SIGグループ【4386・東2】独立系システムインテグレーター 持株会社体制へ移行し新たなスタート
石川 純生社長

SIGグループは、創業30年の独立系システムインテグレーターだ。現在国内に9拠点を展開し、「システム開発事業」、「インフラ・セキュリティサービス事業」の2つのセグメントで成長してきた。官公庁・地方自治体等の公共事業における多数の実績があるほか、日立製作所グループ、パナソニックグループ、テプコシステムズ等の大手企業グループとの長年の取引による深いノウハウを持っているのが同社の強みだ。近年は積極的なM&Aにより、事業領域拡大を進めている。

石川 純生社長
Profile◉石川 純生(いしかわ・すみお)社長
1938年生まれ。1962年3月、住友金属工業(現日本製鉄)入社。1983年4月、同社本社制御技術センター長。1986年4月、住金制御エンジニアリング(現キヤノンITソリューションズ)出向、支配人。1991年6月、同社常務取締役。1991年12月、エスアイインフォジェニック(現SIGグループ)設立、取締役。1993年4月、同社代表取締役社長(現任)。

2022年3月期通期業績上方修正
企業のDX化ニーズが拡大

2022年3月期第2四半期は、同社にとって新たな歴史を刻む節目となった。2020年9月に同業のアクロホールディングス、2021年9月にはY.C.O.との資本・業務提携を締結。10月にSIGと合わせた3社を傘下に置く持株会社体制に移行、SIGグループと社名変更した。

「Y.C.O.は独立行政法人や国立大学等に実績を持っており、当社が進めてきた業域と違う分野での強みを持っています。今回のグループ会社化で互いにシナジー効果が得られるのではないかと考えています」(石川純生社長)

2020年来のコロナ禍を契機に、多くの企業がテレワークやオンラインでのビジネス展開など、DX化が加速している中、同社にとっても迅速な対応が求められており、事業環境の変化に合わせた組織づくりが急務だった。今回の持株会社化により、グループ経営と事業執行業務を分割し、事業執行の確実性とスピード化を図る。

「また、グループ全体を見た経営資源の適正配分、事業の拡大はもちろん、ガバナンスの強化などを円滑に進めていきたい」(同氏)

同社の2022年3月期第2四半期連結業績は、累計で前年同期比売上高11・4%増の23億4100万円、営業利益は同19・3%増の1億3700万円。システム開発事業は、累計売上高が同12・3%増の18億500万円。半導体関連企業の好調をはじめ、公共系、製造系、エネルギー系と主要事業領域の各分野が堅調に推移した。一方、インフラ・セキュリティサービス事業の累計売上高は、同8・5%増の5億3600万円。こちらはエネルギー系、保守系でクラウド及びセキュリティソリューションの請負受注が既存から増えたことにより計画を大幅に上回った。

2022年3月期通期業績予想は売上高49億3000万円、営業利益3億5900万円、経常利益4億円、当期純利益2億6600万円と、いずれも期当初より上方修正している。また、期末配当は1株当たり5円の記念配当を実施、年間配当は普通配当と合わせて17円になる予定だ。なお、2022年4月に移行される新市場においてはスタンダード市場を選択し、申請している。

「システム開発」が80%占める
「インフラ・セキュリティ」拡大続く

同社の事業セグメントは、「システム開発事業」と、「インフラ・セキュリティサービス事業」の2つ。前者はクライアントの最適なシステムにするため、業務内容や目的に応じた企画提案、ハードウェア、ソフトウェアの選定から、システム開発や構築、運用までを提供。幅広いニーズに応えられる体制を確立しており、売上比率は80%を占めている。民間企業だけでなく、官公庁・自治体に強みを持つ。後者はサーバからクラウド、セキュリティまで、設計から運用管理までのサービスを提供する。現在は売上比率20%に過ぎないが、成長を続けており、今後も期待できる分野だという。

「今はクラウドが主流でサポートも複雑化しており、必然的に多くの人材が必要で、担当ベンダーだけでは、対応が難しくなってきています。そのため、当社のような第三者がサポートする必要性が高まってきています。今後もこうした需要はまだまだ増えていくでしょう」(同氏)

同社は「インフラ・セキュリティサービス事業」だけで約100人の人材を抱えており、これがクライアント企業への信用力に繋がっている。同社のようなシステムインテグレーターは近年、人材確保が大きな課題になっている。同社の場合、以前より地方に拠点を配置することで、地元の優秀な人材を獲得してきた。これまでに全国9拠点で展開、全てで黒字化を成功させている。特に金沢と福井の北陸拠点は、地域の仕事が50%、首都圏が50%となっている。首都圏の仕事を地方で遠隔で開発し、そのノウハウが地元で評価され、地元企業での受注に繋がってきているという。

「地元の優秀な人材を確保することができるのが大きなメリットです。自治体にとっても上場企業を誘致することで地域活性化にもつながる。地域のポテンシャルも上がる、という訳です」(同氏)

このため、新たに山形県の酒田市にも事業拠点を設ける予定。日本海エリアでの事業拡大を目指していくとともに、今後は他の地方にも展開していきたいという。

企業の「2025年の崖」に対応
2030年に売上高300億円目指す

同社は2020年にスタートした長期ビジョン「これからのSIG」で、2030年には売上高 300億円規模まで拡大させていく計画だ。その第1フェーズとして24年の売上高は60億円、営業利益率10%を目指している。

現在日本の企業は「2025年の崖」への対応に迫られている。これは多くの企業で使われている既存のシステムが、老朽化、複雑化などによって時代に合わなくなり、経済損失をもたらすというもの。2025年を境にその傾向が顕著になり、対策ができない企業は崖から落ちるように競争力が低下するといわれている。

こうしたビジネスの変革期にあたり、同社の存在感はますます大きくなっている。

「当社は近年、企業のDX化のサポートに取り組んでいるため、今後も需要拡大が期待できます。今後はセキュリティ分野の伸びも期待できますので、こちらも強化していきたい。既存の事業を拡大していくと同時に、新規につきましては、新規事業推進部を設置し新たな事業を開拓していきたいと考えています。クライアント企業からの要求も増えており、今後もM&A含めて対応できる体制を作っていきたいと思います」(同氏)

2021年3月期 連結業績

売上高43億9700万円前期比 1.8%減
営業利益3億2500万円同 14.6%減
経常利益3億2100万円同 14.6%減
当期純利益2億3900万円同 10.1%減

2022年3月期 連結業績予想

売上高49億3000万円
営業利益3億5900万円
経常利益4億円
当期純利益2億6600万円

※株主手帳1月号発売日時点

注)2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期及び対前年同四半期増減率は記載していない

(提供=青潮出版株式会社