毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。このコーナーでは、読書家が集まる本の要約サービス「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。

目次

  1. 別れ際に「空白」を残す
  2. 大谷選手も実践
  3. 「怒りたい」私は「ロクなものでない」
  4. 睡眠の質を左右する「深睡眠」
  5. コーチングの基本は「人に優しく、結果に厳しく」
  6. 編集後記

第1位:『大人の雑談力』(桐生稔(監修)、リベラル社)
第2位:『なぜかうまくいく人の「秘密の習慣」(ハンディ版)』(佐藤伝著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第3位:『怒らないこと』(アルボムッレ・スマナサーラ著、大和書房)
第4位:『こうやって、考える。』(外山滋比古著、PHP研究所)
第5位:『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(白濱龍太郎著、アスコム)
第6位:『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(F太 小鳥遊著、サンクチュアリ出版)
第7位:『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(ひきたよしあき著、三笠書房)
第8位:『幸せのメカニズム』(前野隆司著、講談社)
第9位:『神モチベーション』(星渉著、SBクリエイティブ)
第10位:『世界最高のコーチ』(ピョートル・フェリクス・グジバチ著、朝日新聞出版)

※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年11月の閲覧数ランキング

別れ際に「空白」を残す

会話が続かないあなたのための「雑談力」2022年2月に読まれた「ビジネス書の要約」トップ10
(画像=PIXTA)

2月の第1位は『大人の雑談力』でした。銀行関連のお仕事をされている方々の間で特に支持されました。監修したのは、昨秋の月間ランキングで2カ月続けてトップ10に入った話題書『説明の一流、二流、三流』などの著者、桐生稔氏です。

年間2,000回もの話し方セミナーを行う桐生氏のもとには「会話がひと言ふた言で終わってしまう」といった声が多く寄せられるそうです。誰しも、初対面の相手と話す際は「何を話せばいいんだろう」と多かれ少なかれ悩むもの。そんなときは、相手の服装や部屋の雰囲気など「パッと目についた物・ことをほめる」ようにと本書は勧めます。他にも「いい感じに相づちを打ちたい」「冗談にうまく反応したい」「自分の話を聞いてほしい」といった「お悩み」ごとに、解決のヒントが端的にまとまった一冊です。

初対面の相手との別れ際、強引に約束を取り付けようとしていませんか? そうではなく、最後は相手の頭の中に、気になる言葉の「空白」を残すことが有効です。無理に話をまとめず、「また会いたい」と思わせるコツも惜しみなく紹介されています。

大人の雑談力
大人の雑談力
桐生稔(監修)
出版社:リベラル社
発売日:2021年11月30日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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大谷選手も実践

第2位は『なぜかうまくいく人の「秘密の習慣」(ハンディ版)』でした。生保など保険関連の会社にお勤めの方々の間では最もよく読まれています。

常態化しているもの、大好きでやめ難いものをいちどきに絶ったり、切り替えたりするのは容易ではありません。著者は、昨日より今日、たった0.1%成長するだけでも、694日後には今日の2倍も成長しているという考え方のもと、「これくらいなら簡単」という小さなステップから始め、徐々に習慣化していくやり方を推奨しています。

「心」の習慣や「人間関係」の習慣など、テーマごとに習慣づけるコツが綴られ、特に「朝」の習慣は重要です。例えば、毎朝3分、9マスのマトリックス形式で書き続ける「朝日記」により人生のデータベースが築かれ、自分の思考のクセや失敗の傾向をつかめるといいます。

ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手も取り組んでいたとされる、この「ナイン・マトリックス」を駆使し、ぜひ「うまくいく」自分を手に入れましょう!

