リビングは家のなかでも家族が集まり、長い時間を過ごすことになるスペースです。家族が集まるだけでなく来客時にはおもてなしのスペースにもなるため、リビングの役割はとても大きいといえるでしょう。
そんなリビングの快適性や印象を決める重要なカギを握っているのが「照明」です。リビング照明は人によって価値観も多様なので、それを受けて実に多くの種類のリビング用照明器具が用意されています。
そこで本稿ではリビングの質を決める重要な要素である照明について、選択肢となる種類から選び方、さらにはありがちな失敗パターンなどについて解説します。
目次
リビング照明の役割
リビングの照明には、どのような役割があるのでしょうか。最初にその役割を整理してみましょう。
リビング照明には大きく3つの役割があります。
2.精神的な安らぎをもたらし、または集中力を高める
3.来客が過ごすスペースでもあるので、おもてなしの役割も
リビングには家族が集まり、そこで長い時間を過ごす人もいるスペースです。
リクルート住まいカンパニーが行った「マンション購入家族の暮らし方調査(2016年11月)」では、自宅にいる時間のうち夫は73%、妻は84.9%をリビングで過ごしているとの結果が示されています。
(引用:(株)リクルート住まいカンパニー マンション購入家族の暮らし方調査(n=824 首都圏) /2016年11月)
これだけ多くの時間をリビングで過ごしているだけに、照明によって快適な空間にも、そうでない空間にもなり得ます。
そして来客をもてなすスペースでもあるため、玄関と同様にその家の印象を決める「顔」のような役割も帯びています。
リビングには最適な照明が不可欠ですが、ただ室内を明るくすればよいというものではありません。
光の色や量、方向などさまざまな要素が絡み合ってリビングの快適性や印象が決まります。
おもなリビング照明の選択肢
リビングに用いられている照明には、おもに以下のような種類があります。
2.ペンダントライト
3.ダウンライト
4.シーリングスポットライト
5.間接照明
6.シャンデリア
これらは大きなカテゴリー分けなので、さらに細分化された照明の選択肢はありますが、大まかに以下のような選択肢に集約されると思います。
1.LEDシーリングライト
天井に張り付くように設置される、定番といえる照明です。今では光源にLEDを用いるのが主流となっています。
2.ペンダントライト
首から下げるペンダントのように、天井から吊るして使用する照明をペンダントライトといいます。
吊るして使用するため照明の高さを調節しやすく、食卓を照らすなどダイニング照明に適しています。
3.ダウンライト
光源が天井に埋め込まれた照明のことを、ダウンライトといいます。小さな照明を複数設置するパターンが多いため、必要に応じて戸数や位置を決められる自由度があります。
光源が埋め込まれているので控えめなデザインになっているため、リビングのデザイン性に影響を与えることなくさりげなく必要な部分を照らします。
4.シーリングスポットライト
補助的な照明器具として、必要な部分をピンポイントで照らす照明です。メインとなる照明だけで暗くなる印象があるのであれば、スポットライトを用いて明るさを足すことができます。
5.間接照明
壁や天井を照らし、その反射で室内を明るくする照明です。フットライトなども含まれます。間接照明だけだと暗いので、これも補助的な照明器具です。
6.シャンデリア
以前は豪邸のシンボルのようなイメージがあった豪華な照明ですが、お手入れの大変さなどもあって近年ではあまりメジャーではなくなった感のある照明器具です。
しかし今もなお根強い支持を集めている伝統的な照明でもあります。
色と明るさでリビング照明を選ぶ方法
照明選びで重要になるのは、明るさと色です。リビングの広さによって目安となる明るさは、以下のとおりです。
リビングの広さ | 目安となる明るさ |
8畳未満 | 3,800lm |
8畳から12畳 | 5,000lm |
12畳から14畳 | 5,600lm |
畳数に換算して、リビングの広さに400lmを掛けた数値が適切な明るさの目安となります。
