クレジットカード,家計簿
(画像=leungchopan/Shutterstock.com)

目次

  1. 要旨
  2. 10月後半から消費は回復傾向に
  3. 食関連:「飲酒代」は依然2020年をも下回る
    1. サービス関連支出:旅行やレジャーが回復も、コロナ前水準には届いていないものが中心
  4. 10月は正常化の過渡期

要旨

  • コロナからの正常化に伴い、消費の回復・強制貯蓄の取り崩しによる「リベンジ消費」が期待されている。総務省「家計調査」における日別・品目別データによれば、緊急事態宣言解除からラグを置き、10月下旬から消費は回復傾向にあることが確認できる。
  • 外食やレジャー系支出も10月から回復。ただ、回復のみられた10月下旬においても消費レベルは2020年並みでコロナ前には開きがある。個別支出をみてもこの傾向は変わらず、「リベンジ消費」と呼称するにはまだ遠い印象だ。消費のつぶさな動きを確認する観点から、11月以降のデータもチェックしていきたい。

10月後半から消費は回復傾向に

9月に緊急事態宣言が全面解除され、国内の経済活動回復が進んでいる。政府は、コロナ禍の消費抑制の中で積みあがった家計貯蓄(日本銀行は「強制貯蓄」としている)の取り崩しが進むことで、経済活動の急回復が進む、いわゆる「リベンジ消費」に期待を寄せている。

本稿では緊急事態宣言解除後の消費回復過程やリベンジ消費の動向をウォッチするため、総務省「家計調査」における品目別・日別のデータチェックを行った(直近は2021年10月)。粒度の細かいデータであり、消費のつぶさな動きを把握するには有用だ。このデータは月ごとにそれぞれエクセルファイルが公表されているもので、時系列推移をみるには使い勝手にやや難があるのだが、今回このデータを整理・分析を行った。

まず、日毎の消費支出全体、財、サービス支出の動向をみたもの(曜日の影響を除去するために7日移動平均をとっている)が次ページのグラフである。横軸に月を取り、2019・2020・2021年での色分けを行って、前年・前前年同時期との比較を行えるようにしている(※1)。

2021年のグラフ(青)を見ると、10月前半は財・サービスともに消費は横ばいから若干の減少傾向にあったが、後半から上向いていることが確認できる。緊急事態宣言の全面解除は9月末であったが、解除直後から消費が上向いたわけではなく、実際に消費が増加に転じるまでにはラグがあったことがわかる。この間、新規感染者数が減少傾向にあったことも影響しているかもしれない。

また、コロナで打撃の大きかったサービス消費のレベルは、10月末時点においてもおおむね2020年並みで、コロナ前・2019年のレベルにはまだ差がある。10月の消費は回復したものの、コロナ影響が残る中で平時を下回っており、少なくともこの時点では「リベンジ消費」と呼ぶには程遠い印象である。

『第一生命経済研究所』より引用
(画像=『第一生命経済研究所』より引用)

以下では、特にコロナ影響が色濃い「食」関連、「サービス」関連について日次の消費動向をみていく。

食関連:「飲酒代」は依然2020年をも下回る

10月入りごろから外食の支出が上向き。外食の内数の「食事代」はコロナ前程度のレベルを回復しつつあるが、「飲酒代」は低迷しており2020年の水準すら下回っている状態。経済正常化過程ではコロナ禍における「外食」→「内食」シフトの逆流も予想されるが、食品関連支出等が大きく減る動きはみられず、そうした動きはまだ明確でない。

『第一生命経済研究所』より引用
(画像=『第一生命経済研究所』より引用)

サービス関連支出:旅行やレジャーが回復も、コロナ前水準には届いていないものが中心

鉄道運賃・航空運賃のほか、宿泊料・国内パック旅行が10月以降上向き。映画・演劇等入場料や遊園地入場・乗物代も増加傾向。宣言解除に伴い、コロナ打撃の大きかった消費において持ち直しの動きが確認できる。ただ、コロナ前(2019年)のレベルには届かないものが中心であり、個別にみてもリベンジ消費と呼称するのははばかられる状態である。

『第一生命経済研究所』より引用
(画像=『第一生命経済研究所』より引用)

10月は正常化の過渡期

以上のように、品目別にみるとコロナ影響の大きい支出における消費回復がみられるものの、コロナ前水準は下回っているものが中心であり、消費回復の動きが明確になった10月下旬においてもまだ正常化の過渡期といった印象だ。11月も感染者数は低位で推移しており、消費は引き続き上向いている可能性が高いとみるが、オミクロン株の拡大等もリスク要因になりつつある。消費のつぶさな動きをチェックする観点から、引き続き日別・品目別データの確認を行っていきたい。(提供:第一生命経済研究所


(※1) 2019年10月は消費税率が8→10%に引き上げられており、財消費を中心に駆け込み需要の反動減が生じている点には留意。


第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 星野 卓也