2012年8月設立の株式会社北極星コーポレーションは、不動産再生事業・不動産活性化事業を手がける企業だ。これまでに培ってきた経験と知識を活かし、用地取得に関する様々な問題を解決して不動産の価値を高める事業を推進している。現在は少数精鋭で取り組みながら、大手デベロッパーから相談を受けることも多く、今後の事業拡大を目指して「ソーシャルレンディング」の活用も開始した。宮﨑泰彦代表取締役に、どのような想いで不動産事業と向き合い、どんな実績を残してきたのか。そして「ソーシャルレンディング」に取り組む理由や期待していることを聞いた。
マンションデベロッパーの営業を経て独立
――まずは宮﨑代表のキャリアについてお聞きします。不動産業界に入った経緯や理由を教えてください。
不動産業界に進もうと考えたのは、もともと、私の父親が似たような業界にいまして、その影響を受けたのが一番大きいですね。最初はマンションデベロッパーに営業職として就職しました。
――その後、どのような道を歩まれたのでしょうか?
しばらくして会社の体制や、商品の販売に対して矛盾を感じるようになり、28歳の時に独立しました。当初は退社後すぐに会社を設立する予定でしたが、家の事情などもあって2年ほどの準備期間を経て、30歳ぐらいの時に北極星という会社を一度設立し、販売代理や土地開発の仕事を始めました。
少人数の会社でしたが、マンションの土地購入から販売までを一貫して任せてもらえる機会が何度かありました。本来、マンションを建設する仕事は、当時の我々のような小さい組織が最初から最後まで関わることはないんです。どこの会社でもいくつかの部署があり、それぞれが集合して一つのプロジェクトを進めるのが普通なんですよ。
でもそうした中で、最初から最後まですべて関わらせていただき、例えばここのコストがこれだけかかるとか、ここはこう進めるとか、一連の流れを若い頃に知ることができたのは非常に大きかったですね。
その後、地主さんの依頼やデベロッパーの要望で立ち退きが必要な案件を任されるようになりました。当時は大手も含めて、そういう業務を扱う会社がなかったので、多くの案件を受けさせていただきましたね。
――北極星を「一度設立」とおっしゃいましたが、どこかのタイミングで変化などがあったのでしょうか?
それなりに多くの従業員を雇い、販売代理や土地開発の仕事を継続していたのですが、走り続けたこともあって一休みしようと思って。42歳ぐらいの時に一度、会社を解散し、3年ほど業界を離れていました。
その時期に全く違う仕事をしようと思いましたが、各デベロッパーやお付き合いのあった方々から「もう一度、業界に戻ってきてくれないか」と何度も声をかけていただいたんです。必要とされていることを実感し、それで今の北極星コーポレーションを新たに立ちあげました。それが10年ほど前、2012年8月のことです。
>>>用地取得や土地開発のエキスパート、北極星コーポレーションのソーシャルレンディングについて詳細を見る
「三方良し」の不動産再生事業を目指す
――現在の北極星コーポレーションの事業内容について教えてください。
基本的にデベロッパーはマンションの許認可を取って建設しますが、土地によって様々な事情があります。例えばアパートが建っていて借りている人がいる。古くからの土地で測量がしっかりなされていない。土壌汚染の問題がある。権利関係が複雑に入り組んでいる。こうした問題について、デベロッパーは基本的には立ち入らないというか、解決することができないんです。
街の不動産屋がそういった問題に取り組もうとするのですが、なかなかうまくいかない現実があり、そこで専門性を持って様々な問題を解決するのが私たちのメインの仕事になります。
――その領域における貴社の強みを教えてください。
プロジェクトの全容、それこそ開発後までを見据えながら解決策を探ることができるところです。
また、経験値も含めて専門知識を豊富に持っているところにも自信があります。長年にわたって積み重ねてきた経験と知識があり、提携している測量事務所や設計士なども含め、弊社を中心に専門性高くチームとして機能できる点は他社にない強みだと思います。
――不動産事業に携わる中で大切にしていることを教えてください。
ありきたりな言葉ですが「三方良し」ですね。土地を売る方や権利者の方、デベロッパー、その先にいるマンションを購入する方、それに弊社も含めて、すべての人が満足することを目指しています。
――用地取得や権利関係の問題をクリアにすることは、デベロッパー全体の課題になっているのでしょうか?
そのとおりです。ただ、私自身も20年以上、取り組んでいる問題ですが、同業他社でうまくいっていないケースをよく耳にします。デベロッパーから「他社にお願いしたらうまくいかなかったので、北極星にお願いしたい」と相談を受けることも多々あります。
――他社がうまくいかない理由はどこにあるのでしょうか?