なぜかうまくいく人の「秘密の習慣」(ハンディ版)
なぜかうまくいく人の「秘密の習慣」(ハンディ版)
佐藤伝
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2021年11月19日
ジャンル:自己啓発・マインド

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「怒りたい」私は「ロクなものでない」

第3位は『怒らないこと』でした。ストレートなタイトルでありながら重く響く、スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老のさとりの言葉です。

「怒りたくないのに怒ってしまう。どうしたらよいか」といった相談に対し、長老は「怒らないことだ」と返しているといいます。そんな禅問答のような答えに「それができないから聞いているんだ」と言いたくなるであろう相談者の苛立ちは、想像に難くありません。しかし、そうした「怒りたい放題」の自分に気づき、「私は怒りたいのだ。ロクなものではないのだ」と認めること、その理解が大切だと説きます。

「人間は「怒り」と「愛情」で生きている」「偉大な人ほど謙虚でいられる」といった真理的な言句が綴られ、読み終わるころには「なんで私はあんなにイライラしていたのだろう」とハッとさせられるはずです。

最近怒りっぽいなと自覚している人も実際に怒ってしまった人も、そうした怒りを静め、心穏やかな境地に導いてくれる一冊です。


怒らないこと
怒らないこと
アルボムッレ・スマナサーラ
出版社: 大和書房
発売日:2021年6月15日
ジャンル:自己啓発・マインド

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睡眠の質を左右する「深睡眠」

ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきます。

まずは第5位の『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』にフォーカスします。証券界の方々の間では最もよく読まれました。昼夜を問わず世界中で動き続ける株式市場をウオッチし、寝る暇も惜しんで働かれている方も多いことでしょう。

著者は、副題にある通り「1万人を治療した睡眠の名医」、白濱龍太郎氏。病気を予防し、健康で幸せな人生を送るために、睡眠の重要性をわかりやすく丁寧に説き、患者が心から満足できる睡眠を取り戻すことを掲げています。

睡眠の良し悪しを決める「深睡眠(徐波睡眠)」のメカニズムや、ぐっすり眠って疲れを残さないため方法を紹介しています。また、睡眠と密接に関係する健康な肉体づくりや食事など、すぐに試せるちょっとしたコツが満載です。

最近はスマホアプリと連動させることで、自身の睡眠状態を細かく分析できるようにもなっていますね。そうした利器を使いこなすためにも、本書を通じて今一度「ぐっすり眠る」基本に立ち返ってみませんか。

誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法
誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法
白濱龍太郎
出版社:アスコム
発売日:2017年9月3日
ジャンル:健康・フィットネス

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コーチングの基本は「人に優しく、結果に厳しく」

最後にご紹介するのは第10位の『世界最高のコーチ』です。ポーランド出身で2000年に来日、ベルリッツやモルガン・スタンレー、Googleといった職場で実績を上げてきたピョートル・フェリクス・グジバチ氏の最新刊です。

Googleでの人材開発など、さまざまなコーチング経験から、日本の長所も短所もよく知る著者。日系企業に見られがちな「以心伝心の曖昧なコミュニケーションが多いハイコンテクストな組織」における「心理的安全性」の高め方などを伝授します。コーチがすべきこととして、「問いかけ」と「フィードバック」を挙げ、相手の気づきを促したり、思考整理を手助けしたりといったコーチングのコツを順序だてて説明していきます。

コーチングは「人に優しく、結果に厳しく」が基本――。そう強調する著者の、さまざまな企業での経験に裏打ちされた、多種多様なコーチングの事例が満載です。

世界最高のコーチ
世界最高のコーチ
ピョートル・フェリクス・グジバチ
出版社:朝日新聞出版
発売日:2021年12月30日
ジャンル:スキルアップ・キャリア リーダーシップ・マネジメント

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編集後記

2022年2月のランキングは、第1位『大人の雑談力』、第3位『怒らないこと』、第4位『こうやって、考える。』などシンプルなタイトルでありながら、それぞれのテーマの勘所がぎゅっと詰まった良書が並びました。また、雑談力や対話力、コーチングなど、人とのコミュニケーション能力を磨くための書籍も、引き続き読まれやすいテーマとして上位にランクインしました。

3月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。

本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

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