生活の利便性が良く人気の高い横浜は、傾斜地が多い街としても知られています。これから家を建てることを検討しているものの「傾斜地は住みにくいのではないか?」と心配になっている方もいるでしょう。
本稿では、傾斜地に家を建てるメリットとデメリットを詳しくお伝えします。災害などの心配がないかチェックする方法や、行政による助成なども解説していますのでぜひ最後までご覧ください。
目次
横浜は傾斜の多い街
横浜には台地や丘陵地が広がり、さらに川によって侵食された谷も多数存在します。このため傾斜地がとても多く、売り地にも傾斜地や傾斜地を埋め立てたところがたくさんあります。
鶴見区、保土ヶ谷区などは特に傾斜地が多いエリアとして知られています。一般的には敬遠されがちな傾斜地ですが、横浜ほど多いとそれを避けて家を建てるのは難しいかもしれません。
それどころか、横浜の高級住宅地として知られる山手町エリア(中区)は、傾斜地でありながらとても人気があります。
つまり横浜においては、傾斜地は必ずしも敬遠される土地ではないのです。
これからお伝えするメリットにも目を向け、デメリットに十分注意しながら計画を進めれば素敵なマイホームが実現できるはずです。
傾斜地に家を建てるメリット
傾斜地と聞くと、ネガティブなイメージを持つ方がいらっしゃるかもしれません。しかし傾斜地は家を建てるうえでの、多くのメリットを持ちます。
まずはその良さを確かめたうえで、デメリットと比べて検討するようにしましょう。
2.平坦地に比べ安価
3.地下部分が活用できる
4.プライバシーが確保しやすい
1.景観や日当たりが良い
傾斜地は、目の前に見える景観が良いというメリットがあります。
前の家が傾斜の下にあるため、目の前にはさえぎる物がないからです。場所によっては遠くの景色や、夜景を楽しめるかもしれません。
また前に建物がなければ、日当たりの良さも手に入ります。リビングにたくさんの陽が降りそそぎ、明るく心地よい空間になるはずです。
さらに家だけでなく庭にも陽の光が届き、休日を快適に過ごすことができるでしょう。
2.平坦地に比べ安価
傾斜地にある未造成の土地、つまり斜めのままで売りに出されている土地は、平坦な土地に比べ安く手に入ります。同じ地域の平らな土地の価格より安くなることもあります。
ただし、傾斜地を購入するときは、建築会社に造成費用も確認したうえで検討することをおすすめします。
3.地下部分が活用できる
傾斜地に建てる家の計画によっては、基礎が高くなり家の下に大きな空間ができることがあります。
そこに収納や趣味のための地下室やインナーガレージを作れば、傾斜を活かしたゆとりある住まいになります。
4.プライバシーが確保しやすい
傾斜地に作る家は、家の中が見えにくくプライバシーを守りやすいというメリットもあります。
目の前の家や道路は低い位置にあるため、リビングの中を覗かれてしまう心配がありません。
また庭に洗濯物を干したりバーベキューを楽しんだりするときも、あまり視線を気にせずに済むでしょう。
傾斜地に家を建てるデメリット
傾斜地には家を建てるうえで、十分に注意しなければならないデメリットもあります。
コストが余計にかかったり、大きな被害につながったりするものもあります。傾斜地での建築を検討するときは、該当する点がないかしっかり確かめるようにしましょう。
2.地盤改良などのコスト
3.雨水流入のリスク
1.地震など災害のリスク
傾斜地は地震や集中豪雨などで、被害を受けるリスクがあります。
敷地の盛土やまわりを囲う擁壁(ようへき)がしっかりしていないと、自然災害によって崩れてしまう可能性があるためです。また自分の敷地だけでなく、周囲の土地や崖が崩れて被害を受けるリスクもあります。
このため傾斜地に家を建てたり土地を購入したりするときは、この後で解説する擁壁などのチェック方法に目を通し、十分にまわりの状況を確認することをおすすめします。
2.地盤改良などのコスト
