一戸建て住宅を購入するのにあたって、多くの人が不安を感じるのが近隣トラブルです。近隣トラブルは「近すぎる」ことが問題で、生活の場に密着してしまうだけにストレスも大きくなります。賃貸住宅であれば引っ越せば解決するかもしれませんが、一戸建て住宅を購入してからのトラブルだとそう簡単にもいきません。
そこで今回は近隣トラブルにありがちなパターンとして、騒音・ペット・タバコ・悪臭・ゴミ出し・駐輪・駐車・境界などの例を挙げ、それぞれのトラブルに対する具体的な対応策について解説します。
できることなら避けたい近隣トラブルだけど……
近隣トラブルは誰しもが避けたいところでしょう。しかし、価値観や考え方の異なる人が隣り合わせて住んでいると、トラブルに発展する可能性は少なくありません。
弁護士など法律家の検索サービスを提供している日本法規情報が発表した近隣トラブルに関する調査結果では、半数近くの人が近隣トラブルを経験していると回答しています。それではどんなトラブルが起きているのか、調査項目と結果を見てみましょう。
(引用:日本法規情報「近隣トラブルに関するアンケート調査」)
騒音(20%)、駐車・車のトラブル(13%)、ペットの飼育やマナー(12%)、ごみの不法投棄・ポイ捨て(10%)で半数以上を占めています。
もう1つ、不動産ポータルサイトの「スーモ」も同様の調査を行っているので、そちらの調査結果も見てみましょう。こちらの調査では「不満を感じていること」に関する回答が集計されているため、近隣トラブルの原因になり得る問題がわかります。
(引用:スーモジャーナル「近隣トラブル、なやまされていること1位は?」)
この2つの調査結果を見ると、近隣トラブルにはどんなものがあるか、何が原因になっているかといった全体像が浮かび上がってきます。以下の問題が近隣トラブルになりやすく、件数も多いことがわかります。
- 騒音
- クルマ、駐車マナー
- ペットの飼育マナー
- ごみの分類、出し方
- 挨拶、生活マナー、難癖など
これらをご覧になって、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。それでは次項では、代表的な近隣トラブルと傾向について解説します。
一戸建て住宅にありがちな近隣トラブル7選
住宅には一戸建てやマンション、アパート、団地などさまざまな形態があります。当記事では一戸建て住宅の近隣トラブルに関する解説をしているので、ここでは一戸建て住宅にありがちな近隣トラブルに絞って7つをピックアップしました。
2.駐車マナー
3.タバコのマナー
4.ペット飼育マナー
5.ごみの出し方、分別
6.覗くなどの嫌がらせ
7.境界線
1.騒音
近隣トラブルに関するあらゆる調査で常に1位になるのが、騒音問題です。やむを得ない生活音から、真夜中に大騒ぎをしたり楽器の練習をしたり、さらには深夜に掃除機をかけたり洗濯機を回したりといった人為的なものまでさまざまです。
2.駐車マナー
自宅前の路上駐車など各人のマナーによるため、意識の低い人がいると近隣トラブルに発展しがちです。
3.タバコのマナー
ベランダでの喫煙など、タバコのマナーはマンションにありがちな近隣トラブルですが、自宅前に吸い殻をポイ捨てされるケースなどは悪質です。
4.ペット飼育マナー
ペットが好きな人とそうでない人では価値観が異なるため、理解し合えない部分がトラブルの原因になりがちです。
5.ごみの出し方、分別
指定日以外のごみ出しや分別の問題など、一部の人のマナー違反が大きなトラブルに発展します。
6.覗くなどの嫌がらせ
いきなりこの問題が起きることは稀ですが、上記までのトラブルが起きたことに対する嫌がらせなど、多くの場合は二次的なトラブルです。
7.境界線
植栽や私物のはみ出しなど。放置していると大きな問題になるため、初期段階での解決が望ましいでしょう。
一戸建ての近隣トラブルに対処する方法
一戸建て住宅で起きる近隣トラブルでは、マンションのように管理会社や管理組合といった間に入って調整役を果たしてくれる存在がいないため、当事者間の話し合いが必要になる場面が多くなります。
