この記事は2022年6月2日に「月刊暗号資産」で公開された「武田薬品工業と三菱倉庫がブロックチェーンで医薬品流通を可視化」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=PIXTA)

武田薬品工業と三菱倉庫は先月31日、ブロックチェーンを用いたデータプラットフォームを活用し、5月より製品の輸送・流通において、工場出荷から医薬品卸倉庫への納品および製品の温度・位置情報を可視化する取り組みを開始したと発表した。

医薬品の流通では近年、高水準の品質保証を維持し、劣化や破壊などのトラブルがないような業務の画一性を推進することが求められている。医薬品の適正流通(GDP=Good Distribution Practice)ガイドラインでも具体的な方法が定められているという。

今回活用されているブロックチェーンベースのプラットフォーム「ML Chain」は三菱倉庫が開発したものだ。米IBMのブロックチェーン技術を採用した新データ管理システムとなっている。データの完全性と安全性を保持しながら、医薬品流通過程の各種情報を可視化、輸送に関わる事業者間でリアルタイムに共有することが可能だという。

プレスリリースによると、今年1月より武田薬品の物流センターから医薬品卸倉庫までの国内の流通経路において、全製品を対象に運用をしてきた。今回発表された取り組みでは、5月から一部製品について製品を製造する武田薬品の光工場(山口県光市)から武田薬品の物流センター、医薬品卸倉庫への配送で運用を開始したという。

両社は、今回の取り組みが「今後の日本の医薬品流通において、メーカーや物流業者、医薬品卸、医療機関など様々な事 業体が垣根を越えて協働する第一歩になるものと期待しています」と述べている。

将来的には、オープンプラットフォームとして流通品質管理向上だけではなく、偽造医薬品対策や在庫レベルの適正化、安定供給の維持など、業界全体として医薬品流通の高度化に貢献すると考え、より普及を図っていくという。

武田薬品のグローバル・マニュファクチャリング&サプライ・ジャパンのグレッグ・ティモンズ氏は「サプライチェーン全体の見える化は、広い協働関係を築くことを可能にします」と述べた。

また三菱倉庫の常務取締役の若林仁氏は「GDPガイドラインの発出以降、サプライチェーン上での品質、セキュリティ管理強化へのニーズが高まっています。三菱倉庫は本プラットフォーム活用しサプライチェーンの可視化を提供し、多くの事業者とともに医薬品の安定供給に努めます」と語った。(提供:月刊暗号資産