この記事は2022年6月3日(金)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=PIXTA)

2022年6月3日(金)の午前11時すぎに、現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

西原宏一
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。

現在の為替相場の傾向や相場観

昨日2日(木)のNY市場で話題になったのが、ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長が、「世界経済を揺るがすショックが相次ぐ中、この先はさらに厳しい経済状況が続く」と警鐘を鳴らした事。

ウォルドロン氏は投資家会議で「これは私がこれまでのキャリアで見てきた中で、最もとは言わないまでも、かなり複雑かつダイナミックな環境の1つだ」と発言。「経済システムにこれほどの数の衝撃が同時発生するのは前代未聞だ」と述べた。その上で「この先は一段と厳しい経済状況になることが見込まれる」とし、「資本市場の環境が厳しくなることは間違いない」と続けた。

(出所:ブルームバーグ)

一昨日1日(水)には、米JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が同様の警告を発しており、今月から、マーケットはかなり不安定に乱高下する公算が高そうだ。

もうひとつ注目を集めたのが、ブレイナードFRB副議長が6月と7月の0.5%利上げを市場が織り込んでいるのは「妥当な」道筋に思えると指摘した事。9月に利上げを休止する可能性も非常に低いともコメントしている。

現在の為替相場の戦略やスタンス

短期金融市場では、ECBが12月に中銀預金金利を0.5%引き上げるとの見方が織り込まれつつある中、ユーロ/米ドルはあっさり1.07ドル台ミドルに反発している。加えて、ポンドに対して厳しい意見を出しているのがバンク・オブ・アメリカのストラテジスト。

バンク・オブ・アメリカのストラテジストらによれば、ポンドは新興国通貨で通常見られるような苦境に直面しており、投資家はポンドの「実在的」危機をヘッジする必要があるという。ストラテジストのカマル・シャーマ氏はリポートで、イングランド銀行(英中央銀行)による利上げ継続はポンドを救うには力不足だと指摘。英国の経常赤字や、北アイルランドを巡る欧州連合(EU)との関係悪化、さらに、英中銀の信頼性についての疑念が重なり、「最悪の状況」を生じさせるリスクがあるという。

(出所:ブルームバーグ)

ポンドが新興国通貨並みの危機に直面しているかどうかは意見のわかれるところだが、過去3カ月の主要通貨の対米ドルでの騰落率においては日本円の下落は鮮明だったが、ポンドの下落幅もなかなかのもの。

西原氏のユーロに対する強気スタンスは変わらないが、英ポンド/米ドルの反落がユーロ/米ドルの上値を抑えてしまう事、加えて、米国株の動向が不透明な環境である事から、ユーロはロングにしたいが、対ドルの通貨ペアであるユーロ/米ドルを避け、ユーロ/英ポンドのロングにスタンスを変更。

本日3日(金)のマーケットの関心は日本時間夜発表の米雇用統計に集中。米雇用統計を控え、ストレートドルのポジションは避け、スイスフラン/円とユーロ/英ポンドの押し目買いで臨みたい。

▽ユーロ/英ポンドの日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。