しかし、いきなり直談判をするのはさらなるトラブルの拡大につながるリスクがあるため、一戸建て住宅の近隣トラブルでは段階を踏むことが重要です。
基本的に以下の順序で段階を踏んで解決を目指しましょう。
2.直談判(1人では行かず近隣の人と複数人で話し合う)
3.行政の相談窓口で相談する
4.警察に相談する
3についてはそれぞれの市町村に関連の窓口を設置していることが多いので、そこに相談するのがおすすめです。多くの役所では「生活課」「市民相談窓口」「市民相談課」などの名称になっていることが多いですが、それぞれの市町村に問い合わせてみてください。
また、当事者間の解決が難しくなり、解決を法律に委ねることもあるでしょう。普段から付き合いのある弁護士などの専門家がいる場合は相談先に困ることはありませんが、そのあてがない場合は法テラスに相談するのも1つの手です。法テラスは弁護士に依頼をするお金がない人のために設けられた法律相談窓口で、日本全国の弁護士会に窓口があります。
【参考】法テラスの事務所所在地・連絡先
https://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/shozaichi_renraku/index.html
4の警察は、最終手段です。身の危険を感じた場合は躊躇することなく早めに相談することをおすすめします。その場合はしっかりと普段から迷惑行為の証拠を記録して、警察に状況を伝えやすくしておきましょう。
一戸建て住宅の近隣トラブルを予防する方法5選
できることなら未然に防ぎたいのが近隣トラブルです。ここでは近隣トラブルを起こさないようにするための方法を5つの項目で解説します。
2.近隣へのあいさつ回りと良好な人間関係に配慮する
3.生活マナーをしっかりと守る
4.リフォームも一考
5.証拠の収集
1.購入前に現地を入念に調査する
一戸建て住宅の近隣トラブルは表に見えている問題も多いので、購入前に現地を入念に調査してトラブルが起きていないか、トラブルの原因になりそうなものはないかをチェックしましょう。
不動産会社やハウスメーカーからの情報だけでなく、自分でも昼と夜の両方の時間帯に現地に行ってみることが重要です。
2.近隣へのあいさつ回りと良好な人間関係に配慮する
普段から良好な人間関係を構築しておけば、近隣トラブルの芽を摘むことができます。もしどこかでトラブルが起きても味方になってもらえる人を多く確保しておくことは意義があるので、引っ越し時の挨拶回りや、普段の挨拶などお互いに気持ち良く生活できるように心がけましょう。
近隣の人もトラブルは避けたいと思っているので、お互いに心がけることで信頼関係も生まれます。
3.生活マナーをしっかりと守る
騒音や車の駐車、ペットの飼育やごみ出しなどはいずれも個人のマナーにゆだねられる部分が多く、生活マナーを守っていればリスクは大幅に軽減されます。まずは自分がトラブルの原因にならないようにすることが大切です。
4.リフォームも一考
あらゆる調査で近隣トラブルの1位になっている騒音問題。室内からの音が問題になるのであれば、防音工事などリフォームで解決できる余地があります。ピアノなど楽器の練習をしたい人、音楽を聴くのが好きな人などは、二重窓や遮音材などを設置することで、騒音問題を物理的に防止するのも一考です。
5.証拠の収集
先ほど、警察に相談する場合は証拠の収集が重要であると述べました。警察以外に相談をする場合であっても証拠は重要なので、近隣トラブルが発生したらできるだけ正確かつ多く証拠を収集しておきましょう。証拠は主観ではなく客観的な情報なので問題の深刻さを伝えやすく、自分に非がない場合はそれを証明する意味でも重要です。
(提供:タツマガ)
【あなたにオススメ】
・新築と中古はどちらがお得?メリットやデメリットについて徹底解説
・注文住宅で失敗しないために。後悔しない家づくり(間取り)のポイント
・注文住宅の購入予算はどうやって決める?費用の内訳は?
・戸建てがほしいと思ったら!分譲住宅と注⽂住宅の違いとは
・注文住宅の内装はどう決める?自然とまとまるポイント4つ