この記事は2022年6月2日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、再び400万円割れ 米雇用統計の結果が焦点に」を一部編集し、転載したものです。
先月31日に上海のロックダウン解除などの好材料が出たこともあり、ビットコイン(BTC)は3万2,000ドル(約415万円)台まで急上昇した。しかし、1日に米株式市場が下落すると連動して下がり始め、記事執筆現在は2万9,000ドル(約376万円)台を推移している。アルトコインにおいてもビットコインに連動し、暗号資産(仮想通貨)市場は全面安となっている状況だ。
1日のニューヨーク株式市場は下落。サンフランシスコ連邦準備銀行のデイリー総裁が政策金利について、「2.5%まで迅速に到達させるべき」と発言したことで利上げの加速化懸念が高まり、広範で売り方が優勢となった。
ダウ好評株30種平均は前日終値より176.89ドル安の32,813.23ドル、暗号資産市場との相関性の高さが指摘されるナスダック総合指数も続落して、86.93ポイント安の11,994.46で終えた。S&P500種株価指数は前日比0.8%安の4,101.23となっている。
日本時間1日夜に発表された米ISM製造業総合景況指数は予想を超えた上昇を見せた一方で、仕入れ価格は高止まりの結果となった。米求人件数はなお高水準で、生産能力の問題が長引いている状態が続いていることも明らかとなった。金融当局がインフレ改善に向け、金融引き締め策のさらなる強化を迫られるとの懸念が市場に広がった格好だ。
さらに、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモン(James Dimon)CEOは、「引き締め政策で経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性がある」と警戒感を示した。こうした発言が、ボラティリティの高さからリスク資産とも言われる暗号資産市場にも影響を与えたと言える。
しかし、今回の暗号資産市場の下落は、ビットコインを中心にマイナーが保有する暗号資産を売却しているためとの指摘もある。
暗号資産価格の下落で利益が減り、採算が取れなくなったマイナーも少なくないことから、マイニングした暗号資産を売却して補っている可能性がある。
2021年は暗号資産価格が軒並み上昇したことに加え、中国の規制強化により、同国のマイナーが撤退を余儀なくされたことから、電気代の安価な国・地域において新規参入するマイナーが増加した。しかし、マイナーの移転などが落ち着いたことで競争が激化していることに加え、暗号資産価格の下落により、収益率が低下し利幅は縮小している。
現状の暗号資産市場は、インフレ懸念とリスクオフの流れから上昇したとしてもその分売られ、一進一退の攻防が続いている。依然として2万8,000ドル(約363万円)~3万2,000ドルのボックスは抜け出ておらず、今後の市場動向については不透明感が拭えない。
日本時間3日夜には非農業部門雇用者数(NFP)やISM非製造業景気指数、また失業率といった指標が相次いで発表されるため、内容次第では米株式市場と連動して大きく値動きする可能性もある。(提供:月刊暗号資産)