テレワークが増えた現在、仕事に集中できる書斎を持ちたいという方は多いでしょう。書斎を持つとどのようなメリットがあるのでしょうか。仕事への集中力がアップする書斎の間取りとレイアウトを考えてみましょう。
書斎とはどんな部屋のことをいうのか
書斎と聞くと本棚を背に、作家がテーブルで万年筆を片手に原稿用紙に向かっている姿をイメージする方が多いのではないでしょうか。
最近ではノートパソコンに入力する姿のほうが思い浮かぶかもしれません。書斎とは、執筆(ライティング)や読書をするための部屋のことをいいます。
中国語では書房または文房と呼ばれ、文房具(文房で使う道具)の語源にもなっています。「書」がキーワードになるので、単純なワークルームとは趣が異なります。
書斎は仕事や趣味に使う部屋
仕事で書類を仕上げたり、読書に集中したいときなどに利用するのがおもな目的です。
したがって、商品販売のために、在庫を置いたりするといわゆる物置となってしまい、書斎本来の目的とは異なった部屋になるので注意が必要です。
書斎の広さに基準はない
書斎のスペースにとくに基準はなく、個室でなければ1畳でも設置できます。
デスクの反対側に本棚を置く場合でも2畳あれば可能で、リビングルームの一角に仕切りを付けて書斎にするスタイルも多く見られます。
個室にする場合なら4.5畳もあれば本格的な書斎にすることができます。
書斎はスペースが狭いほうが作業に集中できるという特性があるので、比較的設置しやすい部屋の種類といえるでしょう。
書斎を持つメリット
書斎を持つことに憧れを持つ人は多いと思いますが、単なる憧れだけでなく、書斎を持つと次のようなメリットが期待できます。
2.自分の城を持つことでモチベーションが上がる
3.オンライン会議がやりやすい
1.仕事に集中できる
リビングルームの一角に書斎を持つ場合は、テレビの音が気になったり、家族に話しかけられたり、仕事に集中することが難しいというデメリットがあります。
その点、個室の場合は内側から鍵をかければ小さな子どもが入ってきて仕事を邪魔されることを防ぐことができます。
2.自分の城を持つことでモチベーションが上がる
書斎を持つことに憧れていた人にとって、実現すれば自分の城を持つことになり、仕事へのモチベーションが上がります。
仕事が終わったあとも、そのまま読書をしたり音楽を聴いたり、自由な時間を過ごすことができます。
3.オンライン会議がやりやすい
2020年以降はテレワークの普及で、オンライン会議に出席する機会が増えています。
リビングルームの一角では周囲の映り込みや物音が気になりますが、書斎で本棚を背景にして行えば知的な雰囲気になり、イメージも良くなります。
ドアに「会議中」の貼り紙をしておけば家族が入ってくることもないでしょう。
集中力がアップする書斎の間取りとレイアウト
集中力をアップさせるには、書斎の間取りやレイアウトも重要です。
書斎の間取りには、おもに以下の3つのタイプがあります。
ドアがあって生活の空間と切り離されている
2.オープンタイプ
リビングや寝室など部屋の一角にデスクと椅子を置いて書斎を設ける
3.セミクローズドタイプ
ドアは設けず、壁などで一部を区切る
集中力をアップさせるには個室がおすすめ
住宅全体の専有面積や家族構成にもよりますが、集中力をアップさせるには個室のほうが望ましいといえます。
たとえば、オープンタイプの書斎を寝室の一角に設けると、仕事中に眠くなったとき短時間のつもりで横になったのが、そのまま長時間寝てしまい仕事がはかどらないことが予想されます。
セミクローズドタイプは、仕切りがあるので一応ほかの空間と差別化はできますが、家族の気配は感じるので集中力を維持するのが難しい面もあるでしょう。
書斎のレイアウトは、リビングダイニングと地続きの部屋だとお茶を飲みたいときなどには便利ですが、家族が顔を出しやすくなります。
できればリビングと離れた部屋にしたほうが仕事に集中でるでしょう。2階建ての住宅なら2階に設けることができるので理想的です。
書斎を造る場合の注意点
書斎を造る場合に注意すべき点があります。とくに次の点に注意して書斎の設置を考える必要があります。
2.狭すぎず広すぎないスペースを模索する
3.本棚を置く場合は北向きの部屋がいい
