一戸建ての大きな魅力は素敵な庭を持てることでしょう。住宅にはいくつかの種類の庭がありますが、なかでも「中庭」は居宅部分に囲まれた特別な空間という趣を感じる場所です。中庭にはどのような活用方法があるのでしょうか。そのメリット・デメリットと活用方法について紹介します。
目次
中庭がある住宅スタイルとは
住宅は建物部分と、「主庭」「前庭(アプローチ)」「中庭」「坪庭」「裏庭(バックヤード)」の庭部分に分かれています。
主庭とは
主庭とは道路に面した普通の庭のことで、昔ながらの日本家屋では縁側があり、洗濯ものや布団が干してあったり、犬小屋や盆栽があったりと生活感のある風景が思い浮かびます。
主庭は道路からも見えるので、素敵な庭のある家は通行人の評判になるケースもあります。
中庭とは
これに対し、中庭は家屋のなかにあるため、どちらかというとプライベートな空間というイメージがあります。
一般的に屋根はなく青空天井なので、開放感があるのは主庭と変わりません。中庭の周囲を居宅が囲っているような構造です。
中庭のレイアウトは、四方を囲む「ロの字型」、三方を囲む「コの字型」が中心で、ほかに「L字型」もあります。
中庭がある住宅のメリット
中庭は家族にとって次のようなメリットがあります。
2.太陽光を多く取り入れ、明るい家になる
3.風通しのよい家になる
4.小さな子どもが安心して遊べる
メリットに魅力を感じたら、中庭の設置を検討するのもよいでしょう。
1.プライバシーを保てる
道路から見える主庭と違い、中庭は周囲を居宅で囲っているため、プライバシーを保てるメリットがあります。
友人などを招いて中庭でパーティを行う場合でも、通行人の目を気にせず過ごしてもらうことができます。
2.太陽光を多く取り入れ、明るい家になる
中庭に面した居宅の窓から太陽光が複数の部屋に差し込むので、明るい家になるのもメリットです。
分譲地の一区画の土地を購入して家を建てた場合、後から建った隣家の影響で日が入ってこなくなるリスクもあるので、中庭を造って採光を確保する家庭もあるようです。
3.風通しのよい家になる
中庭があると居宅側の窓を開け放つことで風通しのよい家になります。
道路に面した窓は通気する際に防犯面が気になりますが、中庭に面した窓は安心して開け放つことができます。
換気が重要視される社会情勢にあるときは、中庭がある家はメリットが大きいといえます。
4.小さな子どもが安心して遊べる
主庭では小さなこどもが道路に出てしまう心配がありますが、中庭なら外に出ることはないので、安心して遊ばせることができます。
家事をしながらでも子どもの様子を見ることができるので、中庭は親にとっても安心できる場所といえるでしょう。
中庭がある住宅のデメリット
一方で、中庭のデメリットとしていくつか注意すべきポイントがあります。
中庭を設置する場合は以下のデメリットを十分に考慮したうえで決めることが大切です。
2.コストが高くなる
3.断熱性能が落ちる可能性がある
1.居住スペースが狭くなる
敷地がそれほど広くない場合、中庭を造ると居住スペースが狭くなるデメリットがあります。
中庭は広い主庭を造れない都市部の住宅に向いているといわれていますが、必要な部屋数を確保できるか、ハウスメーカーの設計士とよく相談して決めたほうがよいでしょう。
2.コストが高くなる
中庭は建築コスト面で割高になるのもデメリットです。
住宅は壁面や角が多くなると建材が増加し、角の施工に手間がかかるため、建築費が高くなる傾向があります。
全体の建築費予算に収まるか計算したうえで決める必要があります。
3.断熱性能が落ちる可能性がある
中庭がある家は居宅が囲むレイアウトのため、窓が多くなり断熱性能が落ちる可能性があります。
また、四方を居宅に囲まれた「ロの字型」の中庭は、熱や湿気が滞留する特徴があるので、換気対策もしっかり行う必要があります。
