ニーズウェル【3992・東1】金融系に強み持つ独立系システムインテグレーター 中期経営計画では売上高100億円、経常利益10億円目指す
船津 浩三社長

ニーズウェル(3992)は金融系に強みを持つ、独立系システムインテグレーターだ。業務系システム開発を主力とし、基盤構築、コネクテイッド開発、ソリューション商品売上など4つの事業を展開。ITに関するトータルサービスを提供している。顧客との直接取引率が50%以上で、営業利益率が業界水準のおよそ2倍となる約10%と高い利益率を誇る。業務系システム開発では、生命保険や銀行、証券など顧客の5割が金融系だ。コンサルタント企業からのシステム開発で業容拡大してきた同社は、近年では5G関連、AI、RPA、テレワークなど時代に沿ったサービスで受注を増やしている。

船津 浩三社長
Profile◉船津 浩三(ふなつ・こうぞう)社長
長崎県出身、1951年7月生まれ。日立製作所、富士ソフトなどを経て、2016年、ニーズウェル代表取締役社長に就任(現任)

経常利益・当期純利益は10期連続増益を達成
好調な主力事業背景に業容拡大狙う

物流ビジネス拡大
中小企業DX支援も

2021年9月期決算では、売上高以下全ての項目で過去最高を更新した。売上高は前期比7・2%増の57億5200万円、営業利益は同17・7%増の5億8000万円、経常利益は同13・2%増の5億8200万円、当期純利益は同21%増の4億2100万円の2桁増益を達成。経常利益と当期純利益は10期連続増益となった。

業務系システム開発の通信・物流関連と、高付加価値案件の多いソリューション商品等売上が好調だったことが業績に貢献した。同期の年間配当は20円、前期の記念配当5円が剥落するものの普通配当ベースでは4期連増増配となり、配当性向は47・5%を予定している。

足元の業績が好調な同社の中長期的戦略に目を向けてみると、2023年9月期を最終年度とする中期経営計画で売上高100億円、経常利益10億円を掲げている。

中核となる施策について船津浩三社長は話す。

「まず、昨年度からスタートしている物流ビジネスに期待しています。コロナ禍を経てニーズが増加する倉庫内作業省人化を実現したいと考えています。既に無人搬送ロボットなどを制御する倉庫制御システムと倉庫管理システムを開発し、初年度の売上は1億円ほどになりました。これから物流ロボット、物流コンサル企業と3社共同で本格的な販売展開をしていきます。2点目が、ソリューションビジネスです。既存の基幹業務システムを繋ぎ効率化を図るなど、企業のDX化を支援します。各企業がIT投資を本格化させており、AI・RPAと絡めていけばニーズは充分にあると思います」

従来は比較的大手企業向けシステム開発が多かった同社だが、ソリューションビジネスに関しては中小企業も狙っていきたいという。社内に情報システム部門がない100名規模の企業はまだ開拓余地があり、同社社内でDX化する際に使ってきたシステムをパッケージ化して販売展開する予定のため開発費も抑えられる。ソリューションビジネスを皮切りとして新規開拓できた顧客に他のサービスも提案し、売上の拡大と直接取引率を60%ほどに拡大していきたいという。直接取引ができる顧客数が増加すれば、売上規模も増えていく、という訳だ。

「3点目が、M&Aによる事業拡大です。物流やIoTなどの分野で当社にない技術を持ち、シナジーが得られる会社をターゲットとしています」(同氏)。

9月にゼネコン向け受託開発に強みをもつ零壱製作社を子会社化したことに加え、M&Aは他にも何件か具体的に進めているという。新株発行予約券行使が9月に全て終了し9億8000万円という資金調達が可能になった上、自己資本比率は80%を超え、M&A資金を用意。中期経営計画では物流ビジネスで12億円、M&Aで23億円の売上拡大を見越しており、積極的な事業拡大を図っていく構えだ。

企業と人材成長のためプライム市場を選択
流通時価総額増加に向けて施策打ち出す

地方での拠点作りで
優秀な地元学生獲得

同社はプライム市場への適合について流通時価総額を満たしていなかったため、計画書を提出したことをいち早く発表した。プライム市場への選択や適合結果・取り組みを公表しない企業も多い中、マーケットにその姿勢をあえて表明した。

「企業が成長していく中で不可欠なのは、人材です。採用や社員の成長を考えたときに、プライム市場というのはやはり有利であると考えます。お客様が安心して仕事を任せられるかといった点でも、プライム市場の方が優位である。新卒の学生も良い人材が採用できる。人材がいないと企業は衰退していきます。プライム市場という選ばれたステージに立てるのであれば、企業のこれからの成長のためにも挑戦したい。スタンダードから再度プライムを狙うのはさらにハードルが高くなります。仮に、尽力はしたがプライム市場に残れなかったとしても、プライムに向けてやってきた施策で企業は必ず成長している。東証再編の件は、現在東証にいる様々な企業の経営者が今一度自らの会社を見直すいい機会になった面もあると思います」(同氏)

人材の採用面では、同社は長崎に拠点を持っている。これが優秀な学生獲得につながっているという。

「私が長崎の出身という縁もあり、2年前から長崎に拠点を開設しています。長崎に上場企業はありませんでした。人材採用という面では、やはり現地に拠点がないと難しい。地方再生や活性化につながりますし、長崎県の誘致政策もあります。実際、地元国立大学や県立大学の優秀な学生も獲得できすでに28名を採用しております。2024年9月期には100名体制を目指します」(同氏)

コロナによるリモートワークや働き方改革が社会から求められる中、時代に沿った展開を進めている。


2021年9月期 連結業績

売上高57億5200万円前期比 7.2%増
営業利益5億8000万円同 17.7%増
経常利益5億8200万円同 13.2%増
当期純利益4億2100万円同 21.0%増

2022年9月期 連結業績予想

売上高63億3000万円前期比 10.0%増
営業利益6億3800万円同 10.0%増
経常利益6億5900万円同 13.2%増
当期純利益4億5400万円同 7.8%増

※株主手帳2月号発売日時点

(提供=青潮出版株式会社