なお、「lm」というのはルーメンといって明るさを表す単位で、LED照明の明るさを表すのによく用いられています
これは全体を照らす明るさの目安なので、リビングで仕事や勉強、読書など細かい作業をするのであれば、適宜その場所にスポットライトなどを当てて暗くならないように工夫しましょう。
次に、リビング照明の重要なポイントである色について。照明の色には主に「電球色」と「昼白色」あります。
電球色は少し黄色っぽく見える光で、昼白色は蛍光灯のような透明感のある光です。室内の温かみを演出するには電球色、見えやすさを優先するのであれば昼白色が適切でしょう。
今どきのLED照明は多彩な発色をすることができるため、リモコン操作やBluetooth接続によってスマホからの操作で、そのときの必要性に応じて色を使い分けることができます。
照明器具選び以外に配慮したいこと
リビングの快適性や印象は、もちろん照明だけで決まるわけではありません。
照明器具選びが適切であってもそれ設置の仕方や設計が間違っていると「残念なリビング」になってしまいます。
そこで、照明器具以外の部分で配慮したいことについても解説しておきましょう。
2.配光の角度を意識する
1.照明器具から床までの距離を意識する
1つめに意識したいポイントは、照明器具から床までの距離です。リビング照明は天井もしくは壁に取り付けるのが一般的ですが、メインとなる照明は天井に取り付けることになるでしょう。
その天井照明と床との距離がどれだけあるのかは、照明の明るさに影響を及ぼします。
同じ光量であっても光源が高くなる(つまり床からの距離が遠くなる)ほど室内は暗くなるので、照明器具自体の明るさだけでなく設置する場所の床からの距離も考慮する必要があります。
光源が40センチ低くなる(つまり床に近くなる)ことで約1割程度室内が明るくなるので、それも目安にしてください。
2.配光の角度を意識する
もう1つのポイントは、配光の角度です。
現在の照明の主流であるLED電球はどれも同じではなく、配光確度が全方向、広配光、下方向といったように光が広がる角度に違いがあります。
リビングの天井に設置する場合は室内をまんべんなく照らすことが目的になるので、全方向タイプのLED電球を軸に選ぶのがよいでしょう。
リビング照明選びのありがちな失敗パターン3つ
最後に、リビング照明選びにありがちな失敗パターンを3つ紹介します。
2.逆に明るすぎる
3.室内の雰囲気とミスマッチ
これらは決して珍しいパターンではなく、今からでも十分起こり得ることなので、同じ失敗をしてしまわないよう参考にしてください。
1.必要な光量が足りず夜に暗く感じる
リビングに必要な光量がなく、夜になると部屋全体が暗く見えてしまう失敗例です。
単に印象が暗く感じるだけでなく、高齢者がいる家庭では転倒や事故の危険もあります。先ほども述べたように照明器具の光量だけでなく光源から床までの距離も考慮して照明選びをしましょう。
2.逆に明るすぎる
上記とは逆の失敗例で、光量が多すぎて室内が明るすぎるといったケースもあります。
「大は小を兼ねる」との考えから、目安よりも明るめの光量で照明器具選びをする人は多いのですが、あまり明るすぎると眩しさに敏感な高齢者に負担になってしまうこともあります。
LEDシーリングライトなど調光が可能な照明器具であれば光量を落とす、電球であればワット数の小さいものに交換するなどの対策が有効です。
3.室内の雰囲気とミスマッチ
リビングは第一印象、イメージも大切です。「和モダン」のデザインになっているリビングに中世ヨーロッパテイストのシャンデリアを取り付けてもミスマッチでしょう。
照明はデザインの一部であるという認識が必要です。
照明器具メーカーなどが照明器具を取り付けた場合の明るさや雰囲気をシミュレーションできるツールを提供していることがあります。
こうしたツールも活用しつつ雰囲気にマッチした照明器具選びに役立ててみてください。
(提供:タツマガ)
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