4.本棚を置く場合は天井高は高いほうがいい
1.狭すぎるとエアコンが設置できない
1つは、サービスルームのようにスペースが狭いと建築基準法における「居室」として認められず、エアコンを設置できない場合があることです。
ほかの冷暖房器具で代替することはできますが、適切な室温にならず、真夏や真冬は暑さ・寒さが気になるかもしれません。
一方で広すぎると集中力が高まらないという意見もあります。
2.狭すぎず広すぎないスペースを模索する
リビングルームの一角に書斎を設けると、いろいろなものが目に入って気が散ることを考えれば頷ける意見といえます。
狭すぎず広すぎず、自分が集中できる広さを模索するのが妥当と考えられます。
3.本棚を置く場合は北向きの部屋がいい
部屋の向きに関しては、本棚を置いて図書室を兼ねた書斎にする場合は、北向きの部屋にしたほうがよいでしょう。北向きなら直射日光が入らず本の日焼けによる劣化を防げるからです。
東京・神田神保町の古書店街にあるほとんどの店が北向きに入り口があることからも、効果が立証されています。
4.本棚を置く場合は天井高は高いほうがいい
もう1つ、書斎に収納する本は次第に増えていくので、背の高い本棚を置けるように天井高は高いほうが有利になることも注意すべきポイントです。
書斎に必要な設備
書斎に必要な設備はどのようなものがあるでしょうか。
2.パソコン、モニター、プリンター、HDD
3.休憩用のソファ、リクライニングチェア
4.コンセント
1.デスク、椅子、本棚
まず基本的に仕事をするためのデスクと椅子、調べものや読書をするための本棚は必須です。
2.パソコン、モニター、プリンター、HDD
パソコンを使って仕事をする人は、本体のほかにプリンターや、場合によってはHDDなども必要になります。
最近では、ノートパソコンに別売りのモニターを繋げたり、デスクトップパソコンでも複数台のモニターを繋げて仕事をする人が増えています。その場合、ある程度デスクのスペースが必要になってきます。
また、パソコンの周辺機器は配線がかさばるので、椅子にからまないようにすっきりした配線にすることが重要です。
3.休憩用のソファ、リクライニングチェア
また、仕事の途中で疲れを癒すために、休憩用のソファやリクライニングチェアもあったほうが理想で、読書にも役立ちます。
ただし、寝室と同様に少し休憩のつもりでリクライニングチェアに横たわったのが寝込んでしまう恐れもあるので、人によっては設置しないほうがよい場合もあるでしょう。
4.コンセント
もう1点、コンセントは不足しがちなので多めに設置する必要があります。
パソコン、エアコン、プリンター、LANやルーター、照明までかなりの用途でコンセントは必要です。スマホの充電にも使うので、デスク周りのほかにも数ヵ所設置したほうが無難でしょう。
書斎を持って仕事のモチベーションを上げよう
書斎は大がかりなリフォームを必要とせず、デスクセットがあれば手軽に設置できるスペースです。
既存の部屋を書斎に転用することもできるので、マンションや建売住宅でも書斎を持つことが可能です。
ただし、壁面にオーダーメイドの本棚を設置するなど特注の仕様にする場合は、注文住宅のほうがはじめから希望どおりに設計できるので理想的といえます。
配線やコンセントも書斎にすることを前提に最適な位置に設置できます。
では、実際に書斎を持っている人はどのくらいの割合いるのでしょうか。住宅系Webサイト「eA(イーエ)」が行った100人アンケート調査によると、書斎を持っている人の割合は38%となっています。
書斎を持つことに憧れている人は多いものの、住宅事情からスペースがないことが壁になり、実現できていないことがアンケートのコメントからも浮き彫りになっています。
実現するためには仕事で使うだけでなく、読書や音楽鑑賞など家族も共同で使えるようにするのも理解を得る1つの方法です。
書斎を持てれば仕事へのモチベーションが上がり、生産性も向上することが期待できます。
まだ少数派の書斎ですが、Webサイトにある施工例などを参考に「自分の城」を持つことを目指してみてはいかがでしょうか。
(提供:タツマガ)
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