令和3年(2021年)の税制改正において、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の適用期間が延長されました。コロナ禍によって経済的ダメージが広がっていることを受け、それを緩和するための措置です。住宅ローン控除はもともと10年間でしたが、それが13年に延長されています。これは新たに家を買おうと思っている方にとっては朗報です。とても大きなメリットなので、期間が延長されたことも含めて制度の仕組みを解説いたします。
目次
住宅ローン控除の延長は家を買いたい人、建てたい人への朗報
住宅ローン控除は、2019年に始まった制度です。この2019年(令和元年)に消費税の増税があり、その緩和措置の一環として設けられました。
これが10年から13年に延長され、この「13年」の適用期間が2022年(令和4年)以降も継続することが決まったのです。10年と13年とでは3年も期間が違います。
住宅ローン残高の1%を所得税から控除できるので税金面でのメリットはとても大きく、それが「10年」だった時期も家を買う人には広く推奨されている制度でした。
それからさらに3年延長されるのですから、おとく感は大きくなります。
住宅ローン控除が延長された背景
しかしこの「13年」が適用されるには期限がありました。2021年(令和3年)までに入居している必要があったのです。
ところが、コロナ禍によって経済的なダメージを受けたり、入居が遅れるなどの影響が出ていることを考慮されることになりました。
これによって、2022年(令和4年)から2025年(令和7年)に入居しても新築や条件を満たした中古住宅には「13年」が適用されます。
(参考:国土交通省 住宅ローン減税等が延長されます!~環境性能等に応じた上乗せ措置等が新設されます~)
これが再び延長になるかどうかは次の税制改正次第のため、家を買おうと検討している方は今がチャンスだといえます。
そもそも住宅ローン控除とは何か
そもそも、住宅ローン控除とはどのような制度なのでしょうか。
この制度の正式名称は、「住宅ローン減税等の住宅取得促進策に係る所要の措置」といいます。住宅ローン控除は、家を買った人に対して返済負担の軽減を図るための制度です。
毎年の住宅ローン残高に対して1%の金額を所得税から控除できます。1%というと大きな金額ではないように感じるかもしれませんが、ローン残高が3,000万円あれば30万円も控除できるので、一般的な金銭価格では大きな金額だといえるでしょう。
控除しきれない分は住民税からも一部控除が可能
また、所得税だけで控除しきれない場合は住民税からも一部控除が可能なので、これらを総合すると節税のメリットはかなり大きいといってよいでしょう。
もともとは控除期間が10年間だったのですが、2019年(令和元年)の消費税率引き上げにともなう緩和措置として13年に延長された経緯があります。
「延長」という言葉が何度も出てくるので少々ややこしいですが、13年に延長された控除期間の適用期間が、2021年(令和3年)の税制改正によって2025年(令和7年)まで延長されました。
令和4年度税制改正によって延長される住宅ローン控除の概要
2022年(令和4年)以降に入居する場合、住宅ローン控除の概要が少し変わります。
まず、大きな違いは控除率です。それまでは1%を所得税から控除できていたのですが、2022年(令和4年)以降の入居では控除率が一律で0.7%になります。
(引用:国土交通省 住宅ローン減税等の住宅取得促進策に係る所要の措置(所得税・相続税・贈与税・個人住民税))
13年の控除が適用されるのは新築住宅のみ
控除期間「13年」が適用されるのは「新築の住宅」です。注文・分譲は問わず、新築の住宅であれば控除期間は原則13年です。
中古は10年だが買取再販であれば13年が適用
それ以外の中古住宅は10年ですが、不動産会社が買い取って再販をした住宅(買取再販)であれば中古でも控除期間は13年になります。
床面積は40平方メートル以上、世帯の合計所得額が1,000万円以下の世帯が対象です。
この要件は以前より緩和されているので、これから家を買おうとしているほとんどの方が該当するのではないかと思います。
今、家を建てようと思っている人はどう行動するべきか
家は一生のうち最大の買い物といわれているほど高額な商品の代表格です。
そのため家を買いたい、建てたいと思っている方は多いものの、いざそれを実行に移すとなると大きな決断をしなければならず、多くの方は時期を決めかねているのではないかと思います。
ほとんどの方は住宅ローンを利用して家を買うことになると思いますが、数千万円単位のローンを組んで家を買うことは、とても大きなライフイベントであることは間違いありません。
2025年までに入居したら13年間の住宅ローン控除が受けられる
今回解説している住宅ローン控除の延長は、今のところ2025年(令和7年)までです。2025年までに入居する人は13年間の住宅ローン控除が受けられます。
毎年数十万円の控除が3年多くなることで、追加される節税メリットが100万円以上になるケースが多いため、ぜひとも活用したい制度です。
2025年以降も再延長されるか?
2025年(令和7年)になったらこの制度を再び延長するのかどうかが国によって検討されると思います。
ただ、今回の延長がコロナ禍を理由にしていることを考えると、2025年までコロナ禍が続いているとは考えにくく、再延長はないかもしれません。
再延長がない前提で考えると、家を買いたい、建てたいとお考えの方は2025年までに入居できる計画で動くことをおすすめします。
2022年の不動産市場で避けて通れない「2022年問題」
2022年の不動産市場には、「2022年問題」と呼ばれる生産緑地問題があります。
これは市街化区域内にある農地や林地などについて営農(農業を営む)ことを条件に税金が優遇されてきた生産緑地という制度が深く関わっています。
生産緑地の制度が始まったのは、1992年です。そして生産緑地の指定期間は30年なので、1992年の30年後である2022年は、生産緑地に指定されてきた市街地の農地や林地が岐路に立たされることになります。
そのまま営農を続けてもメリットが薄れてしまうため、宅地にするなど別の土地活用を考える地主が多くなるかもしれません。
その場合は生産緑地が多い地域に大量の土地が供給されることとなり、不動産価格の暴落が起きるのではないかと囁かれているのが、「2022年問題」です。
生産緑地には地域差がある
この生産緑地は、多い地域とそうでない地域があります。そのため、「2022年問題」の影響を受ける地域とそうでない地域がはっきりと分かれると見られています。
生産緑地が多い地域で家を買いたいとお考えの方にとっては、住宅ローン控除とあわせて絶好のチャンスが到来する可能性があります。
生産緑地が多い都府県
日本全国で生産緑地が多い都府県を5位まで並べると、以下のようになります。
2.大阪府(1554.1ha)
3.埼玉県(1228.6ha)
4.神奈川県(971.9ha)
5.愛知県(809.8ha)
(引用:国土交通省 特定生産緑地指定状況(R3.9月末現在))
東京、埼玉、神奈川などの首都圏と大阪に多くの生産緑地が集中しており、いずれも大都市圏である傾向がはっきりと見て取れます。
東京で生産緑地が多い地域
それでは1位の東京都に絞って生産緑地が多い地域を5位まで見てみましょう。
2.町田市(208.33ha)
3.立川市(197.89ha)
4.練馬区(175.54ha)
5.清瀬市(164.06ha)
(参考:東京都都市整備局 生産緑地一覧 令和3年4月1日現在)
東京に土地勘がある方であれば、この順位に何となく合点がいくのではないでしょうか。
これらの地域では市街地や住宅地のなかに農地が点在する風景を見ることができますが、それらは生産緑地です。
これらの地域やその周辺で家を買いたい、建てたいとお考えの方は生産緑地の一斉放出をチャンスと捉えて行動し、2025年までに入居をして13年間の住宅ローン控除を受けることでメリットを最大化できることでしょう。
(提供:タツマガ)
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