社会の要請に応じたバリューチェーン創造の必要性
「ゼロカーボン化」への取り組みは、企業価値に直結する。その価値評価がダイレクトに表れるのが金融・証券市場だろう。事業を通して地球の環境保全に取り組む企業の価値評価は、ESGやSDGsという世界的な社会問題を解決するために、取り組む企業の事業がどれだけ貢献するかが投資の価値尺度になってきている。
企業の持続的な成長の価値が「カーボンゼロ化」に代表される地球の環境保全に移ることで、それまでの企業価値を生み出すバリューチェーンも新たな価値評価に沿って再構築を迫られる。
ESGやSDGs、脱炭素といった社会から変化対応を迫られる課題に取り組もうとしない場合、企業価値の毀損にもつながりかねない。企業は変化対応に向けて中長期的なビジョンを策定した上で、短期の利益を確保しつつ長期の企業価値確保の実現に向けて、企業活動を継続することを考えたい。
企業が持続的な企業価値を生み続けるためには、社会の要請にこたえるべく、それまでのバリューチェーンの中身を精査した上で、原材料の調達から生産、物流に至るまでの見直しが必要だろう。
バリューチェーンでよくある質問
Q.バリューチェーンって何?
A.バリューチェーンとは、企業の事業活動を「価値(Value)の連鎖(Chain)」とみなす考え方である。例えば製造業の場合なら材料の調達から製造、店舗への製品の配送、販売、アフターサービスといった一連の活動のなかで「各過程がどのような価値を生み出しているか」という点に着目する。
バリューチェーンでは、上記のような製品の製造や提供に直接関わる部分だけでなく、労務管理や経理など、それらをバックアップする部分も事業活動として捉える。前者を「主活動」、後者を「支援活動」と呼ぶ。事業活動を主活動と支援活動に分類、細分化する。
Q.バリューチェーン分析とは?
A.「バリューチェーン分析」とは、バリューチェーンのフレームワークに落とし込んだ企業の各活動について、生み出されている価値や問題点を洗い出すことである。具体的には、各活動のコストを出し、強みと弱みを洗い出す。強みについては強みの度合いを細かく分析し、自社の事業戦略に活かすことが必要だ。
Q.バリューチェーンとサプライチェーンの違いは?
A.サプライチェーンは、モノやサービスが顧客に届くまでの一連の流れを指す言葉。サプライチェーンを検討する際、モノや情報、お金の流れに着目することが多い。
一方バリューチェーンは、サプライチェーンに加え、労務管理や経理、商品開発なども含めた「価値の連鎖」の概念だ。各活動において、どのような価値が生み出されているかに着目している。
Q.なぜバリューチェーンの見直しが求められているのか?
A.世界中で2050年にカーボンニュートラルを目指す動きが加速している。日本でも経済産業省がカーボンニュートラル実現のための投資や研究開発を企業に促す施策を打ち出しているのが現状だ。このことは、化石燃料を主体とした事業活動を行ってきた企業に対し、バリューチェーンの見直しを迫ることになった。
現在、大手企業を中心に「事業を通じた環境保全への貢献」という観点で業界を問わずバリューチェーンの見直しが進んでいる。例えば、サントリーグループでは、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出の実質ゼロが目標だ。カーボンゼロ工場の稼働や競合他社との共同配送、リサイクルの促進を進めるほか、サプライヤーとも協力してネットゼロに取り組むとしている。
三井不動産株式会社でも、2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、建築から運用までの流れのなかで自社だけでなく関係企業と協力して取り組む方針だ。
「環境保全への貢献」が企業価値を示す基準として定着することで、原材料の調達から製造、配送、販売までに至るバリューチェーン全体の見直しが進み、その過程で新たなイノベーションも生まれるだろう。
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