例えば用地取得では、当然のことではあるんですが、他社はなるべく土地を安く買おうとします。一方で弊社はデベロッパーのコストもすべて把握しているので総合的に判断して金額交渉ができます。
また地主さんにはいろいろな想いがあります。土地を売却した後にどう変わるのか関心を持つ方が多い中で、何が建つかもわかっていない、土地を買うだけの業者では地主さんの想いを汲み取ることはできません。
私たちはそうした対応を可能な限り丁寧に行いますし、手間を惜しむことはありません。そこは特に自信を持っているところです。
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お互いに理解し合える、きちんと約束を守るデベロッパーと推進
――これまでの事例紹介をお願いします。
案件としては、日鉄興和不動産株式会社さまの「LIVIO(リビオ)」シリーズを共同開発することが最も多く、年に4、5本のペースで一緒にプロジェクトを行っています。
他にも東急リバブル株式会社さまや、横浜にあるナイス株式会社さま、さらに大栄不動産株式会社さまとも最近、プロジェクトを始めています。
基本的には企業風土や文化をお互いに理解し合えるデベロッパーとご一緒させていただくようにしています。例えば地権者との等価交換があった時に、入り口での約束事が最後までしっかりと守られず、地権者の想いなどが反故にされることがあります。そういうことがないよう、私たちはプロジェクトを進める上できちんと約束を守る相手、意思疎通ができる相手を選ぶようにしています。
――各事例において成功を収めるために、どのような努力をされているのでしょうか?
私自身が現場に入るようにしています。例えば立ち退きの交渉をする場合、どなたも最初は不動産業者に対して不信感があるんですよね。本当に約束を守ってくれるのか、不利益にならないようにしてくれるのか、といった不安があり、信頼関係を築くまでに時間がかかります。大手の社員にとっても難しい交渉です。
ですので弊社では、基本的には様々な問題に対応できるよう、経験豊富な私自身が直接お会いしてきちんとお話し、その場で結論を出すべきものはしっかりと結論を出してお約束をしていきます。そうすることで通常2、3年かかる交渉を大きく短縮させることができ、他社さんよりもスピーディーに進めることができます。
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将来的にはソーシャルレンディングが主流になる
――今回のソーシャルレンディングの対象となるプロジェクトについてご説明をお願いします。
大手不動産デベロッパーさまとのプロジェクトになります。同社が東京都墨田区亀沢にある底地の地主さんから売却の相談を受けました。その土地には8件ほどの借地権があり、それが整理できたら同社が展開しているマンションシリーズのプロジェクトを進めたいと。そうしたお問い合わせをいただき、稼働資金の一部を大手不動産デベロッパーさまに協力していただく形でスタートしました。
その土地はご高齢の方も多く借地権も古くて、登記関係が整理できていなかったり、相続の問題があったりしましたが、それらをひと通り整理し、移転先の準備や等価交換の取り決めなどを進め、現在はすべての方との契約が終わっている状態です。
――今回が2度目のソーシャルレンディング実施となりますが、前回、今回と実施を決めた理由は?
今、弊社は銀行から融資を受けてプロジェクトを進めていますが、将来的にはソーシャルレンディングが主流になるのではないかと考えています。現状はごく一部のプロジェクトだけですが、将来はその割合が増えていくでしょうし、実施することによって投資家の方々が弊社への理解も深めていただけると思っています。
弊社の業務は非常に複雑で、一般の方にはなかなか理解していただけないので、こういう機会で知っていただくことも大事なことだと考えています。
また、ソーシャルレンディングを通じて、パートナーである不動産会社さまと開発しているマンションシリーズについて、投資家の皆さまに知っていただくというPR効果を担うこともできると思っています。
――最後に今後の事業構想について教えてください。
少子高齢化が進行し、街の姿も変わりつつあります。そうした中で私たちは不動産事業をとおして新しい街づくりにより積極的に貢献していきたいと考えています。
これまでは新規のデベロッパーとプロジェクトを手がけることに正直、抵抗がありました。しかしスタッフの知識や経験値も高まっていますし、プロジェクトに賛同してくださる方は皆さん喜んでくださっているので、デベロッパーの数、案件の数を増やしていく時期に来ているのかなと。
付き合いのある大手デベロッパーとの関係をもう一歩、踏みこんだものにして、年間の案件数も何倍にも増やしていけるようにしていきたいと考えています。