり合わせ」が機能します。
小分類は、すり合わせた後に「業務リスト」で可視化します。
「手書き」がおすすめ
ツリー作成は、手書きスタートがおすすめです。データ化は、部署・チームで手書きツリーをすり合わせた後に行ないます。はじめからExcelのセルやWordやPowerPointの図形機能を使ってデータにすると、修正の手間がかかります。
それ以上に、データとして見栄えが整っているため、修正不要な「完成版」に見えて、すり合わせがやりにくくなります。
白紙は自由度が高い分、どこから手を付けてよいか迷うので、ツリーの枠だけのテンプレートを印刷して書き込みましょう。
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