「裕福な人はその富を浪費するよりも、社会がより豊かになるために使うべきだ 」

貧しいスコットランド移民 から全米の「鋼鉄王」と呼ばれる大富豪に上り詰めたアンドリュー・カーネギー氏 。彼は著書『富の福音 』のなかで上記のように述べている。カーネギー氏は、文字通りアメリカンドリームを象徴する「伝説の大富豪」であるが、一方で、事業で築いた莫大な富を2,500以上の図書館建設等の社会福祉に投じるなど、フィランソロピー(慈善活動家)としても、その名を歴史に残している。

富裕層,租税回避
(画像= leremy / pixta, ZUU online)

フィランソロピーとしてのカーネギー氏の精神は、多くの資産家に継承されている。たとえば、全米遺産計画協会&協議会(NAEPC)の資料では、ビル・ゲイツ氏とウォーレン・バフェット氏がカーネギー氏の影響を受けて、寄付啓蒙活動「ギビング・プレッジ (資産家が生前もしくは死後に自身の資産の半分以上を慈善活動に寄付するという寄付誓約宣言)」を設立したと紹介されている。ギビング・プレッジには2015年9月時点で150名の誓約者が登録しており、そのなかには映画監督のジョージ・ルーカス氏や前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏、ビジネスソフトウェア企業オラクルの共同設立者のラリー・エリソン氏、メタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)、著名投資家のカール・アイカーン氏などが名を連ねている。

一方で、慈善活動にはさまざまな税制優遇措置が設けられており、租税回避の手段としても注目されている。たとえば、米EV(電気自動車)大手テスラの共同創設者のイーロン・マスク氏や、故スティーブ・ジョブズ氏の夫人であるローレン・パウエル・ジョブズ氏、WhatsAppの共同創設者ジャン・コウム氏なども利用するフィランソロピー慈善投資口座「ドナー・アドバイズド・ファンド」は「大富豪のブラックボックスチャリティー」 と批判されたこともある(2018年10月3日付、ブルームバーグ)。カーネギー氏のフィランソロピーの精神とはかけ離れていると言わざるを得ないが、一部の大富豪にとっては租税回避も大きなテーマであり、合法的に利用できるものは何でも利用するということなのかもしれない。

今回は「ドナー・アドバイズド・ファンド(Donor-Advised Funds)」の話題をお届けしよう。