傾斜地によっては土地を支える地盤が弱く、補強のために地盤改良費がかかることがあります。
地盤が弱いまま家を建ててしまうと、傾いたり盛土が崩れたりする恐れがあります。このため建築会社による地盤調査などで、地盤改良が必要と判断されたときは必ず行うべきです。
ただし地盤改良にはさまざまな方法があり、なかには高額な費用がかかるものもあります。
資金計画に影響することもあるため、早めに建築会社に相談し地盤調査をしてもらうようにしましょう。
3.雨水流入のリスク
傾斜地は大雨のときに、他の土地から雨水が流れ込んでくるリスクがあります。
大量の雨水が入り込めば敷地がぬかるんだり、水たまりができて不衛生になったりする恐れもあるでしょう。またせっかく盛土で入れた土が、雨水とともに流れ出てしまうかもしれません。
民法では、隣地から自然に流れてくる水を妨げてはならないと定めています。このため土地を購入してから敷地に雨水が大量に流れ込むことを知っても、対策が取れない可能性もあります。
あらかじめ雨の日に現地を確認し、雨水が大量に流れ込んでいないか確かめるようにしましょう。
擁壁や崖の簡易チェック方法
擁壁や崖が傷んでいたり、もともとの強度が足りなかったりすると地震や集中豪雨で崩れて大きな被害につながる恐れがあります。
特に次のような状態の崖や擁壁が傾斜地のまわりにないか、十分にチェックをしましょう。
・擁壁の水抜き穴が無い、あるいはふさがっている
・崖がブロック塀などで土留めされている
・崖の斜面に倒れそうな立木や崩れそうな面がある
・高い切り土がしてあり、土がむき出しのままである
(出典:横浜市 擁壁チェックシート)
こうした状態が見られる傾斜地は、購入や家の建築を慎重に考えるべきです。また見えない部分で、劣化などが生じていることも考えられます。
事前に建築事業者などに傾斜地の状態を確認してもらい、必要な対策を提案してもらうようにしましょう。
急傾斜地崩壊危険区域について
崖崩れなどによって居住者に大きな被害が発生する恐れのある傾斜地として、都道府県知事が指定したものが急傾斜地崩壊危険区域です。
この区域では切り土や盛土、立ち木の伐採、工作物の設置などを行う場合は、都道府県知事の許可が必要になります。また土地所有者は、崖崩れなどが発生しないよう努めなければいけません。
神奈川県では急傾斜地崩壊危険区域の一定条件を満たす土地に、崖崩れを防止する擁壁などの工事を県の費用負担で行っています。この条件には、主に以下のようなものがあります。
2.高さが原則として10m(※5m)以上である
3.被害想定家屋が10戸(※5戸)以上である
4.所有者が県に対し工事に必要な用地を無償で貸与する
※県単独費用による工事実施基準
(出典:横浜市 急傾斜地崩壊対策事業について)
こうした助成が用意されているのは心強いですが、災害の危険性の高い土地であることに代わりありません。
急傾斜地崩壊危険区域で家を建てる際は、建築業者としっかり相談しながらさらに十分な対策を取るようにしましょう。
傾斜地での建築は早めに相談をする
傾斜地は景観がよくプライバシーが守りやすいなど、いくつものメリットを持っています。しかし一方で災害の心配があり、造成などのコストがかかるといったデメリットもあります。
そのため家の建築や土地購入にあたっては、土地の状態や必要な工事などをしっかりと確認することが大切でしょう。
ただし土地などの状態を判断するのは一般の方では難しく、見誤ると建物だけでなく住む人にも被害が及びます。
傾斜地に家を建てるときはできるだけ早く、建築業者へ相談することをおすすめします。
(提供:タツマガ)
【あなたにオススメ】
・新築と中古はどちらがお得?メリットやデメリットについて徹底解説
・注文住宅で失敗しないために。後悔しない家づくり(間取り)のポイント
・注文住宅の購入予算はどうやって決める?費用の内訳は?
・戸建てがほしいと思ったら!分譲住宅と注⽂住宅の違いとは
・注文住宅の内装はどう決める?自然とまとまるポイント4つ