以上のようなデメリットを考慮すると、ハウスメーカーは施工実績が豊富な会社を選んだほうが無難です。
「ロの字型」の中庭の場合、家のなかを一周するような生活動線になり、換気、排水、窓のサイズなど考慮すべき点が多いため、設計者の能力によって仕上がりに差が出る可能性があります。
施工実績が多いハウスメーカーなら、これまでの経験から最適なデメリットの緩和方法をアドバイスしてくれることが期待できます。
中庭の活用方法
次に、中庭の活用方法を考えてみましょう。中庭は主庭のように周囲のことが気にならないので、いろいろな活用方法が可能です。
2.夏に円形プールで遊ぶ
3.日本庭園にしてみる
4.家庭菜園を楽しむ
5.二世帯住宅なら中間地点に中庭を置く
中庭の活用法その1:お家キャンプ
中庭で行うなら主庭ではやりにくい非日常的なプランを考えると楽しいでしょう。代表的な活用方法が「お家キャンプ」です。
会話や食事の臭いなどで周辺に迷惑をかけることがないので、家族で安心して楽しめます。中庭の一部をウッドデッキにすればキャンプ場のような雰囲気になります。
「ロの字型」の中庭なら周囲はすべて居宅なのでテントで寝泊りする一泊のキャンプでも安心です。
キャンプを行わない日も、中庭でランチやティータイムを楽しむことができます。
中庭の活用法その2:夏に円形プールで遊ぶ
小さな子どもがいる家庭では、夏に円形プールで遊ばせてあげると喜ばれるでしょう。同じく夏場は花火も親が一緒にいれば行うことが可能です。
中庭の活用法その3:日本庭園にしてみる
子育てが終わった世代の家庭なら、中庭を料亭風の日本庭園にして優美な世界観を演出するのも風情を感じられます。
もちろん、好みに合わせて洋風庭園にするのもよいでしょう。
中庭の活用法その4:家庭菜園を楽しむ
家庭菜園や盆栽などを行う場合も、中庭なら盗難に遭う心配がありません。
中庭の活用法その5:二世帯住宅なら中間地点に中庭を置く
二世帯住宅で平屋の居宅を2つに分ける場合、中間地点に中庭を置いて行き来できるようにすると、共用部分にもなり面白いかもしれません。
二世帯住宅ならではの楽しいプランといえそうです。
中庭の設置は注文住宅で!
リビンテクノロジーズ株式会社のアンケート調査によると、自宅に庭がある人の割合は58.2%となっています。
庭がある人に理想の庭について聞いたところ、「大きな駐車場がある」が30%以上でトップだったのに対し、「中庭がある」は5%弱にとどまっています。
中庭、日本庭園、池などは少数意見で、高級住宅にあるものというイメージが強いようです。実際には、注文住宅であれば中庭の設置は十分に可能です。
(出典:「リビンマッチ調べ」)
中庭の大きな特徴は、注文住宅以外では設置が難しい点です。
まずマンションは共用部分に中庭がある物件はありますが、個別の居室に中庭が付いている物件は、よほどの億ションでもない限り望めないでしょう。
鑑賞用の小さな坪庭が付いているのがせいぜいといったところです。
また、建売住宅の場合は高価格帯の物件は別として、1つの区画に数軒まとめて開発販売しているような物件ではスペースが狭いので、中庭がある物件は望めません。
中古住宅で敷地がある程度広い物件であっても、既存の住宅をリフォームして中庭を造るには、部屋を削るなど家の構造を変えなければなりません。
部屋のリフォームに比べると工事費用も高くなることが予想されます。
新築または建て替えするときがチャンス
中庭の設置は家を注文住宅で新築または建て替えするときが実現するチャンスといえるでしょう。
注文住宅で家を建てる予定がある場合は、この機会に中庭の設置について家族で話し合えば、有意義な団欒のときになるのではないでしょうか。
(提供:タツマガ)
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