政府が、給与をキャッシュレス決済サービスで受け取れるようにする方針について議論している。実現するか否かは未確定だが、いずれにしても今後はキャッシュレス決済を軸に社会が動いていく可能性が高い。

普及が進んでいるとはいえ、「実はキャッシュレス決済についてあまりよくわかっていない」という人もいるのではないだろうか。今回は、キャッシュレス決済のメリット・デメリット (注意点) や、よくある質問などを確認していこう。

「給与のデジタル払い」が進む ?

給与がキャッシュレス払いに ? 今から知っても間に合うPay決済の基礎知識
(画像=kinako / stock.adobe.com)

厚生労働省は、2021年4月19日に行われた「第168回労働政策審議会労働条件分科会」で、資金移動業者の口座への賃金支払いについて議論を進めた。実現するか否かは未確定だが、給与をキャッシュレス決済サービスで受け取れるようにすることを目指している。

労働基準法第24条には「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と明記されている。したがって給与 (賃金) の支払いは現金払いが原則であり、今日では一般的になっている銀行振込はあくまで特例措置だ。

今回の議論は、そこにキャッシュレス決済を加えるべきかというものだ。展開次第では、「給与のデジタル払い」が実現するかもしれない。

キャッシュレス決済のメリット・デメリット (注意点)

給与は、多くの国民の生活の基盤となっている。その給与を受け取る方法の一つとして検討されている「キャッシュレス決済」とは、どのようなものなのだろうか。

キャッシュレス決済とは、お札や小銭などの現金を使用せずにお金を払うことだ。キャッシュレス決済の具体的な手段には、クレジットカードやデビットカード、電子マネー (プリペイド) 、スマートフォン決済などがある。特に近年急速に普及が進んでいるのは、「○○Pay」という名前がつけられることが多いスマートフォン決済 (以後、Pay決済) だ。

キャッシュレス決済には、どのようなメリット・デメリット (注意点) があるのだろうか。

詳細はサービスによって異なるが、メリットとしては、現金の持ち合わせがなくても支払える、精算がスピーディーでスマート、支払い履歴が残る、ポイント還元がある、キャンペーンやクーポンがある、個人間送金ができる、紙幣や硬貨の流通コストを下げられる、などが挙げられる。

一方でデメリットとしては、使えないお店がある、入金など事前準備が必要になる、停電時や災害時に使いにくい、使いすぎるリスクがある、セキュリティ面に不安がある、などが挙げられる。

キャッシュレス決済のよくある質問

ここからは、キャッシュレス決済のよくある質問を見ていこう。

●利用にあたって手数料はかかる ?

原則として、支払う人に手数料はかからない。多くのキャッシュレス決済では利用金額に応じてポイントが還元されるため、現金購入と比べるとお得なことが多い。

●万が一利用者が亡くなったらどうなる ?

詳細はサービスによって異なるが、Pay決済大手の「PayPay」の利用規約には「お客様がお亡くなりになられた場合、あらかじめ通知することなく、データやコンテンツを削除したり、当社のサービスの全部または一部の利用をお断りしたり、お客様のアカウントを削除したり、その他当社が必要かつ適切と合理的に判断する措置を講じることができる」と書かれている。決済業者側に主導権があることを覚えておこう。

●不正利用が怖いが、セキュリティはどうなっている ?

キャッシュレス決済の利用に前向きになれない理由として最も多いのは、セキュリティの心配だろう。具体的にはクレジットカード番号やQRコードの流出、キャッシュレス決済用端末の紛失や盗難、決済業者のセキュリティ対策の信頼性が低い、などが挙げられる。

こちらに関しては、前述の労働政策審議会でも「安全性、保全、補償は少なくとも銀行口座と同等でなければならない」と指摘されている。現在でも一定の救済措置はあるが、利用者側の自発的な対策が求められるだろう。Pay決済の場合は、銀行口座に紐付けるのではなく都度入金する、紐付ける場合も残高が少ないサブ口座を紐付ける、といった対策が考えられる。

●決済業者が破産したら、チャージしておいたお金はどうなるの ?

資金決済法では、未使用残高が1,000万円を超える発行者は、その2分の1以上に相当する額の発行保証金を法務局に供託し、保全することが義務付けられている。そのため還付手続きを行えば、一定額を取り戻すことはできる。しかし、全額は返ってこない可能性があることを覚えておこう。

キャッシュレス決済は今後ますます広がっていく可能性が高い

ここまで、キャッシュレス決済のメリット・デメリット (注意点) や、よくある質問を見てきた。まだ法整備が完璧ではないが、キャッシュレス決済はメリットが多いため、今後ますます広がっていく可能性が高い。

キャッシュレス決済は支払い履歴が残ったり、ポイント還元があったりと、うまく活用すれば有益な決済手段となる。これを機会に、あなたもキャッシュレス決済を始めてみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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